自民党の問題は、そもそも自民党が万人向けの政党ではなかったからなんじゃないかな、という話

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昨今の自民党の政治について、

いろいろ言いたいこととか、あーーーーーもうっ!!っていうのはあるけれど、とりあえずそれはひとまず置いておくとして。

たぶん近年の自民党のいろいろな問題というのは、そもそも自民党が万人向けの政党ではなかったというところに原因があるのではないかな。

と。

ふと、電撃的に思い当たったわけだよ。

 

自民党は民主主義を理解していない!とか、

無能だ!とか、

邪悪だ!と言う話ではなくて…

自民党が想定している支持者と全然違う層が支持してしまったから起きたバグなんじゃないかな。

今回、コロナウィルスの件で全国の小中学校に休校の要請をしたけれど、それによって生活が成り立たなくなる家庭というのは、自民党の想定する支持者ではなかったということなんじゃないか。

これまでの自民党の政策についての「どうしてそうなるんだ?」という感覚は…「政治」という舞台だから理解できないわけで、市場として理解すると結構筋が通る。

例えば、年収400万の人がロレックスが欲しいと思っても、その人はロレックスの想定顧客じゃない。当然本体は100万単位でお金がかかるし、メンテナンスも10万単位。さらには1本だけ所有するという想定もなくて、何本か所有して場面に応じて使い分けてもらう、というのがロレックスの想定するお客さんの姿だろう。

自民党もそれと同じで、「自民党の想定する顧客」と、「実際の顧客」の層に盛大にズレがあるので大変にバグるのではないか。

政治なのだから、自民党側が国民の実態に寄り添うべき!というのが理想ではあるのだが…どうもこれについては、そうではないようだ。

 

だから自民党の人も「なんでこんなに俺たちの論理が通じないの」と困惑しているかもしれない。自分たちは自分たちの顧客に向けて頑張っているのに、なぜこんなに文句を言われるのかわからない。そんな感じはしてくる。

 

それが昨今の自民党の強弁につながっていってしまってるんじゃないか。

 

ロレックスの例でいうと、ロレックスを買えない人が「買わせろ!」と言っても、「いやー、それは無理です。すみません」となるしかないように、自民党に「こっちに合わせろ!」と言っても「いやー、それは無理です。すみません」となる。

ロレックスやパテックフィリップの主要顧客は年収1億以上の人、みたいなもので。

そもそもレイヤーが異なってしまっているので双方に論理が通じない。

なので、どう頑張っても、最終的には「年収400万ではロレックスを持てない/持つ意味がない」ということに気づく勇気を持つしかない。

もちろん、気合いを入れてお金を貯め、夢だったロレックスを買うのは素晴らしいことだ。でも、それは万人に強制していいことじゃない。

年収1000万以上で資産運用も十全で、妻には家にいてもらって夫は外でバリバリ稼ぐ、という人ならロレックスも自民党もぴったりなのだが、その半分以下の収入の人はその生活をまねできないし、逆にまねてしまっては危険だ。

つまるところ、現状はそういうことのような気がする。

「身の丈に合った生活」をするというのは、結構な勇気が必要なことだ。

しかし、背伸びをしてはいつか破たんする。コロナで収入が1か月なくなるとか、そういう事態になった時に破たんしてしまう。

 

ただ、これは自民党が絶対悪だからか、と言うとちょっと違うと思う。

ものすごい極論をすれば、自民党が完全に邪悪で、国民の生き血を吸わんとイルミナティばりの策謀を日夜巡らしている悪の組織だったとしても、別にそれは問題はない。まぁ明らかな犯罪行為をしたらアウトだけど。

なんといってもここは言論、思想の自由が保障された国だから、そういう思想をもって活動してもまぁ、うん、それはそれで、大丈夫なのだ。

だけど、本質的に万人向けじゃない政党が多数をとると、少数派向けの政治を多数に向けてやってしまうので、現実との齟齬がものすごい勢いで出てくる。

 

貴族と平民で例えるとするなら、

 ・貴族は平民を保護し宥めすかしておく

 ・平民は貴族に従いながらもその庇護を受ける

という相互依存の関係であるのが長続きするのだが…。

ここで平民が貴族を全面的に支持してしまうと、途端にすべてのバランスが崩れるわけだ。

平民が貴族に完全に従ってしまうと、貴族には平民を保護する必要がなくなるので、貴族は貴族の為だけに生きていても問題なくなる。「ナメたことやってると平民が反乱を起こす」という意識は、貴族にとっても平民にとっても重要だ。

 

この相互依存の形が崩れたのが、現在の自民党と国民と言うことになるだろうか。

まぁ、近代国家に身分は存在しないので、総理大臣だろうが非正規労働者だろうが完全に対等で、単に役割と責任が違うだけで上下などあり得ない、というのがこの社会の本当の姿のはずなんだけども。それはどうやら理想らしいのでね…。

 

まぁ長々と書いてみたけれど、昨今の自民党の政治についてのモヤモヤが晴れた(なんか嫌な感じになっちゃったけど)ので、とりあえずはよしとするよ。

 

結局のところ、背伸びせずに自分が求めるものを見据え、それを実行できるよう力を尽くすという勇気は、なかなか持てないものなのだ。

こればっかりは、誰かに罵倒されたりして湧いてくるものではないので、難しいところだね。

 

善悪ではない、根本的なすれ違うがあるんだと思う。

「俺たちの世界ではこれが普通なのに」と思うことは日常でもたくさんある。

正社員と非正規雇用者では見る景色が全く違うし、

男性と女性では世界がまるで違う。

身長の5cmの差が価値観を全く変えることもあるし、

体重2kgの差が深刻な断絶を生むこともある。

眉毛の位置が5mm変だからといじめられたりする。

残念ながら。

 

勇気の問題だけれど、万人に勇気は備わらない。