人生を破壊しかねない病だということは、どうか忘れずに。- モデルナのワクチン一回目で副反応が出まして -
7月4日にモデルナのワクチン一回目の接種を受け、急性の副反応も出ず、安心して安全な父の運転で帰ったとき、わが身にワクチンの副反応・倦怠感が襲ってきたのです。
ワクチン接種1時間後
「これがワクチンの副反応の倦怠感である」とは全く認識しなかった。
ワクチン接種後1時間ほど。父の運転する車の中で、がくんと寝てしまった。普段は誰の運転でもあまり寝ないのだけれども。
ワクチンを打つということで緊張して前日はあんまり眠れなかったし、当日も朝から実家に行って父に運転を頼むということをしていたからあまり休めていなかったし、ワクチンを打ったという安心感もあったのだろう、としか思わなかったのだが。
とにかく、眠い。
異様に、眠い。
念のため翌日は休みにしておいたので、とりあえずすぐに家に帰って寝る。
21時には寝ていたと思う。
翌朝、5時に目覚める。
8時間睡眠ということで通常はちょっと寝すぎたかな、と思うくらいなのだが…。
ワクチン接種翌日
まるで徹夜明けの倦怠感である。
だるい。眠い。目がチカチカする。日の光を見ると目が痛い。体の関節が上手く動かない。体の芯に妙な熱がこもっているのがわかる。
まさに徹夜明け。
あれだけ寝たのに、徹夜明け。
ここで俺は「これはワクチンの副反応の倦怠感なのだ…」と理解する。
認識した瞬間思ったことは…
これが慢性になったら恐ろしいな。
だった。
毎日徹夜明けの倦怠感とか、それは控えめに言って恐るべき病だろう。
とはいえ、これはワクチンの副反応。
一回目のワクチンは副反応は軽いという話しだし、翌朝には元のようになっているだろう。
とにかく一日中眠くてうつらうつらしていた(食事なんて作っていられないほどである)が、まぁこういう日もあるさ、と、何時に寝たのかもわからないが、とりあえずこの日の記憶はそんなもんである。
接種二日後
眠い。
寝たりない。
視界がチカチカする。
倦怠感。
すなわち徹夜明けである。
倦怠感は甘く見られているが…恋人や配偶者との倦怠期と同様に恐ろしいものなのだ…!
そして何よりも辛いのが、この状態で仕事に行かねばならぬことである。
出勤するだけでエネルギーが枯渇する。
もはや俺は徹夜はできない男…というか、昔から徹夜などできたことはなかったが!
マジでしんどい。
身体ももちろんしんどいけど、メンタルも悲惨だ。
「俺はなぜこんな状態で仕事をせねばならぬのか」
「憎い…この世のものすべてが…!」
「我はメシア。明日この世を粛正する…」
という三段論法が完全に俺の脳の中で完成してしまい、「この世を粛正する俺」のシミュレーションをしながら仕事を行うほかなかった。それほどまでに追い詰められていた。すまない。
帰宅後、この世を粛正する準備のためにベッドに入る。
神ならぬメシアたるこの身にも、休息が必要なのである。
接種三日後
メシアの朝は遅い。
出勤時間直前までベッドから出られない。
倦怠感。
すなわち徹夜明け…ほどではなくなったが、それでも睡眠時間が3時間くらいの時のあの感じである。
もう粛正とかどうでもいいから休ませてくれ…マジで…。
とはいえ、一応身体はある程度休まってはいるらしく、本当の徹夜明けのような死に通ずる身体の異常はない。
と思う。
超しんどいし休みたいしもう俺は働くことなんか絶対にしない、絶対にだと心に強く念じてはいるが、身体に叱咤激励すれば動くのである。
と、思っていられたのは午前10時まででした…。
眠い。
ヤバい。
辛い。
帰宅後、何をどうしたのかよくわからないがとりあえず寝たようだ。
接種四日後
そろそろゾンビ映画みたいなアトモスフィアが漂ってきた。
このまま28日後…とかになれば俺は無事ゾンビと化すのではないか。
そんな疑念にさいなまれつつ4日目である。
やはり、眠い。
倦怠感。
魔の病。
たまにRPGとかで「疲労」のバッドステータスがあるゲームがあったりするが、いやぁ、疲労、怖いですよね。
疲労が何を引き起こすかといえば、それはもうみんなご存じのあの状態。
ヨシッ!(全然よくないし何なら完全に別のことを考えていて目の前の状況を全く見てなくて時には重大事故につながったりするけどとりあえずヨシッ!)
これが疲労…これが倦怠感…!
「現場猫案件」という言葉があるが、疲労はそれを引き起こすのである。
これはある意味で、熱病よりも厄介。
そして現場猫案件を避けようとフルパワーで意志力を保とうと努力するので、さらに疲労が溜まる。
なんという悪循環…!
倦怠感を甘く見るのは、やめようね!
ご安全に!
ヨシッ!
接種五日後
時は来た。
健康な目覚めである。
身体が…軽い…!
今なら空も飛べそうだぜ…!
