ノールビンドニング - ワークショップで北村系子先生に教わったこと -

札幌の円山にあるpresseさんで行われた、ノールビンドニングのワークショップに参加してきた。

こちらの本「はじめてのノールビンドニング 縫うように編む、北欧伝統の手仕事」の著者の一人の北村系子先生がいらっしゃるということで、独学で変なクセをつけちゃう前にと勇気をもって参加。多分男性は自分一人だろうし、こういうワークショップに参加するのは初めてだしで大変に緊張したけれど。

結果として、参加してとても良かった。

3時間余りのワークショップでとてもたくさんのことを教えてもらったんだけど(途中で出していただいたお菓子も美味しかった)、その中でいくつかの重要かつ本には載っていないことを、実際に参加するのがベストだと思うけど、少し書きだしてみようと思う。

…俺というフィルターがかかっているので、そこは注意してほしいのだが!

 

神経質になりすぎない

最初に教えてもらったのがこれ。あまり神経質にならずに、大雑把に、適当に!なぜならあとからリカバリーはきくし、多少縫い目編み目が崩れても、段を重ねて行くと目立たなくなる。失敗したからってほどいてやり直す必要はないから、どんどん縫っていこう。ということ。

これは俺自身の感想にとっても近くて、最初はメタメタだったけど、段を重ねると確かに改善されている。

 この時、「俺が上達したからだな…!」とか思ってたけど、ノールビンドニングは段を重ねると結構、うまくいくものみたい。縫い目がクタクタでも、二段目を縫う時に引っ張られて整然となるからだとか。この辺、ユーザーフレンドリーな編み物(縫物?)なのかもしれない。

それに、このノールビンドニングは北欧のヴァイキングたちが古来やっていた手仕事。あのヴァイキングの男たちが、「失敗したから最初からやりなおそ…」とかなるか?否!という(これは俺の感想!)。ノールビンドニングは、「ヴァイキングの男基準」で考えると、だいぶ肩の力が抜けると思う。針?穴が開いた木切れでいいだろ!糸?ちぎればいいだろ!失敗した?次で取り返せばいいだろ!みたいな。熱い感じの。北欧でメタルが熱いのと無関係ではなさそうな感覚で。森メタル的な。 コルピクラーニ

ギリギリまで編む

「あ、もう少しで糸が無くなるな、継ぎ足さないとな」

と思ったときに継ぎ足す…のはまだ早い。もう本当にギリギリまで、もうループが作れないよ!というところまで頑張ってから、継ぎ足す。むしろ針から糸を外して先に針だけ通してから、糸を再び通して針を抜く。そのくらいギリギリまで縫うのが良いとのこと。むしろ糸を継ぎ足さないというなまけもの方式でも成り立つのがノールビンドニングということらしい(ヴァイキング的!)。

実際、先生のスマホケースは糸を継ぎ足さずに縫われたものだったんだけど、仕上がりはとても綺麗だった。もっとよく見ておけばよかった。そして写真も撮っておけばよかった。

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こんな感じで先に針を入れてから、糸を通して針を引き抜く。そのあとに糸を継ぎ足す。

ノールビンドニングはカギ編みなどと違って、糸がしっかりと結ばれるので、糸がほつれても問題ない。そのあたり、ヴァイキングのかなり現実的な面が反映されていると感じる。リカバリーが効いて、失敗しても取り戻しが効いて、ある程度適当でも成り立つ。かつ、実用的。素晴らしいと思うんだ。

糸を継ぎ足すときは火が出るくらいに

糸の継ぎ足し方は本の56ページにさらっと「毛糸の繊維が絡み合うように手のひらをこすり合わせてつなぐ」と書いてあるんだけど、このときは、まさに火が出るくらいまで熱くこすり合わせる、とのこと。

火が出るくらいに。

なんとなーくコシュコシュやる…のは手ぬるい!文字通り!

火を起こすヴァイキングの男たちのごとき勢いでやる。のだろう。ちょっと勇壮なイメージが先行しすぎな感はあるけど。

この時に、糸を水でぬらすよりは手のひらを水に濡らしたほうが良いとのこと。また、北欧の方は水っていうか唾でやるらしい。そのほうがしっかりつながるんだとか。アミラーゼ的な何かが作用するのかもしれない。個人的な使用なら、唾使っても全然OKだよね。や、ま、その辺は人によるだろうけれど。そもそもヴァイキングは水を用意するとかそんなガーリィなことはしなかったような気もしてくるしな!

