錫のゴブレットにルーン文字を刻む - ピカールで人生は6821倍豊かになる -

毎年…12月から1月の間は「今年(去年)、買ってよかったものリスト」があちこちのブログで紹介されている。

どれを見ても、「おぉ、俺の生活のレベルがアップしそうな逸品ばかりだぜ…!」

とおののくばかりだ。

その潮流に乗って、俺もこの1月の末に、そのようなものを書いてみようと思う。

 

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それはこれ…!

ルーン文字が刻まれたゴブレットを手にするまでの出来事の話だ…!

まさに中二病発症から20余年、このルーンゴブレットにより、俺の魂が救済される音が脳の中から聞こえてきたというわけさ…!

 

そういうわけで、これを手にした経緯から話そう!

 

誰だってルーン文字に魅せられる

そうだろう?

誰だって!ルーン文字とか!なんかそういう魔術的なかっこいいものに!心奪われたことが!あるはずだ…!

数年前に、北海道は当別にあるスウェーデンヒルズルーン文字を本格的に(と言っても趣味レベルだけどね)学んでから、とりあえず国内で手に入るだいたいのルーン文字関係の書籍を取り寄せたり買ったり借りたりして一通り読んでみた。

いやぁ、面白かったよ!

ネックになるのは、単に「ルーン文字」で検索するとゲームや占い関係が大量に、それはもう大量にヒットするので、体系的な知識はなかなか得られない。「どうせならルーン文字について根本的なところから知りたい」と思っていたので、学術的なルーン文字の本を探したわけだよ。

というわけで最終的な知見として、占いではないルーン文字を勉強したいなら、ルーン文字の世界―歴史・意味・解釈 か、ルーンの教科書―ルーン文字の世界 歴史・意味・解釈のうちどっちか一冊読めば十分だと思う。ちなみにこの2冊の著者は同じなので、よほどのマニアでなければ両方読む必要はなかろうと思う。

これを読めば…「ルーン文字」が出てくるドラマとかゲームとか漫画とかアニメとか小説とか見た瞬間に「ほほう…ルーン文字か…どれ、『いつの時代の』ルーン文字なのかな…!?」などと極めて面倒くさくなってしまうので、そこは自重を促しておきたいところだ。

知識を得て面倒くさい人間になるのは教養人とは言えないぞ!

じ、自戒を込めまくっての話だが!

ちなみに当然ながらルーン文字について知りたい人が日本にそれほどいるわけもなく、この2冊ともすでに絶版になっている。「ルーンの教科書」は2012年出版なのだが…。

どの通販サイトでも値段が1万超えという恐ろしいものになってしまっている。しかし図書館には普通に置いてあったりするので、覚悟を決めて高いお金を出す前にまずは地元の図書館で扱ってないか調べてみるといい。大学の図書館なら存在する確率も上がると思う!

どうしても見つからない、でもそんなにお金はない、という人(俺もだ!)は、北海道の札幌中央図書館に「ルーン文字の世界」は確実にあるので、最寄りの公立図書館に「ほかの図書館から取り寄せをお願いしたいんですが」とお願いするときちんと取り寄せてくれる。この制度は本当に素晴らしいので、是非活用してほしい。

知を求める国民に最大限の努力をもって応えるのが図書館の使命だからな…!

中央図書館からの取り寄せだと、俺が読んだ本がそのままそっちに行くと思う。全くうれしくない情報だろうけれども…!

本は綺麗だったよ!(そもそも読む人が少ないからなんだろうな…!)

誰だってルーン文字の入ったアイテムは欲しい

そうだろう?

誰だって!ルーン文字とか!なんかそういう魔術的なかっこいいものが!刻まれた何かを手にして!ウフフと笑ったことが!あるはずだ…!

そう、例えるなら、ルイ・ヴィトンのエンブレムよりもルーン文字を選ぶ。

そんな人は…実は結構多いはずだ…!

まぁ、見方を変えればブランドロゴも魔術的な刻印ともいえるわけだしな。

ブランドロゴは、その品質と出自が明らかになっているという効果のほかに、「実はその品物は真の意味で自分の物になっているわけではなく、あくまでもそのブランドのパワーを借りているに過ぎない」みたいなちょっと面倒くさい思考が走り始めたけれども、ここでそれをやるのはやめておこう…!

俺も…何かしらのブランドのパワーで今の生活が成り立っているわけだしな…!

