Pilot社の万年筆・エラボー(金属軸)のキャップを分解する

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Pilot社の万年筆・エラボー。

海外ではFalconと呼ばれていて、万年筆界隈では有名な「あの動画」に登場する万年筆。

通常の万年筆とは違い、ペン先がまるで鳥のくちばしのような独特な形状をしていて、これが日本語筆記に大変なパワーを発揮する。万年筆愛好家なら一度は手にしたいモノとなっている。

もちろん、その独特さゆえに合う合わないはあるので、「これこそが最高」というわけではないけれど。

 

ちなみに「あの動画」はこちら。

www.youtube.com

初見のひとにはこちらのパート2のほうがキャッチ―かもしれない。

youtu.be

ASMRだね…!

 

ただ、こちらのFalconは大幅に改造されているので、通常のエラボーやFalconを買ってもこんなにならないので注意が必要。というかこんな風にしたら一瞬で壊れるからね!これは観賞用です!

と、「あの動画」についてお決まりの話をしたところで、本題に入ろう!

 

これ以降はひたすらキャップの分解工程が書かれているだけなので、キャップの分解に興味がない人は…ここまで読んでくれてありがとう!

 

 

エラボーのキャップの分解

さて、分解。

ペン先部分の分解はいろんなところで情報が得られるけれど、キャップの分解となると情報がガクっと減る。

分解したい人なんてほとんどいないから当たり前なんだけど!

そういうわけで、いつかの誰かのために、ここに書いておきたいと思う。

 

当然ながら、圧倒的に自己責任なので、「ここに書いてたからやってみよう」という軽い気持ちでやると危険だ!

その辺は…よろしくお願いしたい!

エラボーの金属軸は2万7千円だからね…。すごく高いからね…。これやるとPiloto社のサポートも受けられなくなるだろうし。責任は本当に取れないからね…!

 

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そういうわけで、まずは観察する。

インナーキャップが入っているのが見える。

キャップ分解は、まずはこのインナーキャップを取り外した後に、キャップの天冠のネジを外すのがセオリー。

 

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まずはカスタムヘリテイジ912でやったようにゴリ押しでインナーキャップを外しにかかる。

 

yajul.hatenablog.com

 が・・・だめ!

エラボーは明らかに設計が違うので、やはりこれでは上手くいかない。

うーむ、どうしようと色々とつつきまわしてみる。

 

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二週間くらい悩んだ末…

インナーキャップを引き抜くことができないなら、あふれるパワーで押してみればいいじゃない!

脳の中のヴァイキング的なマリーがささやく!

まじか。

や、やるのか…?

やってみるか…!

…結構な力を込めて押してみた。

下手すると壊れるよねこれ!

まずくない!?

(棒の先端が平面のものを使うの推奨。先が尖っていると、インナーキャップを壊してしまう可能性があので)

 

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やばい、死ぬ(経済的に)!と思ったけど…何か、天冠に隙間が見えた!

これいけそうだよ!

そこで、しっかりとインナーキャップを押し込みながら天冠を回す。回る。おお!

ゴム板か何かではさんで回すと楽だと思われる!

 

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回していく。

 

しかしここで気を付けなくてはならない!

ネジが外れるとき、何が起きるかわからないので…

くれぐれもごちゃごちゃした場所や、机の上ではやらないほうがいい。

小さなパーツがはねてどこかへ飛んで行ったらそれで27000円が終わるのだ。

可能なら、洗面器やタライ、大きなボウルの上でやりたいところ。

ともかく、十分気を付けて。

 

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天冠が外れる。

それと同時に、インナーキャップが落ちる音が聞こえる。

 

…まぁこの写真は…後で撮ったものなので…最初はパーツが落ちて探すのにすごい時間がかかったんだけどね…。

皆は俺の轍を踏まないでくれ!

 

 

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キャップをあけるとそこにはインナーキャップが。

 

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インナーキャップ先端にバネが付いている。なるほど、これによってインナーキャップは首軸にきっちりとくっつくんだな。プラチナ社のスリップシール機構みたいな感じ。

それと、このバネがクリップにも作用して、エラボーのクリップのクニクニした感じを生み出しているというわけだね。

エラボーのキャップを外すとき、妙にクリップが横に曲がるのが気になる人もいると思うけど、あれは強度が弱いわけではなかったので安心してほしい。クリップ自体は極めて堅牢だ。

 

写真にははっきり撮ってないんだけど、エラボーのクリップを抑える部分が細長いので、あえてクリップが横にクニクニ横に動くように設計されているようだ。この辺は好みだね。自分は気に入っている!

 

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ただちょっとバネが錆びてる?のが気になる。

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2019年3月製造なので、1年半ちょっとなんだけどね。

(Pilot社の万年筆のペン先には、製造年月が独特のコードで刻印されている。この場合は「319」なので、「3月、19年」で2019年3月製造とわかる)

 

キャップはあまり水洗いしないほうがいいかもしれない。

 

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さて。

インナーキャップもこのように3つの部品からなっている。気を抜くとどこかに転がっていってしまうので注意だ。

インナーキャップの中に、さらに黒いインナーインナーキャップが付いている構造だ。

 

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天冠と合わさるネジには、マイナスドライバーが噛む溝が付いている。

なので、インナーインナーキャップを取り除けばマイナスドライバーを使って簡単に外すことができる…が。

インナーインナーキャップだけを外すのはかなり難しいと思うけど、細い棒の先端に強力な粘着テープだとか、糊のようなものを付ければインナーインナーキャップは外れるような気がする。

 

あ、写真のインナーインナーキャップがへこんでいるのは、俺が棒で強く押した時についたもの。

次からは気を付けよう…!

 

さて、これでエラボー/Falconのキャップを無事に分解することができた。

誰かの役に立ったならとてもうれしい。

 

全パーツの写真を撮り忘れてしまったのは痛恨だけども…!

 

マスキングテープで細かい部品をまとめる

 

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今日は再組立てする気力がなかったので、細かい部品はこのようにマスキングテープでぐるぐる巻いておく。

 

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こうすると、細かい部品をなくしたりしないし、余りがちなマスキングテープの活躍の場が広がるのでお勧め。

釘や尖ったネジ、針、剃刀の刃、カッターの刃などにも使えるし、

自作PCのパーツの小さなネジなどを保管するときもとても便利。

マステならグルグル巻きにしてもキレイだし、すぐにはがせるからね!