すべてのダイナモ使いに勇気を
栄光と凋落をその身に引き受け、今や「塗れぬ!殺れぬ!顧みられぬ!」という三重苦に苛まれるダイナモローラー。
前作では圧倒的な塗り面積と長大な射程距離を備えるモンスター級のブキとして鳴らしていたのだが、度重なる下方修正と今作の調整がトドメとなりすっかりBorn to be mildな仕上がりになってしまった。
自分は前作ではダイナモ一本でS+92までいき、平均はS+70~80というところだった。なのでまぁ下方修正されたと言っても立ち回りでどうにかなる範囲だろうし、いくら性能が落ちてもS位の実力はあろう…。と思っていたのだが、あまりの使用感の違いにビビってしまい、「もうダイナモはダメだ…」と儚く死んでいく滅びの快楽に身をゆだねたりもした。一週間前の事である。
基本的に全く素晴らしいゲームだけど、いろんな意味で「逃げ道」が塞がれちゃったなーという印象。ローラーという逃げ道が完全に潰されちゃったのはかなり痛い。b帯ではもうほとんどローラーがいない。
— yajul (@yajul) 2017年7月24日
最大の「逃げ道」はダイナモローラーだったはずだけど、ダイナモは壊れてしまった。もうあのロマンは戻ってこない。
— yajul (@yajul) 2017年7月24日
しかし!
使っていくうちに、今作のダイナモという物がわかってきた気がするので、ここに書いておこうと思う。
もちろん、わずか二週間で絶望の快楽から希望の光明を見いだすという節操のない思考の変化が起きているレベルの俺なので、そんな参考にはならないかもしれないが…!
あと、現S帯の状況は体験してないので、あくまでもA帯までの話、もっと言えば、まだ立ちまわりが確立されていないC、B帯のダイナモ使い向けとして、聞いてみてほしい。
先ずは意識を切り替えよう
というのはみんな解ってはいるだろうけれど、なかなか慣れないもの。
俺もダイナモを使い始めてから、「これでキル取れないのか!?」「マジか!?」「これが届かないのか!?」「インクが消えるんだが?」「わかばがダイナモを狩りに近づいてくる…!」と絶望しっぱなしだった。
何よりも、完全に舐められているのがハッキリわかるのが辛い。いやま、前作で暴れすぎたんだろというのは尤もなんだけど。バケツが、シューターが、ブラスターが、筆が、ローラーが、完全に「コイツはカモだぜ」と群がってくるのが何よりも辛かった。ダイナモ使いの心を折るのはたぶん、性能以上にこの状況にあるんじゃないだろうか。有名なダイナモ使いの動画を見ても、「ダイナモを舐めるな!」という気迫を終始感じた。そのくらいの気迫でなければならないようだった。それくらい、ダイナモは前作と今作で落差が大きい。
でも、いつまでもかつての性能を追い求めるわけにはいかない。
まずは落ち着いて、「ダイナモはメジャーブキではなくなった」というところをスタートラインにすべきだろう。前作のボールドの立ち位置と思った方が健康に良い。
ダイナモ教はその教義を、ボールド教やスクイックリン教に同じくしたのだ。
ダイナモの強みは?
圧倒的な塗り能力と、長大な射程距離。
というのは前作までのお話。
…と思いきや、やっぱり今作でもダイナモの強みはこの二つ。
まぁこれしかないんだからもう仕方が無いな!配られたカードで勝負するんだよ!
でも相当弱体化したとは言え、やはりこの両者はギリギリのところでダイナモを裏切ってはいない。チャージャーに匹敵する飛距離を誇る縦振りと、一度に塗れる面積はやはり健在だ。特に縦振りは、これからのダイナモのアイデンティティとなるだろう。
ローラー使いなら当然だけれど、縦振りと横振りをとっさに切り替えられるように練習しておくといい。先にジャンプをしてから降るのが縦振り、先にショットをしてからジャンプするのが横振り。
ではどうやってキルを取る?活躍する?
