ここは地の果て、流されて、俺 -発達障害と診断されまして②-
前回の記事の続きです!
憧れのロールシャッハテスト
臨床心理士さんのところで心理検査WAIS-IIIを終えた勢いに乗じてロールシャッハテストを受けることになった俺。
この時を待っていた…!
洋画脳の俺には「凶悪な犯罪者が受けて適当な答えを返すもの」みたいなイメージがあり、アメコミ脳の俺にはアメコミ不朽の名作「WATCHMEN」のロールシャッハさんのイメージである。
Walter Kovacs (Watchmen) | DC Database | Fandom より
シャッハさーん!指折ってくれー!
ロールシャッハテストは近年その有効性に疑問が持たれているということもあり、なかなか実施されないらしいんだけど、せっかくここまで来たのだし受けさせていただくことにした。
何か象徴的なインクの染みの絵を、8枚ほど見てそのひとつずつに「これは何に見える」とやっていくわけだけど…
なかなかに体力を使う!
というのも、洋画に出てくるワルのように一言で「〇〇だ」と切って捨てるものではなく、「他には何が見える?」「もっと詳しく」「この部分は?」とどんどん訊かれていくというもの。ナメた態度で受けられるほどヤワなものではないぞ!
心理検査と同日に行われるのかと思ったんだけど、「体力を使うから」ということで二日にわたって検査を行った理由が分かった。
いやぁ、脳が疲れる!
「この絵は何に見えますか?」
「……道路に見えますね」
「どのような道路ですか?」
「………石畳で…両側に木が植えられていて…大きな街に続いているように思います」
「その町はどのような街ですか?」
「……産業革命的な…石炭と鉄とジンの香りがしますね…」
「ほう……では次のこの絵は?」
「槍を携えた大天使ミカエルに見えますね」
「これは手の施しようがない大変な中二病ですね…その一言だけであなたのようなヒゲ男がどのような人生を送ってきたのか手に取るようにわかります。逃れられない中二の病があなたの脳と精神を蝕んでいるのが認められます。もはやこれは救いがたい業病に侵された哀れな社会不適合者と言わざるを得ませんね…」
「まこと申し訳ありません…」
こういう感じのやり取りが1時間以上続くという、非常にハードなテストだ。
もちろん上記のやり取りはフィクションというか…大天使ミカエルのところまでは実際のやり取りなんだけども。
実際は臨床心理士さんは「個性的ですね」というコメントでした…!
で、大天使ミカエルあたりはまだ優しいというか、言いやすい範疇で…
中には、ブログ等では記せない物に見えたものもあってね。
でもそう見えたものを隠すと検査にならないから、「大変言いにくいのですが」と前置きをして素直に全部言いました。
そういった葛藤も含めて、ハードな検査だったよ!
「マジで俺はこれがあれに見えるのか!?」という自身の心との対決!
心理検査よりも疲れた…!
ロールシャッハテストの結果と……
「テストの結果はなるべくオブラートに包まず、厳しめにお願いします」
と臨床心理士さんにお願いしたら…本当に容赦なくてちょっと笑ってしまった!
このロールシャッハテストは性格検査に分類されるようで、自分がどのような性格なのかだとか、感情がどのように発露するのかを分析する目的があるみたい。
洋画で主に悪党に対して行われるのもわかるね!
俺のロールシャッハテストの結果は…
・抑圧された怒りが見られる
・他者との意味のあるコミュニケーションを継続させることが困難である
などなど…
「これはつらい」な結果がドカンと並びました!
まぁ、その…このロールシャッハテストを受けたのが「彼女とお別れした直後」だったので…。
もしかするとそれが検査に反映されたのかもしれず…!
「あ、ちょうど今『他者との意味のあるコミュニケーション』が破綻したところです…」
という感想しかなかった!
ええと、具体的な流れとしては
・臨床心理さんのところに行き、お話と今後の検査の予定を立てる
・その帰り道、彼女から「今夜、話がしたいからうちに来てほしい」と連絡を受ける
・それならワインを買っていこう、地場ワインあったはずだし、とのんきに考える
・その夜、別れ話が出る
・その場でお別れする
というのが一日で起こって
・翌週、心理検査を行う
・その翌日、ロールシャッハテスト
・数日後、結果が出る
・「他者との意味のあるコミュニケーションが継続できない」
・おっしゃる通りでした!
