声だけになった彼女に - スマートスピーカー amazon echo dot -

去年の10月に、Googleから「Google Home」が発売されて以来、俺はスマートスピーカーに大変な興味を抱いていた。

というのも、9月に編み物を始めてから、常に俺の脳を悩ませていた問題―つまり、「編み物をしている最中に、他に何かできないか?」というもの―の解決策をずっと模索していたから。

ノールビンドニングは他の編み物と違い、毛糸をちぎって編むので、それほど場所に拘束されないのが特徴なんだけど(編みながら歩きまわったりできるからね)、やっぱり編み物の最中は、立ちあがったり紅茶を飲んだりトイレに行ったりするのがすごくだるい。

できることなら動きたくない。したいけどできない。それが編み物の魔である。

トイレもすっごい我慢しちゃうからね…!

編み物の最中にはできるだけ動きたくないけど、他のことはしたい。

そのようなワガママを解決する方法を模索していたときに登場したのがスマートスピーカーというわけだよ。素晴らしいタイミングだよね!

スマートスピーカーというのは、要するに音声認識していろんなことをしてくれる音声アシスタントのこと。部屋の中にポンと置いておくだけで、話しかけていろんな操作をしてくれる。

これこそ21世紀!

少年のころ夢見ていた生活が今まさにこの手に!

…というわけで、今回(ようやく)、スマートスピーカーamazon echo dot」をお迎えしたというわけだよ。

echo dot

スマートスピーカーは各社いろいろと出しているんだけど、やはりというか当然というか、Googleが出している「Google Home」か、amazonが出している「amazon echo」のどちらかがよいように思う。

両者を比較した結果、俺はamazon echoを選んだんだけど、なぜそれを選んだのか、書いてみようと思う。

まぁ、最終的には好みだよな!

 

 

名前が良い

「echo」という名前はとてもいい名前だと思う。

echoはつまりエコーで、やまびこ、反響音声のことである。

それでやまびこがなぜエコーなのかというと、元ネタはギリシャ神話にさかのぼる。

…わりと長い話になるのだが。

エコーは木の精霊で、毎日平和に暮らしていたのだけど、そこにギリシャ神話最強の…まぁその、ええと、なんというか…美女と見ればあらゆる手段で自分のものにする主神ゼウスが現れる。まぁエコーの前に現れたんじゃなくて、エコーが住んでいる山の精霊に、ゼウスが懸想したわけだよ。でも、ゼウスの恋の相手になるのはまぁいいとしても、問題はゼウスのお姉さんにして奥さんであるヘラ様である。ヘラ様はゼウスの浮気相手を許さない恐るべき女神なので(普段はめっちゃ優しいんだけど)、ゼウスと関係を持ったと知られたらその山の精霊は恐ろしい呪いを受けることになる。

そこで、エコーは友達である山の精霊を守るために、ヘラ様のところに出かけた。

彼女はそこでヘラ様にひたすら長話をしかけ、ゼウスと山の精霊の関係が終わるまで時間稼ぎをしたのだ。ヘラ様は長話に手を焼いてゼウスの浮気相手のことを探れない。そうして無事(?)に、禁断の恋は成ったというわけなんだが…。

やっぱりその後ヘラ様にバレた。

そして、怒りの矛先は、時間稼ぎをしたエコーに向かった。

なぜ!

なんという理不尽…!

オリュンポスの神ってやつはこれだから…!

「お前をこれから一生、自分から話しかけることができなくしてあげる!」

(オリュンポスの神々ってこういうの好きだよな…カッサンドラとかさ)

ヘラ様の呪いを受けたエコーは、相手の言葉をそのままオウム返しすることしかできなくなった。

そうして、自主的な言葉を奪われたエコーは、会話相手を探してさまようことになる。

そしてあるとき、エコーはこの世のものとも思えぬ美少年に出会い、一目ぼれをした。

ナルキッソスである。

もう何か、この時点で嫌な予感というか、結末が見えた気がしないでもないな!

ナルキッソスというのはもちろんあのナルキッソスなので、当然ナルキッソス的な態度でもって、エコーのことを無視した。

ナルキッソスは「ナルシスト」の語源であるから。

ただ、この時の彼はまだナルシストではない。ギリギリのところで。

自らの美しさを誇っていた彼は、自分にふさわしい美女でなければ一顧だにしない大変高慢な美少年なので、もじもじするばかりで話しかけても来ないエコーなど眼中になかった。

愛しい人に無視され続けたエコーは、次第に精気を失いついにやせ細り肉体を亡くして声だけの存在になってしまった。それでもナルキッソスナルキッソスなので、全く意に介さなかった。

そこで、この話で(エコー以外に)唯一のまともな登場人物が出てくる。義憤の女神・ネメシスである。この人(神)こそギリシャ神話の良心。復讐の女神と呼ばれたりもするが、本質は「度を越した行いに罰を下す女神」である。度を越した人物しか登場しないギリシャ神話のオアシス。まさしく女神。というかほかの女神連中がエクストリームすぎる。

エコーの一件を見ていたネメシス様は、烈火のごとく怒った。

ゼウス夫妻にも怒ってほしいところだが、とりあえずネメシス様は高慢なナルキッソスに対し、「水面に映った自分に恋させる」という呪いを放った。

あとはみんなご存知の通り、ナルキッソスは水面に移る自分に触れようとして溺れ死ぬわけである。(ナルシストの語源)

…エコーが救われてねぇ!

