ノールビンドニング - 毛糸ちぎり機の悲劇と、簡単に毛糸をつなぐ方法 -
全く新しいことを始めようと、ノールビンドニングを始めてから約15時間。
「とりあえず20時間」まであと5時間だけど、この段階ですでに結構身についている感はあると思う。ポットカバーもまもなく完成するし。縫い目はまだまだ安定しないけど、私的な使用に留める分には問題ない質だと…信じておきたい。
ノールビンドニングを楽しく続けていけているんだけど、一つ問題がある。
ノールビンドニングの特性上仕方ないことなんだけど…。
「頻繁に毛糸をつながなくてはいけない」んだよね。
カギ針や棒針編みの場合は、毛糸球まるまる一個使いきるまで毛糸をつながなくてもいいんだけど、ノールビンドニングは毛糸を2mとか3mで切って縫っていくものなので、下手をすれば10分に一回、20分に一回くらい、毛糸をつなぐ必要が出てくる。
ノールビンドニングの基本は「縫う」こと。毛糸をつなぐ時に結び目を作っちゃうとスムーズに縫えなくなるので、結び目を作らずに毛糸をつなぐ必要がある。だから毛糸を切らずに、己のパワーによって「ちぎって」、ほどいて、つなぐ、という工程が必要になるのだけど…。
ちぎるのが意外とつらい!
クラフトショップで「あ、この糸いいな、素敵だな」と思って毛糸玉を手に取ってみても…「これ、この毛糸を、俺はちぎれるのか…?」という問題が発生する!太い毛糸や、毛糸をいくつか束ねたものなど…色的にも触り心地的にも非常に素晴らしいのだが、パワー的な問題が持ちあがってくる。
…いけるのか…?
作品関係までの間、ちぎり続けることが、俺にできるのか…?
手元に太めの毛糸がある人はぜひ、ちぎってみてほしい。意外と辛いことが分かると思う。コットン系になるともはや歯が立たない。しかしそれでは、「ノールビンドニングでは太い毛糸は使えない」という結論になってしまう。
それはなんとかしなければならない。
俺はノールビンドニングが好きなんだ。
…それならば。
道具を作るしかないな!
そういうわけで作ったのがこれ。
毛糸ちぎり機!
…クオリティが非常に低いのは許してほしい。
要するに洗濯ばさみの要領で、手元を握れば先端が開く構造。ハサミの逆。それで、先端に彫った溝に毛糸をきつく巻き付け、グリップを握り込めば、バツン!と、毛糸がちぎれるという寸法。いかに太い毛糸でも、地球をも動かせる(byノーベル)テコの原理の前には屈するはずだ。屈してもらわないと困る。
特に設計図など描かず、「だいたいこんな感じだろう」と作り始める。いつものごとく。
ちなみに使っているのはナラの木。半端ではなく固いので、細くしても折れない。信頼できる男。
最初の試作品はこんな感じ。可動範囲が広ければ、よりちぎりやすくなろう…と思ったんだけど、いかんせん複雑な形をしているので仕上げが大変だということに気づいて、ボツに。かっこわるいしな!
そしてこちらの洗濯ばさみ型に。
なかなか洗練されてきたでしょ。
そして冒頭の画像のようなものが完成し、こんな感じで先端がひらいて毛糸をちぎるという「毛糸ちぎり機」が完成した!
…が!
きつく巻き付けて、ちぎって、毛糸を外して…って手間考えたら…素直にちょっとした痛みに耐えてちぎった方がストレスないんじゃないかなって…思っちゃったんだよね…。妙にでかいし…。
作ってる時は「これで(俺の)世界は変わるはずだぜ…!」とか思ってワクワクしてたんだけど、こう…いざできてみると…あまり世界は変わってない!
でもまぁほら、コットンみたいなちぎりにくいものをちぎるには、これはいけるはず!今は使わずとも、そのうちきっと出番が来るから大丈夫だ!
そう、思っていたのもつかの間。
見つけてしまった。
やっぱり、当たり前だけど、「俺ごときの疑問は、すでに誰かが解決しているもの」なんだなって。オリジナリティなんて…そうそうないものだなぁって、思うよな。
先人がすでに、「辛い思いをせずに糸をつなぐ方法」を見つけていたな!
BASICS: The Russian Join | Bella Coco
これよ!
見た目に美しく、しっかり引っ張ってもびくともせず、ハサミを使って切ってもいい!
ていうか多分、俺が知らなかっただけで、普通に編み物やってる人は知ってたんだと思うけど!
毛糸ちぎり機は…!
必要なかった…!
俺は、無駄に生みだしてしまったというのか…?
すまない…!
何か、罪悪感が!
でも、さっきの動画のつなぎ方だとどうしても意図が太くなってしまうので、純粋に仕上がりの美しさを求めるのなら、撚ってつないだほうがいいのかな?
と、一抹の希望を胸に抱きつつ。
しばらくは…出番はなさそうだ。
すまない…!毛糸ちぎり機…!