万年筆・エラボーの塗装を剥がしてブラス万年筆にする
前回、万年筆・エラボーのキャップの分解をしたかったのには訳がある。
それは…
エラボーの軸を塗装したかったから!!
そう!
万年筆愛好家の永遠の課題!
気に入った色の軸がない問題を…DIYすることで解決を図りたい!
万年筆と言えば誰もが思い浮かべる、黒と金(あるいは銀)の葉巻型のフォルム。
これは万年筆界隈では「仏壇万年筆」と呼ばれているんだけど…猫も杓子も仏壇カラーではさすがに味気ない!
もちろん、「それがいい」という人が多いからこそ仏壇カラーがスタンダードなわけだし、自分自身「それはそれであり」と思っているのでことさらに仏壇万年筆滅ぶべしとは思わないんだけど、それでもやっぱり別の色が欲しいなぁと思ってしまう瞬間はある。
となれば…当然の帰結として…
好みの色がなければ自分で塗ればいいじゃない!
と脳の中のマリーがささやくことになるので、今回、エラボーを自分の好みの色に塗装しようと思い立った。
結構葛藤したけどね…!
まずは観察
実際のところ、塗装をするのはさほど難しくない。下地処理をして、ちゃんと距離を一定にしてスプレーをしたりすればきれいに塗れる。
しかしそれは看板とか柵とかのはなしで、万年筆の場合はキャップと本体が重なり合う関係上、あまり厚く塗り重ねるとキャップができなくなってしまう。
なので、一度塗装を剥いで塗り直さなければならない。
そういうこともあって、今回はエラボーの金属軸にした。
エラボー金属軸はプラスチック軸よりも装飾がシンプルなので、塗装しやすい形状だったのもポイントだ。
それに、プラスチックだと下地処理で削った時に折れる可能性が出てくるからね…!
というわけで観察。
よくよく見たところ、塗装の膜はそれほど厚くはなさそう。塗料はラッカーのようだ。
万年筆は小さいので、塗装剥がし液をわざわざ買ってくることもないなと判断した。
紙やすりで削れば順当に剥がれてくれるはず。
…まぁ、エラボー金属軸の塗装はきれいだから、これをわざわざ剥がすのはしのびないんだけど…。
俺は…白軸エラボーが欲しかったんだ…!
だが…ラインナップにはなかった…!
しかも、白軸エラボーはすでに限定商品として登場してしまっている。
となれば、白軸が一般に販売される可能性はまずないだろう。一般販売しちゃったら限定で買った人が微妙な気持ちになっちゃうだろうしね。
いたしかたないところ!
紙やすりで塗装を剥がしていく
塗装を剥がす!
と決めれば、もう迷うことはない。
…ないはずだ!がんばれ俺!
とりあえず、手持ちの最強の紙やすり、100番でゴリゴリやってみる。
(これは失敗だった!)
ゴリィ…
…申し訳なさがつのるな!
しかし作業途中というのはこういうもの。これを美しく仕上げるために頑張るのだ。
ゴリゴリ…
ゴシゴシ…
やってられねぇ!
もう我慢ならん!俺はドリルを使うぞ!
長めのドリルビットにマスキングテープを巻いて軸にぴったりはまるようにし、根本も固定。
あとはドリルを回してそこにサンドペーパーを当てれば簡易旋盤になって美しく塗装も剥げるというもの!
いいかい…ドリルは…一家に一台は必要だぜ!ドリルがあれば、このように簡易旋盤にしたり、もちろん穴をあけたり、ガンコなカビを一撃で消し去ることができたり、何となく強くなったような気がしてくる。おすすめ!
ドリルと言うと男性のイメージだけど、むしろ俺としては女性にこそドリルを持ってもらいたい。
機械や道具というのは、体力差をなくすために存在しているからね!
ワインの栓を開けるアタッチメントとかもあるぞ!
マッチョが細いドライバーを片手に家具組み立てに四苦八苦している隣で…インパクトドライバーの轟音とともに一瞬で組み立て終える…そんなレディになってほしい。
さすがにインパクトドライバーはやりすぎかもだけど、ごく普通のドリルドライバーがあると本当に便利だよ。
さすれば、このように美しい黄銅が顔を出すわけだよ!
何のことはないね!小学生女子でもこのくらいはあっという間にできる…それがドリルのパワーなのだ…!
120番、600、800でこの状態。
最初に120を手でやったのが不味かったね。深い削り跡が残っちゃった。最初からドリルでやればよかったなー。
ドリルで削るときに気を付けるのは、摩擦温度ね。
真鍮は熱伝導率が高いから、プラスチック部品にまで熱が到達して歪んでしまう可能性がある。
一度の切削の時間は抑えよう。
…でもこれ、きれいだな…。
この後、グロスホワイトで塗装する予定だったけど…
このままでいいんじゃないか…?
真鍮のヘアライン加工のエラボーで…。
いわば…ネイキッドエラボーで…!
むしろネイキッド・ファルコンで!
(エラボーの海外名はファルコン)
とりあえずネイキッド状態で使っておいて、どうしても色が塗りたいときは改めて塗ればいいんじゃないかという決着を脳の中に見た俺は、これでフィニッシュにすべくピカール先生に助力を請う。
ピカールをやり過ぎるとヘアラインが消えてしまうので、ちょっとだけ。
本当は鏡面仕上げでもよかったんだけど、その場合指紋が気になっちゃうので。
かくして金属軸エラボー(レッド)は、ネイキッド・ファルコンに生まれ変わった…!
…だ、ダサいか!?
でもこれで経年変化が楽しめるね!
どういう感じになるのか、今から楽しみ。
むしろ色を塗らなくてよかったかも?
塗装がなくなってちょっと軽くなった気もするし、使い勝手もよくなった感じがするしね!