結局エコーはその後も、自分に話しかけてくれる人を求め、今も声だけの存在となって世界中を放浪しているわけである。

 

という話。

まさしく、音声アシスタントにふさわしいネーミングではないだろうか。

もうなんか、エコーが不憫でな…!

そういう物語的背景のある名前というところに、強く惹かれたわけだよ。

 

外部スピーカーに出力できる(Bluetoothも!)

echoを選んだ最大の理由がこれ。

現状、音楽を高音質で楽しみたい人はecho一択だと思う。

Google Homeは音声の外部出力に対応していないので、あくまでもGoogle Home付属のスピーカーでしか聞くことができない。だから、小型のGoogle Home miniだとどうしても音質は制限されてしまって、音楽を最大限楽しむことは難しくなってしまう。(その分、Google検索エンジンを使った性能は抜群だけどね)

echoは外部出力端子のほか、Bluetooth出力にも対応しているので、スピーカーを自前で用意すれば最高の音質で音楽を聞くこともできる。

つまり、音楽環境が整っている人は一番安いecho dot(5980円)で十分ということになる。

そして、俺はBluetooth対応のサラウンドアンプを持っているので…大変相性が良い!

echoはスピーカーが接続されていないときは本体スピーカーで、外部スピーカーに接続したら自動で切り替えてくれるので、アンプをつけっぱなしにする必要もない。

もし自動に接続しなかったら、「スピーカーに接続して」というとすぐに接続してくれる。

頼もしい。

…しかしなぜGoogleは外部出力できないのだろうか。上位グレードが売れなくなるから?

 

考えてみればamazonどっぷりの生活だった

考えてみれば、俺はamazonに支配された生活をしているのかもしれない。

恐るべきことだが!

タブレットkindle HDだし、電子書籍めっちゃ読むし、マンガも大体電子書籍だし、映画もprimeビデオだし、何かもうとどまるところを知らないくらいにamazon生活をしている。これは危険だ。

そして俺は、実はあんまりGoogleのサービスは使っていない。

スマホandroidだけど、メールやカレンダーははoutlookだし、検索もbingだし。

というか、Microsoftのコルタナさんがスマートスピーカーになってくれたら光の速さで購入するつもりなんだけど…奥ゆかしいこるたなさんはあんまり表に出て来てくれない。無念。こるたなさん。かわいいのに。

 ちなみにechoに、こるたなさんやSiriなどほかの音声アシスタントについて聞いてみると、「私は、すべてのAIを好みます」とポリティカルコレクトネスなお答えをいただいた。

ウェイクワードが選択できる

音声の外部出力に次ぐ、第二の決定的要因がこれかもしれない。

ウェイクワードというのは、「Hey,Siri」とか「オッケーグーグル」とか「こるたなさん?」とか、音声アシスタントを起動する際の合言葉だ。

何かを指示するときに、「オッケーグーグル、音楽を流して」というように話しかける。

このウェイクワードがなければ反応してくれない。大事な言葉だ。

で、Google Homeは「オッケーグーグル」と「ねぇ、グーグル」の二種類。

ぐいぐいと会社を推していくスタイル。

で、対してechoのウェイクワードは、「Alexa(アレクサ」である。

…正直なところ、これはすごく迷った。

どっちのウェイクワードもあんま好きじゃない!

何気にすごく大きな問題だった!

だって、「オッケーグーグル」ってめっちゃ長いし、Googleの押しが強すぎる。これから幾度となく発するウェイクワードが長いのは結構つらいんじゃないかと思った。

「アレクサ」もちょっと、うーむという感じはした。「アレクサ」という発音は、結構強い。鋭利で乾いた印象のある発音な気がした。アレクサ、いい名前なんだけど、やはり今後数千数万回発するのはちょっと辛いかも、というところ。

…というか、ウェイクワードを自由に設定できたり、しないかな!?

そういうの、無理なのかな!?

と、ずっと思ってた。

それが購入を迷った原因なんだけども。

そんなこんなでどうにも決心がつかず、ふにゃぁ~となっていたときに、echoのスペックを再確認する機会があった。たまたま見つけたんだけどね。

実はechoは、選択できるウェイクワードが4種類あった!