藪蛇だな!

 

で、ルーン文字を学んだからには、そのルーン文字で何かをしたい。

そう思うのは人間のサガ。

そして俺も木工の徒として…隙あらばルーン文字を刻み込み、「何それ?」と言われるたびにちょっとダメージ受けてたりしたんだけど、やはりルーン文字を刻みたい欲は衰えを知らない。

食欲と睡眠欲に次ぐルーンを刻みたい欲が俺を駆動するのだ。

で、そんなときに。

メルカリで「錫のゴブレット」を何となく発見した!

そこで天啓が舞い降りるわけだよ…!

これだ!

錫のゴブレットを安く買い…そこに刻む!ルーンを!オーディン神の恩寵をな!いや俺に恩寵があるのかは定かではないが!

光の速さで即購入し、心頭滅却して到着を待ち、届いたのがこれだ…!

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アンティーク好きとしては、もうなんかこれだけで十分な感じがするほどにいい感じなんだが!

おそらくヘアライン加工されたその溝にサビ的なものが入ってしまったのだと思われる。

錫のゴブレットは結構たくさん売っているけれど、ここまで背の高いものはなかなかない。高さ17cmなので、500ml缶よりも2,3cm高いのだ。それに形がかっこいい!

こういうのも俺は求めていた…!

表面がサビサビしてしまっているけれど、しかしこれは全く問題ない。

 

サビている?

削ればいいじゃあないか…!

金属は削ることができるんだぜ…!?

 

そう、俺たちは…21世紀の人間だ。

あらゆる材料を加工することができる!…というくらいの気持ちでいても大丈夫だ!

ホームセンターはゾンビを迎え撃つための施設ではなく、あくまでも「お前の加工を支援する」施設であることを忘れてはいけない…!

ホームセンターが好きな人は映画「イコライザー」を見てくれ。俺たちのデンゼルがホームセンターの魅力を的確にプレゼンしてくれるぞ!

 

さて、「イコライザー」を見て創作欲を盛り上げたところで、ルーンの刻み方を紹介していこうと思う。

 

誰だってルーン文字を刻んでみたい

そうだろう?

誰だって!ルーン文字とか!なんかそういう魔術的なかっこいいものを!自分の手で!かっこよく刻み付けたいじゃないか…?

刻むにあたって用意する物は以下だ!

 ・ミニルーター

 ・ヤスリ

 ・ピカール

 ・情熱

 ・中二病というレッテルに負けない鋼の精神

たったこれだけと言うわけさ…!

ミニルーターはそこそこの値段がするけれども(7000円くらい)、ミニルーターがあればあらゆるものにルーン文字を刻めるのでルーンマスターたらんとするならば持っていて損はないぞ!

そう、そこら辺の木工製品から、何となく買ったけど使い道のない鉱石とかに、ひたすら刻みまくれるというわけだよ…!

そこら辺の木片が!ルーンの魔力を宿したお守りに変化する…!

あるいは、何となく20年くらい使ってるボールペンにルーン文字を刻めば、今後の47年を相棒として活躍してくれるはずだ。

ミニルーターがあれば、それができる…!

ワクワクしてきたでしょう。

俺もだ!

というわけで、ミニルーターで刻み付ける前に、サビサビのゴブレットの表面を頑張って削ってきれいにするところから始めよう!

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わーい!

細かく見れば無限に粗は見つかるけど、どの粗を無視するのかという決定権が自らにあるのがDIY。これでいいのだ。使うのは俺だし!

これは、まず400番の耐水紙やすりで水をかけながらごっしごっしして、そこから600番、800番、そして一気に飛んで3000番でやったらこうなった。2時間くらいかなぁ。

大変と言えば大変だけど、どんどんきれいになってくるから、楽しくできたよ!ここまでは自宅のキッチンでやりました。

…まぁ最初から電動サンダーとか使えば、30分かからずにここまで到達できるとは思うのだが…。

俺はサビサビのゴブレットだったからここまで頑張ったけど、元が結構きれいな場合はいきなりピカールを使うといいと思う。ピカールについては後述するよ!

 

仕上げはルーンを刻んだ後にするので、この状態でまずはルーンを刻む。

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ルーン文字を刻む枠線を入れたいので、クランプとその辺にあるゴミ的な材木でそれっぽい何かを組み立て、まっすぐに輪状に削る。

…画像だと上手く行ってる風だけど、まぁ、ずれたり、一か所やたら深く穴が開いたりと…全くスマートはいかなかったけれども!

