スプラトゥーン2はマニューバーを基準として調整されている、と考えるとしっくりくる。

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発売から一週間経ち、評価が固まってきた感もあるスプラトゥーン2

わずか一週間の間にブキ追加2種、第一回フェスの発表、そしてバランス調整が早くも入るなど、イカ研究所の気合も感じられる本作。

個人的に驚きだったのは、「なぜこういうバランス調整をしたのか」を運営がTwitter上で明かしたことだったかな、と思う。

 こう言ったバランス調整の意図を発表する運営はなかなか珍しいと個人的に思うし、任天堂はなおさらこう言うことはしないイメージだったので、この件は驚くとともに、相当神経使ってるんだなとも思える。

なにせSwitchを爆発的に普及させるキラータイトルだし、ここで変なことをやってしまうと早々に飽きられかねない。俺自身も割と結構、ハラハラしながら見守っている。初心者の人、ちゃんと楽しめてるかなぁ、とか、いらぬことを。いや、これは本当に面白いゲームなので、恐れることなく飛び込んできてほしいという確信はあるんだが!それでも、ちょっと、一抹の不安はあった。

その不安というのは、前作のプレイヤーの少なからず感じているところの「過剰なバランス調整によって爽快感やブキの個性が失われているんじゃないか」という部分。

多く聞かれるのは、

  • チャージャーがポジションをとれない
  • 対チャージャー要素が多すぎてまともに戦えない
  • リッターとダイナモ、ノヴァの露骨な弱体化
  • ローラーがキルをとれない、塗れない

というところかと思う。

正直俺もこの調整にはかなり苦しめられている。今まで人速ダイナモをずっと使ってきた俺も、さすがにこの「塗れぬ!殺れぬ!顧みられぬ!」という三重苦に加えて敵味方双方から浴びせられる「ダイナモなんて使ってるんじゃねぇよ…」という冷ややかな視線には相当なダメージを負っている。チャージャーも、ダイナモも、「負ければ戦犯、勝っても評価されない」という苦しい状況に、己の腕と愛を試されている。(この辺、言いたいことはいっぱいあるけれど…)

と、愛するダイナモを破壊された悔しさを存分に発露したいのはやまやまなのだけど、ここで冷静に「スプラトゥーン2は何を基準にバランス調整されているんだ?」と考えてみた。すると、いろんなことが分かってきた。

 

おそらく、というか言うまでもなく、スプラトゥーン2の主役はマニューバーだろう。パッケージに一番大きく描かれているのもマニューバーのガールだし。

そこで、マニューバーを中心に据えてバランスを考えてみる。

まず、前作の世界に現状のマニューバーを放り込んだらどうなるか。…答えは言うまでもなく、とても強武器には食い込めない。スライドがあったとしても、シャープマーカーくらいの存在感に落ち着くはずだ。キル能力が強いわけでなく、塗り特化というわけでもないが、機動力という強みはある。

このマニューバーをバランス調整の中心に据えて考えると、まず、天敵が見えてくる。

ローラーだ。横に広い一撃を持つローラーはマニューバーの天敵として立ちふさがる。圧倒的な射程と塗り能力を持つダイナモ、一瞬で足場を奪うクイックボムを持つカーボン、必殺のダイオウイカを秘めるロラコラ、いずれもマニューバーには重い相手だ。また、特筆すべき塗り能力を持ち機動力もあるパブロも苦手な相手といえる。そこで、ローラーはマニューバーが相手にできる性能に落ち着くことになる。強力な振り攻撃は射程が減り、マニューバーのスライドが有利に働きつつローラーに機動力を与える縦振りを追加。ダイナモの横振りとカーボンの縦振りの確殺範囲はマニューバーの射程より少し短い。「マニューバーが対抗できる範囲」に各ローラーの性能が調整されていると考えることもできる。ダイナモとヴァリアブルの縦振りが遅いので、縦振り見てから前方スライドで距離を詰めて始末することも可能だ。パブロがスプリンクラーを失ったのも、塗りが強すぎるブキになってしまうからかもしれない。

次に、チャージャー。射程が短く、塗るために身を晒すマニューバーはチャージャーの格好の餌食になる。チャージャーの調整は他に様々な理由があるのだろうけれども、弾速の低下などは「遠くの相手を狙いにくい」という点でマニューバーに有利に働く。チャージのタイミングを計ってスライドでかわすこともできる。そのほかアメフラシやミサイル、アーマーなど、定点チャージャーに対抗する手段は数多く用意されている。チャージャーはその代わりチャージキープを得たが、それはつまり中距離の殴り合いに参戦しなければならないとも言える。シューター、マニューバーの土俵に降りて行かざるを得なくなった。ローラーや後述のノヴァに比べて、チャージャーはデメリットに対してメリットが少ない。現在のチャージャーは苦しいだろうと思う。(そんな中で元S+のチャージャーたちの異常なエイム力には脱帽しっぱなしだぜ…)

その他、地味なところで、ノヴァブラスターもマニューバーの天敵となる。近距離でスライドしながら戦うマニューバーに対して、ノヴァの近距離攻撃力は脅威。というわけで(なのかどうかはわからないが)、ノヴァは微妙に射程が長くなり、、ジャンプ撃ちの精度が落ちた。微妙に射程が伸びたのは利点だが、スライドで超近距離まで詰めることのできるマニューバー相手には不利になる。なかなか面白い調整といえる。

また、追加予定の傘型の武器、シェルターもマニューバーのいいライバルとなるよう調整されていると見る。シェルターはショットガン型のブキなので、マニューバーと射程が被る。そして傘を展開して防御もできるが、背面はがら空きとなってしまう。ここで、防御のシェルターと回避のマニューバーの近距離ガチ戦闘が起こる可能性が出てくる、というか多分狙ってやっていると思う。まだ傘は追加されていないのでヒーローモードで使うだけなのだが、マニューバーといい勝負ができそうな具合に見えた。

 

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そのほか、爆風系もスライドでぎりぎり逃れられる範囲に納まっているような気もする。スーパーチャクチの確殺範囲は1.5本、マニューバーのスライドは1本。普通にやりあっている状況なら、スライド一回で範囲から逃れることができる。ガチホコショットの爆風もこのくらい。

 

と、こう言う感じで、マニューバーを基準にしてスプラトゥーン2を見てみるといろいろな部分が納得できることがわかった。もちろん、イカ研究所がそういう意図でやったのかどうかはわからないけれど、少なくとも俺個人はこれが納得のいく調整理由だと感じている。

ゲームスピードが前作に比べてとても速く感じるのも、マニューバー基準の結果なのかもしれないなぁ、とかね。

いずれにしてもスプラトゥーン2はまだまだ始まったばかりで、これからどのようにゲームバランスが変化していくのか、ライブ感覚で楽しんでいきたい。