パイロットの万年筆・カスタムシリーズのキャップを分解する
果たしてどれほどの需要があるかは不明だけれど、いつか誰かの役に立つかもしれないと思い、パイロット(Pilot)社の万年筆、カスタムシリーズのキャップの分解方法を書き残していこう。
今回はカスタムヘリテイジ912を例に使ったが、他の74とか823も同様の構造をしているらしい。
キャップを分解するには、まずキャップの中に入っている内蓋、インナーキャップを取らなければならない。
インナーキャップはキャップの中にただ入っているだけだから(固定されていない)、強引に引き抜くことが可能。
まず、引き抜きたい万年筆の首軸よりも細い棒、あるいはペンを用意する。
それにテープをぐるぐる巻いて、首軸よりほんの少し細いくらいにする。
テープはなんでもOK。セロハンテープでもいい。
今回はマステを使用。
ぐっと突っ込む。
突っ込んだら、グイっとねじりながら、インナーキャップを引き抜く。
上手くいくと、このようにインナーキャップがくっついてくる。
インナーキャップは柔らかい素材でできているので、そうそう割れない。
とはいえこれは自己責任になってしまうので、絶対大丈夫というわけではないけれど。
テープを巻きすぎると上手くいかない。
国産万年筆が乾きにくいのはこのインナーキャップがキャップの中で首軸にぴったり合うから。中華万年筆だと精度が甘かったり、そもそもインナーキャップが無かったりする。
インナーキャップを抜くと、キャップの中はこのようになっている。
中の金具が見えるだろうか?円形を平行に削った形をしている。
そこに、ピンセットを突っ込み、金具をはさむ。
今回は眉毛を整えるための毛抜きを使用。
先が尖っているものより、マイナスドライバーのようになっている方が力をこめやすい。
ちなみに写真ではクリップが歪んでしまっているように見えるが、これは外し終わった後に写真を撮ったので、クリップが外れているため。
ピンセットをしっかりと保持しながら、クリップの上の部分をねじって外すのだが、これがなかなか力が必要。
素手では太刀打ちできないので、革の切れ端や、ゴム板などを用意するといい。
ピンセット側とキャップトップ側に一つずつあると案外あっさり回せる。
以上!
構造がわかってしまえば簡単に分解できるので、パイロット特有の雨だれクリップをヘリテイジ系列のに代えたいとか、蒔絵シールをクリップの裏側にかかるように貼りたいという場合に便利。
ただもちろん自己責任になってしまうし、分解すると保証は受けられなくなるはずなので、そこは慎重に。
決して安くない万年筆なので、大事に扱っていこう。