ノールビンドニング - 鹿角クラフト -
鹿角(ろっかく)と聞いてテンションが上がる人はどのくらいいるだろう。
かつてハドソンから出ていた「桃太郎伝説」の主人公・桃太郎の必殺技が「ろっかく」である。
・・・電鉄じゃなくて伝説な!電鉄のほうがスピンオフ作品だぞ!
「だだぢぢ」のほうが強くない?という向きもあろうけれども、SFCの「新桃太郎伝説」では「だだぢぢ」がなくなったので(再序盤は使える)、やはり鹿角といえば桃太郎の必殺技なんである。
いやしかし本当に、「新桃太郎伝説」は名作RPGだと思うんだよ。
ストーリーもシステムも音楽もキャラクターもグラフィックも最高で、そして日本の妖怪たちの圧倒的迫力。夜叉姫がかわいい。…当時の俺はあしゅらを最後まで女性だと思っていてパーティに入れていました。夜叉姫と体重が同じなんだから勘違いするのも仕方ないだろう!あのビジュアルだし!天女の羽衣をまとったセクシー美女と勘違いしても致し方ないところだと思うんだが!
まったく恐ろしい話だぜ。
風神雷神戦の難易度よりも恐るべき事実だった。
ちなみに俺は閻魔、ましら、あしゅらという謎のパーティで進めていました。つらかった。
続編、出ないかなぁ。リメイクでもいいんだけどな…。頼むぜハドソン(もうない)。
それで、鹿角、鹿の角。
端的に言えば、鹿の角でノールビンドニングの針を作ったよということなんだけど。
昨日の8日、マシンガンがイケる友人宅でバーベキューをした際にクラフト談義となり、「角欲しいんだよねー」と言っていたら友人の一人が「鹿の角なら余ってるからあげるよ」といってくれたので、意外なところから鹿の角をゲット。
意外と重い!
鹿はこんな重いものを二本頭につけて生活しているのか…!
鹿のパワーに感心をしつつ、針づくりに取り掛かったわけだけれども。
美しい鹿の角も、実は中身は海綿状の中空状態になっている。
この海綿状の部分は使えないので、太い部分を4分割して(上の写真をさらに割る)、綺麗な角質を長くとる。針にするにはやはり10cm以上はほしい。
…だが!
ここで一つ大きな問題が持ちあがる。
動物の角は、骨ではない。角質なのである。というか、角を形成する物質だから「角質」と呼ばれている。要するに皮膚の組織がめっちゃ固くなったもの。人間で言えば爪と同じ。
だから…
つまり…
電動のこぎりとか、ディスクグラインダーとかで強く摩擦すると…
表面が焦げるわけで…
髪の毛や爪を燃やしたときの、あの、ヤな臭いが終始そこら中に漂う!
これは…キツい!
俺も木工の徒として…ニレの木なんかで「うへー」とか言ってるけれども、ニレの比ではない。
角質組織を構成するケラチンというタンパク質が燃焼し、硫黄を発生させるためである。
硫黄の強烈な匂いが俺を襲う!
ツラい!
ニオイに耐えて削っていく。
動物の角を加工してる職人さんはすごいなぁと思いつつ。
ただ、木材と違って鹿の角はけば立ったりしないから、とっても作りやすい。強度も重さも十分にあるから手に持った感触がすごくいいし、ギリギリまで穴を広げても折れる気配はない。本当に、ニオイ以外はカンペキなのだが!
今回は初めての角クラフトということで、あまり小奇麗にせずに多少粗を残して仕上げることにした。
そのほうが角っぽいしね。
そしておおよその形をとったところで…
やはり、ここでルーン文字を!
刻みたい!
北欧ヴァイキングの縫い物として!
ルーンはおさえておきたい!
それに実用的な意味として、針の表裏を区別したかったんだよね。二つ穴がある針の場合、糸を通す方向をうまくやらないと糸がこんがらがっちゃうから、「この方向に通す」という区別がほしかった。だから、ルーンのある方を表と決めれば迷うことなく糸を通すことができる。
それで、どのルーンを彫るか。
これはかつての男の子として、非常に重要である。
俺とこの針に、最もふさわしいルーンは何なのか…!?
30分ほど悩んだ末に、俺は「ラド・ルーン」を選択した!
アルファベットのRに似たルーン文字。意味は「旅、移動、成長」である。運送業者さんなんかはこのルーンが一番いいんじゃないかな。
もっとこう、「野生のパワー」とか「勇気」とか「破壊からの再生」とか、男の子っぽいルーンはあったんだけど、もともとこのノールビンドニングを始めるきっかけが「何かを学ぼう、成長しよう」だったことと、ノールビンドニングをやるうえで、今まで全く縁のなかったところに行く機会を得たこと、これからもいろんなところに行くであろうことをかんがえて、この「ラド」のルーンを選択した。それに旅というのは、一歩一歩地道に進んでいくものだから、ひと目ずつゆっくり進んでいくノールビンドニングにはぴったりな気がした。
で、アルファベットのRに見えないように、うまく角度と間隔を調整してミニルーターで彫り、ラド・ルーン入りノールビンドニング針が完成した!
やー、この適度な重さ、ひんやりした感覚は素晴らしいし、お気に入りの針の形を元にして作ったので手に持った感じも最高。
残った部分はボタンにしたり、あと3本くらい針も作れるし、色を塗ったらどうなるのかなどいろいろとやってみたい。
クラフトって楽しいね!