まず、ダイナモは10キル取れれば上出来。15キル取れたらもうそのランク以上の実力を備えていると言って良いと思う。6キルとかでもそんなに卑下することじゃない。隣でヒッセンやマニューバー、ラピブラスシコラが20キル取っていても、ダイナモが同じ事を出来るわけではない。これはもう仕方ない。さらに、そんなに塗れる訳じゃないのでリザルト画面での存在感は限りなく薄い。それが今回のダイナモの宿命かもしれない。前作のジェットみたいな立ち位置かもしれない。
でも、それでもダイナモを握った以上は弱音は吐けない。
数字に表れぬ仕事をするのが今作のダイナモだと心に命じよう。記録が残らずとも、記憶に残らずとも、君の静かな活躍はダイナモ使いは理解する。少なくとも、ここに一人、ダイナモを応援する男はいる!大丈夫だ!
と、いうところで、ダイナモの戦い方を考えて行こう。
まずは、一撃に頼るのはもうやめよう。
あらゆる角度、あらゆる状況から一撃で敵を葬ってきたダイナモの姿はアルバムの中にしまっておこう。もちろん、慣れればかつてのごときパワーの片鱗を取り戻せる。しかし、一足飛びにそこまで行くことはできない。
今のダイナモは、
- 敵の退路を斬って追い詰める
- 足場を奪って地味に確実に敵を下がらせる
- トラップと床インクを駆使して総合ダメージで敵を倒す
- 地形を把握して的確にハイパープレッサーを当てる
- 段差を利用して不意打ちを浴びせる
戦略的に戦う知的な立ち回りが要求されるブキになったのだ。
前作がマッシヴゴリラなら、今作は逆三角形の魔術師。見せ筋をチラつかせながら狡猾に立ち回るギャップが魅力のゴリラソーサラーになるのだ。STRではない。INT極振りのオーガといったステ振りで挑む必要がある。そう、俺たちはカンペキなカラダから脱皮し、カンペキな頭脳を搭載してこのバトルに挑まなければならない。えいえんのカンペキな頭脳ヴァーイ/ヴォーイになるのだ。腹筋は必要だが。
それで具体的な戦い方は
塗れ!
倒せ!
さすれば、俺たちの勝利だッ!
…身もふたも無い感じになってしまうが。
しかし結果的にスプラトゥーンの基本に立ち返ることになる。今までは暴力的な威力と優秀なサブとスペシャルに守られていたが、ムキダシのボディとなってしまった今作ではごまかしは効かない。基本を極める他に道はないだろう。
スプラトゥーンの立ち回りはなかなか言語化できないのが難しいところだが、何とか文章にしてみたいと思う。
ダイナモはトラップと縦振りで相当な防御力を発揮する
とにもかくにも状況判断
これは前作からそうなんだけど、ダイナモはチャージャー並みの状況判断が求められる。弾数が少ないので、一発の塗りで複数の効果を得られるよう、考えて塗らないといけない。今作は縦振りがある分、顕著だ。
開幕時は、道を作ると同時に壁を、段差を、台の上を一緒に塗る。戦闘中におそらく使うであろう壁を初期から塗っておく。壁を使わないローラーはBに上がれない。そして、戦闘中も常に追い詰められたDIOのごとく「逃走経路」を把握しながら戦う。ダイナモは倒されてはいけない。常に前線少し後ろに位置し、トラップと縦振りで牽制し続けなければならない。味方の状況を見て、下がるときは思い切って下がる。隠れるときは思いっきり隠れる。
ダイナモは自分で前線打開はできない。なので味方が前線を打開するサポートに徹したい。ダイナモの縦振りは脅威だ。はるか遠くから足元を塗られて混乱しない敵は(あまり)いない。今作では、インクのスリップダメージが非常に大きい。だから敵の足場を奪うのはそれだけで大きく貢献できている。
そして、常に相手がどう動くか予測すること。