という流れですね…。
俺としては、「心理検査受けるよ!」と彼女に楽しく報告するつもりでしたが…。
「いや、ちょっとお前、『彼氏』とか『夫』には向いてねぇわ」
というのがロールシャッハさんの見解だったということになりますね…!
…発達障害の話をするつもりが、辛い思い出の解説になってしまっているのだけれども!
しかし「他者とコミュニケーションを継続させることができない」というのはキツい結果だけれど、それをきちんと自認するのは大事なことだと思うようになったかな。
心理検査、いわゆるIQテストでIQ120(最大IQ133)という結果が出ただけだと、浮かれて傲慢になってただけな気がするし。ロールシャッハテストと彼女とのお別れによりブレーキがかかったというか、落ち着いて自分を分析できたというか。
いい具合の天の配剤だったように思う。
心理検査とロールシャッハテストの結果から
知能検査、性格検査、そして彼女とのお別れという3つの要素からかなり自分のことが分かったように思う。
自分は言語理解能力は相対的に高いが、一方でワーキングメモリーが弱い。
また静かな環境では最大の能力を発揮できるが、騒音や外部からのストレス要因があると途端に能力が落ちる。
特に聴覚による影響が大きく、雑音が鳴っているところでは集中力が全く持たない。
実は物事の順序や因果関係をあまり理解していない。
という傾向がある。
そして「物事の順序があまりわからない」という特性が、他者との円滑なコミュニケーションを阻害していた、ということなのだろうと思う。
それが「相手の気持ちを理解する能力に欠ける」という形で表出するようになり、お別れに至ったのかなと。
思い返してみると、自分は突然変な理解の仕方をすることが多々あって、「今の会話の流れではそうはならんやろ」な瞬間があった。
でも表面的には言語能力が高いので「yajulくんは頭がいい」とみられることが多く(自認もしていた)、「おかしな勘違いが多発すること」が見過ごされてきたというか…覆い隠せてしまっていたのだろうと思う。
この「隠せてしまった」のが厄介なところで…。
普段は「yajul君は頭がいい」と思われているゆえに、「変なことはしないはず」というバイアスが自他ともにあるので、決定的な瞬間に「こいつはおかしな人間だぞ」とクリティカルな審判が下る、ということを繰り返してきたように思う。
友人関係もそう。
今思い返すと「俺はなぜあの場面であんなことを言ったんだ」という瞬間がいくつもあり…。空気を読まないとはちょっと違う種類のおかしな言動を決定的な場面でやってしまってきた。
もちろん、やってしまったときにちゃんと説明すれば理解を得られたのだろうけれども、落ち着きのなさゆえにその後のフォローをしなかったというのがある。
そういうわけだから、「あなたとの未来を想像できない」と言われるよね…!
……何かだんだん辛くなってきた!
助けてシャッハさん!
「世界は天を見上げてこう叫ぶだろう。“助けてくれ!”と」
「見下ろして俺はこう答える。“No”だ」
…だめか!
心理検査の後
そういうわけで臨床心理士さんのところへ通い、心理検査を実施してもらったのがおよそ二年前。
心理検査だけでは発達障害かどうか診断はできないので、臨床心理士さんに書いてもらった病院への紹介状を携えて心療内科などに行けばよかったのだが…。
心理検査の結果である程度満足していたことと、派手なダメージを心に負っていたので、しばらく何もする気が起こらず。
心理検査受けよう!お別れ!結果出た!俺結構ダメじゃない!?
というコンボが二週間くらいの間に起ったので…。
そこから本格的に「発達障害である」となるまでに二年の歳月がかかることになるわけですね!
心理検査をした2年前の時点では発達障害だと確定はしていなかったものの、今から振り返れば、突出した能力の部分で短所を補えてしまうことが災いして、自分が発達障害であると自覚できずに「なぜ俺はこんなにダメなんだろう?」「みんなが普通にできることが自分にはできない」「どうやったら私も普通になれるんだろう」と思い悩んでしまうのは発達障碍あるあるだそうで…。
コンプレックスというのは、コップのようなもの。
コップの一部分が欠けていれば、水はその欠けた部分までしか入らない。
他の部分がいくら高くとも、その欠けた部分に意識が行ってしまう。
発達障害の生きづらさというのはこういうことだと思う。
そんな自分と関係を継続してくれた友人たちには感謝しかないね!
ありがとう!
ちょっとだいぶ思い出話をしてしまったけれど、次からは発達障害と正式に診断され、薬物治療を開始することを書いていこうと思うよ!