とはなっていない。
「あーー…………睡眠時間5時間くらいっすかね…ちょいきついすね…」
みたいな。
もちろん毎日睡眠時間5時間でバリバリやる人もいるが。
いやー、テンションは低いっすね…。
やる気ぃは…そんなにないすね。とりあえず時間まで仕事して、何とかしのいで、終わりすね。ええ。
あー、まぁ、こういう状況ですしね。あんまヘビーな仕事はやりたくないんで、上手く回避したいすね。ええ。おねしゃーす。
みたいな。
前日までの絶望的なダルさに比べると健康的なダルさっすかね。
まぁ、ソツなくやれるっちゃやれますよ。やる気、ないっすけどね。
そんな感じで、適当にやって適当に帰って適当に寝ましたね。ええ。
自炊すか?しないっすね。コンビニっす。そんな食欲ないんすけどね。適当す。
うぃーす。
接種六日後
かゆ・・・
うま・・・
というネタを知っている人はもう初老扱いされる世の中かもしれない。
そういう気分で目覚める。
初老…ついに俺にもやってきたか…というようなテンション。
健康という絶大なエナジーが全身にみなぎっているというわけではないが、とりあえず体は動くし、頭も冴えてはいる。やれんことはないが、無理はできんな。そういうメンタリティの朝。
ここでついに食事を作ることができるように。
ナスとひき肉とトマトソースとウスターソースを適当に合わせたインスタントなボロネーゼを食べましたよ。
やったぜ。
初老、最高だな!
来るべき初老に希望を見出す爽やかな朝となった。
ちなみに仕事はお休みを頂いた!ははは!
多分心が軽いのはお休みだったせい。
俺が初老になった暁には週休3日が実現しているといいよなぁ!
とりあえず、ワクチン接種後の生活で荒廃した世紀末の荒野と化した部屋を片付ける。
人間、荒むときは一瞬。
しかし、多少荒んでもリカバリーはきっとできるから、時には荒んでも仕方ないよな。
接種七日後
わたしこそ しんのゆうしゃだ!
休日の朝。
健康な目覚め。
最高の財産だとは思わないか…?
ここでついに副反応から解放される。
長く苦しい戦いだった…。
しかし、ワクチンの副反応でこれだ。本当に罹患してしまった人はいったいどれほどの試練を越えねばならぬのか。恐ろしい病だぜ。
もちろん、俺は基礎疾患持ちでなおかつ(宇宙レベルの尺度をもって眺めれば)若い部類に入るので、副反応が強烈に出たという見方もあるだろう。
全ての人がこうなるとは思わないし、過剰に怖がってほしくもないのだが、少なくとも俺はこうなったよ、という記録でした。
これから接種する人も多いと思うけど、個人的には熱よりも倦怠感が厄介だったかな。
書かなかったけど、接種翌日には38度ほどの熱が出た。その辛さを吹き飛ばすくらいの倦怠感があったのでほとんど記憶には残らなかったのだが。
とにかく倦怠感は厄介だし、現場猫のように倦怠感から生じる重大なミスや事故が起きるかもしれないから、倦怠感が出たな、と思ったら本当に無理はしないでほしい。
本当にね!
ネタっぽく書いてきたけど、本当に大変だったから!
副反応は甘く見ないでほしい、というお願い
倦怠感を抱えて過ごす中、ふと思ったことがある。
一回目のワクチン接種では副反応は大きく出ない
という言説が独り歩きしてしまわないか、という懸念。
つまり、
「一回目の接種で体調を崩すのは軟弱者」
という闇よりも黒い漆黒のブラック思考に陥る人が出てしまわないか。
「運動中に水分補給をするなど軟弱の極み」という地獄が確かに存在したのだ。ワクチンの地獄もどこかで繰り広げられるかもしれない。
この文章をここまで読んでくれた程のカインドネスあふれるあなたにはもはや言うまでもないが、あなたの周囲でワクチン接種一回目で体調を崩した、あるいはその兆候が見える人には、どうか労わってあげてほしい。
そしてもちろん、あなた自身も。可能な限り全力で休んでほしい。
副反応が全くでない人もたくさんいると思うし、副反応が軽い人のほうが多数ではあると思う。
しかし、この新型コロナウィルスCovid-19というものは、なかなかに恐ろしい。
無症状な患者もいる一方で、1万5千人以上が亡くなってもいる。
この落差はすさまじい。
感染者がことごとく重症になる病気なら、「正しく恐れる」ことも可能だろう。
しかしこのCovid-19は、「正しく恐れる」のが非常に難しい。この病気の厄介な点はそれだろう。慢心もまたこのウィルスの特徴ではないかと思うのだ。
幸いなことに、コロナでの死者の数は減ってはいる。重症患者数も減ってはいる。
しかし、もしかすると、普通に罹って普通に治ったけど、後遺症が出た人も多いかもしれないのだ。
もし、今回のような倦怠感が慢性になったら…。
一生をこの倦怠感とつきあわなければならなくなったら…。
QoLは激減するだろう。
やりたいこと、やってみたいこと、楽しいこと、楽しみなこと。
全てが吹っ飛ぶのが倦怠感だ。
だから、どうか、甘く見ないで。
みんな健康でいられますように!