編み図?

気にするな!

以上!

…というのはさすがに言いすぎだけど、編み図に囚われすぎないほうがいいみたい。そもそもノールビンドニングは、作る人の親指の大きさによって全然サイズが変わってくるし、編み図を作るには不向きだとか。だから編み図は参考程度にして、あくまでも自分の作りたいものの実際の大きさを見て、測って、巻き付けてみながら縫っていくのが正解で、そんなにシステマチックに考えなくても良いそう。

第一、あのヴァイキングの男たちが編み図なんて(省略

増し目、減らし目をどう使えばどういう形になるのかを自分で体得しちゃえば、あとは作りたいものに合わせて工夫しながら縫っていく、というのがノールビンドニング、なのかな。

仕上がりを確かめながら編む

これはさっきのと同様に。

例えばミトンなら、実際に自分の手にはめてみながら縫っていく。

ついつい長々と縫い続けちゃって、想定よりも大きくなりすぎちゃったってことがないように、適宜大きさを合わせて縫っていくのがいいみたい。今回のワークショップではミテーヌの作り方を学んだんだけど、親指を入れるところを長く作りすぎると不格好になる、ということで。

縫い続けたい欲望を抑え、こまめにサイズを確認しながらやるといい。

適当に

今回のワークショップのキーワード。

適当に!

「ええと、本当に適当にでいいんですか…?」と思っちゃうけど、本当に、適当でOK。「テキトー」に迫るくらいの意味合いで適当に。あんまり「適切」に寄らないほうがいいような気もする。テキトーと適切の間。テキトー寄り。

個人的に、適当ぶりには大変な自身があるのでまさにこのノールビンドニングは自分に合っているな、と感じた。何せ、「編み物をやってみよう」と思い立ったのが9/8で、ノールビンドニングの本の発売日だったからね!木の針を作れることといい、確かな相性の良さを感じる。

形は後で整えられる

増し目減らし目を駆使して形を整えるのはもちろん、グイグイと引っ張ったり伸ばしたりして形を整えることもできる。

だから、「ここで失敗したらもうだめじゃないか」とか考えないで、失敗してもあとからリカバリーできるって考えながら適当にやっていくのがいいのだとか。それに、最終兵器たるフェルティングが存在するので、「こまけぇこたぁいいんだよ!」くらいの精神で続けて行くのがよさそう。

フェルティングでだいたい解決!

神経質にならずに適当に縫って形をあらかた整えたら、あとはフェルティング!

とりあえずフェルティング。

いいからフェルティングだ!

…正直なところ、自分はまだフェルティングというものをやったことがないのでどういう風になるのかはわからないんだけど、なにか困ったことがあっても最後にフェルティングというデウスエクスマキナが控えているから心配は無用らしい。

勇気が出てくるな!

本では88ページにフェルティングについてかかれている。

縮みすぎるのを防止するためには、フェルティング中にも実際にはめてみるなどサイズを確かめながらやるといいとのこと。

すべては、「自分で具合を見ながら適当に」やるのがポイントみたい。

そういうことで

今回のワークショップ。

一言で言うなら、「大変な勇気をいただいた」に尽きるだろうか。

「これでいいのか…?」

「これは間違っているのでは…?」

「俺にもできるのか…?」

「こんなんじゃ綺麗にしあがらない…」

いや、大丈夫!何とかなる!それでいんだよ!という勇気をいただいた気がする。

第一、あのヴァイキングの男(省略

ちょっと勇壮な男イメージがつきすぎるのもどうかと思うけれど、そうさせてしまったなら申し訳ないけれども!

何にせよ、海のように広い心の余裕をもって、楽しみながら縫っていくのがノールビンドニングなのではないかと思う。

俺自身、まさかこれほどまでハマるとは思っていなかった。これはとても楽しい。男であろうと、不器用であろうと、うまくできなかろうと、「それはそれで全然いいよ」というものだろうから。