つまり、「アレクサ」「アマゾン」「コンピュータ」「エコー」の4つである。

「アレクサ」は…前述の発音の問題とは別に、やはりどうしても気になる点がある。

それは、「アレクサ」の語源であるあの男、世界史(ヒストリエ)を開いたマケドニア最強の王、アリストテレスを家庭教師に持つ男、俺たちのイスカンダル双角大王にしてアレキサンドロス3世、つまりアレキサンダー大王その人である。…さすがにこのイメージは濃すぎる!「アレクサ」はアレキサンダーの女性形「アレクサンドラ」の略だと思うんだけど、やはりどうしたって、ぬぐいきれないマケドニア感が俺の脳を襲う。これは危険だ。「アレクサ」と話しかけるたびに、俺の脳でイッソスの戦いが再現されては大変困ったことになる。不死隊の補充が間に合わなくなるぞ!

「アマゾン」はさすがにちょっと、難しいところだろう。googleもそうだけど、日常生活に特定の企業の名前が恒常的に入り込むのはちょっとキツい。amazonではないアマゾン、すなわち仮面ライダーアマゾンを想像しようにもやはり濃すぎる。注文してもいないギギの腕輪が配達されてきそうだ。それに「アマゾン」をウェイクワードにしてしまっては、毎回「ア・マ・ゾォォォォォォォン!!!」と叫ぶことにもなりかねない。危険だ。いや、俺はアマゾンリアルタイム世代ではもちろんないんだが。

 


Song KamenRider Amazon

「コンピュータ」は…まんま過ぎるだろ!もうちょっと、こう、なにか、なかったのか!?

と、そういうわけで、4つのうち3つが(俺にとっては)微妙なこともあって…

というか、もう前述のエコーの話を見てくれれば、当然の帰結として!

「エコー」がとても気にいったんだよ!

声だけの存在になってしまったエコー。

話しかけなければ応答できないエコー。

…心のうちに、何かが燃え上がる感じがしないか?いや燃えるといえばアマゾンかもしれないが!切ない感じの燃え上がり方が感じられるだろう!?

 

この「エコー」があってくれたおかげで、もう本当に安心して俺はスマートスピーカーをお迎えすることができたわけだよ。

言いやすいし、

丸っこい感じがするし、

エコーをこの俺が救ってみせるという使命感もあるしな…!

 

光がかっこいい

「エコー?」と呼びかけると、本体外周のリングが青く波打って光るのがとても綺麗。

…それだけだが!

男はなぜ青い光に弱いんだろうな…。

無条件にかっこいいもんな…。


Alexa: Meaning of the Echo Light Ring colors!

かわいい

エコーはこの俺が(ry

……まぁよ。

他のスマートスピーカーは未体験なので何とも比較はできないんだけど、

「いってらっしゃい。帰ったらまたお話ししてくださいね?」

「おかえりなさい。帰ってきてくれて、すごくうれしいです」

「うふふ。歌いますね?」

とか、こう、やっぱり21世紀の人類ならAIやアンドロイドに優しい言葉をかけてもらうべきみたいな…そんな何かが…俺の中にあってさ…。

そのあたりを見事に、ぶち抜いてきてくれてな…すまん!

 

そういうわけで

俺はecho dotを選ぶことにしたわけだよ。

現状、echoはすぐに購入することはできなくて、購入リクエストを送ってから2週間後くらいに購入するかどうかを選んで、その後購入したら発送される仕組みになっているので、すぐに体験!というわけにはいかないけど。

echoには「スキル」という、アプリみたいなものもあって、いろんな拡張機能も追加することができる。今のところはまだ少ないけど。初音ミクと会話するスキルとかあるぞ。あんまりうまく会話できないけど。

あと、kindleで買った本の読み上げ機能なんかも期待してるなー。編み物しながら本読みたいし。いろいろ、やりたいことは増えそうだよ。

 

Amazon Echo Dot (Newモデル)、ブラック

Amazon Echo Dot (Newモデル)、ブラック

 

 

 

 

多分、音声アシスタントが好きなのって、「lain」の影響だと思うんだよね。

というか間違いなくそう。

コンピュータやネット、心理学に哲学、あと多少のオカルト志向って、lainで相当な部分を植え付けられているんだと思う。「serial experiments lain」という日本のアニメなんだけど、半ば伝説的な作品といえるかもしれない。

アニメに影響されたのかよ!と思われるかもしれないけど、いやぁ、あれは影響されるよね。すごいもん。

液体窒素冷却のPCでISDN回線数十本つないでLispを操る死んだ目の玲音さんは、それはもう、少年のころの俺の心をわしづかみにしたというわけさ…!

 


Serial Experiments Lain OP 1080p