でもそういうものさ。

俺が求めているのは…製品ではないからな!

「完璧なものには悪魔が宿る」

これを合言葉に、俺はてきとーに物を作っていくぜ…!

おかげで売れる物はあんま作れないけどね!

 

誰だって刻む文言は拘りたい

そうだr

…さすがにくどいね!

そう!

ルーンを刻むとして…じゃあ何を刻むか!?と言うのが問題になるんだよ!

いわゆる「ルーン占い」であれば、そこは別に悩まなくていい。

ルーン文字一つひとつに意味があって、そこから自分が求める意味のルーンを引き出せばいいのだが。

やはり、刻むからには…ちゃんとした文章を…というか、中二病的な文章を!!!

入れたい!!!

誰だって!古からの盟約とか!そういうなんかかっこいいものを!書きたい!そう思うはずだ…!

そうだろう…?

さて、そうとなれば勉強の時間だ!

まず、例の教科書で、実際のルーン碑文にはどういう風に刻まれていたのかを学ぶ。

とはいえ、ルーン文字を言語的に勉強するパワーと時間は足りないので、ルーン文字に無限のリスペクトをささげながら、「東の果ての民だから、多少は大目に見てくれ!」というエクスキューズのもと、刻む文言を整理する。

参考にしたのはこちら。

Old Norse to English Translator or the other way around ― LingoJam

https://www.yorku.ca/inpar/language/English-Old_Norse.pdf (PDFが直接開くよ!)

まず、刻みたい言葉を英語にして、英語を上記の2サイトを参考に古ノルド語にして、そこからルーン文字に変換する。

トランスレーターは不正確な場合が多いので辞書を参考にしながら、そして最後は思い切って適当にごまかして文章を決定する!

この過程で、ルーン文字がどのアルファベットに相当するか、結構勉強になる。

やっぱり文字ってのは、使ってこそだな!実感したよ。

多分俺が今やってるこれは、「痔」とタトゥーで入れちゃう外国人のような残念な感じなんだとは思うけれども、ね!

心意気は、オーディン神は理解してくださるだろうしな!

ルーン文字オーディン神が片目を代償に生み出したという神話があるのだ)

 

で、肝心の文章は何にしたのかと言うと…

古代中国の易経の「兌為沢(だいたく」の爻辞より、

「天に順じて人に応ず」

という文言を英語にして、何となくそれっぽく形にしたものを入れた!

易経とかわけわかんねぇ!と思われるかもしれないので、

ゲーム「魔剣爻」のあの感じのそういうやつだ、と理解してくれればわかりやすいかな!

…わかりやすくないな!

まぁとりあえず、古代中国のイケてる本に、水をくむカップについての詩があって、そこから文章をいただきましたよ、ということです。ええ。

 

その文章に加えて、せっかくだから「この俺、yajulが刻んだぜ…?」というかっこいい文章も入れようと決めた!

この文章に関しては、ルーン碑文にまんま例文があるので正しい文章だと思う。昔のヴァイキングの職人さんの名前を俺に変えればそれでいいからね!

ありがとう、古のヴァイキングたち…!

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こういう文章を、ゴブレットの上側と、下側にそれぞれ入れたよ!

なんとなく、アルファベットとルーン文字が似ていることはわかると思う!

 

誰だって磨きたい

そう…俺も…自分の人生を磨きたい人生だった…!

しかし、現実は非情である。人生の磨き方は、一朝一夕で見につくものではないのだ…。

 

というわけで、人生はともかくとして、まずは目の前のカップを磨こうぜ!

 

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ピカールのパワーを借りてな…!

しかし磨く前に、せっかくだし、カップに刻んだルーン文字に墨入れをしたい。

そうすればいい感じにかっこよくなるはずだ。

金属に定着する塗料として、ラッカー系の塗料を塗りこむ。

で、乾いたら、ピカール神でひたすら磨く!

そうすれば余分な塗料ははがれて、刻んだ部分にのみ残るという寸法だ。

 

ここで俺たちの救済神・ピカールの紹介をしてみたい!