正面にいた敵がインクに潜ったら、8割の確率で左右に回り込みながら近づいてくる。その時、どこに敵がいくか、どう自分を倒しに来るか、予測する。上手く予測できれば、イカニンジャをも倒すことができる。わからなければ、敵のインクを切っていく。退路、進路を分断する。敵の選択肢を奪っていく。トラップに誘導し、さらに選択肢を減らす。そしてこちらの選択肢を増やしていく。つまり、敵の退路を切りながら壁を塗るなど。そして常に敵の予測をはずす。
2秒間の隙に命をかける
ダイナモは振りかぶってから1,2秒のラグがある。なのでダイナモで敵を倒すということは、敵に1,2秒の隙を作りだすことにある。隙をつくれたら、ダイナモの勝ち。作れなかったら、負け。なのであらゆる手段を用いて隙を作ろう。
壁を使って相手の上を飛び越したり、追い詰められたふりをして誘いこんだり。
俺は時に、普通に歩いて敵陣に入ることがある。塗れば音と色でバレるが、大体のイカは「ダイナモが普通に歩いてくる」とは思っていない。特にホッケの開幕時は、むしろてくてく歩いていった方が裏取りしやすかったりする。リスクはあるが、敵の隙は作れる。(さすがにS+級になると失敗するけどね)
トラップは強い
今回はインクを踏んだ時のダメージがとっても大きい。だから相手の足場を奪うクイックボムやトラップ、アメフラシが非常に強い。ダイナモは一撃を失ったけど、トラップとインクダメージと振りのダメージでの三段構えで十分に敵を倒すことができる。
debuffをまき散らす狡猾なマッチョ呪術師の気分で戦おう。
大仰な振りはブラフ。本命は貴様の足元だ!かかったなアホがッ!(ガッシィ‼)
…と、ダイアーさんのようにかっこよくいければいいんだが。そういう気持ちで戦っていくと充実感も増すし、健康にいい。
トラップは積極的に使っていこう。敵の経路だけでなく、前線少し後ろとかにおいておくと、敵の侵攻を遅らせることができる。トラップにかかった敵は一目散に逃げて行く。それで十分な効果だ。
ハイパープレッサーは十分に使える
何かと嫌われるハイパープレッサー。弱い、クソ、ゴミ、いらねぇ、メガホン返せ。
…しかし思い出してほしい。まさに前作のメガホンレーザーも、最初期にはゴミ扱いだったことを。
そして新規の人も思い起こしてほしい。サーモンランのタワーのウザさを。
タワーのハイパープレッサーがなぜあんなに強いのか。
それは言うまでもなく、正確なエイムがあるから。つまり、俺たちも、正確なエイムがあればそれでいいということになる。まずはマップの構造を熟知して、敵が潜みそうな場所、敵が必ず通る場所、敵の進軍を塞げる位置を把握しよう。サンポ大事!
そうすれば、一発のプレッサーで2キル持っていくことも可能だ。ヤグラならもっと有用。十分に使える。大丈夫だ。
おそらくプレッサーはステージへの理解が進んでいくと強くなっていくスペシャルだ。今は使えない、ゴミ、といわれていても、そのうち徐々に価値が上がっていくと思っている。すべては使い手次第ではあるので、お手軽なスペシャルじゃない。でも、その分、使っていて楽しいものになると思う。
マッシヴ呪術師の必殺の闇属性ビームという心持ちで、ハイパープレッサーを放ってみてほしい。闇属性というのはクセがあるものだし。今の俺たちにおいて他に闇属性はいない。ゾンビから転生したリッチのごとく、変幻自在の戦いを展開していこうじゃないか。
最後に
今後、ダイナモは強化されるかもしれない。
きっと強化されると思う。どういう形でかはわからないけれど。
失われたSTRを取り戻すかもしれないし、よりINTが重要な感じになるかもしれない。闇属性が強化される可能性もある。
その時に「あの苦難の時代をこいつ一本で乗り切ってきたぜ…」と不敵に笑えたなら、きっと腕前は一段階も二段階も上がっていることと思う。
ダイナモ使いに今を乗り切る勇気を!