ノールビンドニングでスリッポンを作る

アイディアというのは、

  • 脳の中で十分に情報が整理されていて
  • そのことについて特に何も考えていなくて
  • ちょっとした散歩などの軽い運動をしているときに
  • 全然別のものを考えたり見たときに突如降りてくる

ものだと思っている!

実際、人間の脳というのは何かを頑張ってインプットしたり考えたりしてる時にはひらめきは生まれづらく、インプットした情報を脳に根付かせてから、全然別のつながりを発見した時に圧倒的なパワーを発揮するものらしい。アルキメデス先生もそんな感じだった。

すごくどうでもいいんだけど、この「ハッとした閃き」の最上位バージョンが仏教でいうところの「悟り」で、有名な般若心経はその「究極のアハ体験」に至る最後のひと押しをするための経典だったりする。だから、いわば究極まで情報をインプットした人向けの、超上級者用テキストなので、素人たる俺たちがいきなり「般若心経を写経しましょう」とかやっても正しい結論には到達しないので、注意が必要だ!第一、どんな分野もそうだけど、「短いテキストの中に真理が」系の上級者向けテキストというのは、前提知識が膨大にあるからこそ短いわけで、素人が安易に短いテキストを求めてはいけないのだろう。老荘思想老子より荘子読んでからのほうがいいし。物理や数学でも、美しく簡潔な公式は決して簡単じゃない。

般若心経は限りなく無に近づき、あと一歩で悟れる…!という人向けに、「ソワカ!(グッドラック!)」とイイ笑顔で修行者の背中を叩いて崖の先に一歩足を踏み入れさせる(インディジョーンズのアレみたいな)という経典。

で、座禅を組んでる修行の最中にいきなり棒でブッ叩かれるアレも、「雑念があるから」叩かれるんじゃなくて、瞑想が深まってもう少しで無の境地に至りそうなとき、突如として背中を叩かれることにより脳がスパークし、生まれたての赤ん坊のごとき真っ白な状態にさせる、というのが目的(それが般若心経で言う「ソワカ!」みたいなもの)だから、あれも上級者向けだ。真に瞑想ができている修行者になら、ドタドタと足音を立てて近づいても別にいいはず。「やべぇ、後ろに来た!」とか思ってる時点でそれはまだ未熟なんである。多分、重い病気やけがによって人生観が一変した、みたいなのもそうだと思う。目からウロコのようなものが剥がれ落ちたとか(新約聖書使徒行伝9章18節)。あれはちょっと違うか。

と、隙あらば面倒な話を仕掛けて行くスタイルでノールビンドニングをやっていくわけなんだけど。

 

昨日、ちょっとした買い物にホームセンターへいったところ…多いなるひらめきを得たぞ!というだけの話にここまで長々と前書きをしてしまったが!

 

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これ!

冬用のフェルトのインソール。あったかい。89円。やすい。

これを見て、「このインソールの周りをぐるぐる縫っていったら、普通にスリッポンになっていくんじゃないのか…!?」と思ったわけだよ!

なんといってもフェルトだし。毛糸もフェルト化できるし。

20分ほどインソール売り場でいろいろとシミュレートしてみた結果、いけそうだと考え、89円でスリッポンの元を手に入れてきた!

俺の足は28.5cmで、このインソールは28cmまで対応だからちょっと小さいけど。どうせ室内履きだし、毛糸で周りを縫うわけだから多少の大きさの差異はなんとでもなろうということで。

そしてこれを…

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目打ち針で穴を開けて行く。大体目分量で。俺のステッチの幅はだいたいこんなもんだったはずという。

レザークラフトと基本的には同じだよね、この辺は。

多少間隔が開いてしまっても針を打ちなおせばいいし、あるいは増し目減らし目で調整すればいいからあんまり神経質にならなくてもOK。

でもこれ、二つまとめて穴開ければよかったなぁ。結構時間かかったよ。地味な作業だし。

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開け終わったら、とじ針を使ってこのように縫っていく。

多分一段目が一番大変!

この段階で、インソールから足がはみでそうな部分や余る部分は増し目減らし目をしていくと、最終的な見た目がよくなると思う。土踏まずは減らし目、小指側は増し目、みたいにね。まぁ毛糸だし、スリッポンだからすぐに自分の足の形になるんだけど。

ひたすら縫ったよ。

今回は初心に戻ってブロディエンステッチ。

ノールビンドニングのスリッポン2段目

二段目は特に何も考えずにそのまま縫う。増し目減らし目無し。

だいたい、二段目のあたりで足の指の高さになるから、3段目から減らし目をしていくと、靴らしくなってくるよ。

ノールビンドニングのスリッポン

そして、4段編んだあたりでこんな感じに!

…スリッポンというか、カンフーシューズっぽい!

これは…最近サボりがちな太極拳の練習を思い起こさせる何かが…!

このままでも十分に足にフィットするし、履きやすいからこれで完成!といきたいところだったけど、やはり、もう少し何とかしたいと。このままでは地味すぎるぞと。

そういうことで、写真は撮ってなかったんだけど、上靴のような足の甲を抑える、ええと、なんていうんだ、渡し?みたいなものと、ベロを別に作って、毛糸でとじ合わせた。

 

ノールビンドニングのスリッポン

そして、最終的な完成を見たというわけさ!

…何か、とても可愛いが!

まさか俺がこのような可愛いモノをつくるとは…!

しかし、可愛くてもこれは28cmあるからね!大きいぞ!写真に騙されてはいけない…!

本当は何かしらボタンがあるとよかったんだけどね。

でもとりあえず、右足分は完成!

しばらく履いてみると予想以上に暖かいというか、まだこの時期では暑いほどだったので、冬本番まで今後作る左足とともに出番待ちかな。

 

片足分で,35mの毛糸を一個半(ベロ分も含む)使ったから、ざっくり55mあれば足りる感じかな?

28cmだからこんなことになったわけで、通常の場合は1玉でギリギリ行けるかもしれない。

 

ちなみに、「インソール使うってアイディアはそうそうないんじゃないか…?」と思った直後に「いやそれはないわ。絶対試してる人いるわ。間違いなく」と、先達の存在を確信しつついろいろ検索したら、ばっちりみんな作ってました。

insole crochet」で画像検索したら、みんな作ってるな!中には外用のサンダルを加工している強者も。麻糸や亜麻糸で作れば、夏用にもなるかもしれないね。