 

冒頭で…「迷える子羊の人生を一変させるすさまじい神通力を備える神器」の話をしたけれど、俺にとってはまさにそれがこのピカール神。あらゆる金属を「光あれ」の一言で光らせしめる神、いわゆるゴッドである。

長年、「人生に必要なのはドリル」と信じてやまなかった俺に、文字通り後光を放って降臨したのがこのピカール神だ。

いや本当に。

もさーっとしたキッチンのシンクも、ピカール神にかかれば瞬時に光を取り戻す。

また、金属以外でも、例えば車のヘッドライト部分のプラスチックもこれで磨けば眩いばかりの光が備わるという寸法さ。

値段も安いし、これがあると無性に何かを磨きたくなるし、磨けば気分は晴れるので、大変にオススメだ!

今使わなくとも、とりあえず持っておけば、思いついたときに金属が光るので、とてもいいぞ!

ただし!

 ・鏡などのガラス製品には使わないほうがいい(ガラス用のピカール神を召喚せよ)

 ・メッキ製品には使っちゃいけない

 ・派手に手が汚れるので、ぴったりしたシリコン手袋とかあるといい

特にメッキ製品な!

ピカール神はあくまでも「微細粒子で削りまくっていく」ものなので、実は結構荒っぽいことをやっているのだ。

歯をこれで磨いたらエナメル質が死んでぼろぼろになるぞ!

注意するんだ!

 

「たぶん、メッキじゃないと思う…」

と彼女からもらったアクセサリーをピカール神にささげたら、実はそれメッキで、彼女との関係すらも削られてしまった…みたいなことになりかねない。

これは危険だ。

なによりも、「彼女の愛は本物なのか…?」と疑心暗鬼になるそのこと自体が危険だ。

もしもそのようなシチュエーションになってしまったとしたら、

「いや…俺の彼女への想いはこんなものでは剥げたりしない。俺の愛をもって再びメッキとするのさ…!」

みたいな、俺の刻んだルーン文字並みに心胆寒からしめるような覚悟をもってやってほしい。

がんばれ!

 

というわけで、墨入れと磨きをピカール神の助力で成し遂げたのだが…。

問題は、カップの中身だ!

実はこのカップ、かっこいいフォルムゆえに、内側の底に指が届かない。

もっと小さめのカップなら指が届いたのだが。

やはり食器として使うのであれば、最初にきれいにしておきたい。

ではどうするか。

 

それはもう…ドリルしかないな!

 

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人生に必要なのは、愛とドリルとピカール神。

ここでドリルが満を持して登場する。

人生の3分の1を構成するドリルが登場しないはずがないのだ。

作戦はこうだ。

 ・布にピカール神を塗り、カップに詰め込む。

 ・ドリルにドリル(穴あけビット)を装着し、底に打ち付けないようにそっと布を巻き込んでいく

 ・巻き込んだ布が、凄まじい勢いで回り、カップの中を削りまくってゆく!

ほんの数分で、カップの中がきれいになるのだ…!

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「手ぬるい!」と思う人は後10分くらい回してもらうとして!

あ、なんか点々があるけど、これは俺がミニルーターで傷つけちゃった物なので…!

これはビフォー画像がないから伝わらないけど、最初より相当きれいになったんだよ!

 

さて!

これによって、俺の人生の目標の一つがかなったというわけだよ!

ルーンゴブレットを手にする…!それがかなったわけだ!

ドリルと、ピカール神の助けを借りてな…!

さすれば人生の要素の最後の一つ、愛が手に…入…れば…いいよなぁ…。

人生は…ドリルを回すほど簡単にはいかないよな…。

 

誰だって完成すれば嬉しい!

まぁ、人生の問題はともかくとして!

まずは出来上がった喜びを表したい!

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できたーーー!

鏡面処理になちゃったので刻んだルーン文字がよく見えないけど!!

その辺は冒頭の画像で確認してもらうとして!

やったよ…!できたよ!

ルーン文字を刻んだ…ルーンゴブレットが!!

今年の夏は…これで冷たい水を飲んで厚さに対抗するとしよう!

そしてまずはワインでも飲もうかな!

 

いやー、うれしいね!

 

そして、もしこれを読んで、「俺も…刻んでみるか…!」とか、「磨いてみるか…!」と思ってくれる人がいたら、さらに嬉しいね!

 

人生を磨き、その足跡を刻み付けていこうぜ…!

たとえそれが、傍から見たら恥ずかしいことであったとしても…。

少なくともここに一人、応援者にして同志が…いるからな…!