英語の発音や、日本語の滑舌に悩むその前に

自分がどのくらい口を開けているか、鏡の中の人物に問いかけてみましょう。

あぁ自分は滑舌が悪いなぁだとか、「いい声」がほしいなぁだとか、英語の発音が苦手だなぁと思っている人(8割以上の人がそうでしょう!)がまず最初にすべきは、外郎売りでも朗読でもスピーチトレーニングでもフォニックスでもなく、口の開け方です。

滑舌やスピーチトレーニングの本では、まず間違いなく最初に正しい口の開け方が図解されますが、英語の発音に関して「まずは口を大きく開けましょう」と教えているのはなかなか見ません。しかし、それこそが最も大切なこと。

 発音というのは要するに、「口と舌の型」ということです。空手なんかの型稽古と全く同じなわけですね。正しい口の形で、正しい舌の動かし型をすれば絶対に発音できます。そして滑舌というのは、「素早く正しい型ができるか」ということで、要するに筋トレです。

この型稽古と筋トレをやれば、誰だって正しい発音と滑舌は手に入ります。ある程度のクセは残ってしまうにしても。

そういうわけで、発音の型稽古と滑舌の筋トレをするために絶対に必要なのが、「口を大きく開けること」ですね。大きく開けた口がすなわち、型稽古の道場となり、筋トレのフィールドとなるわけです。舌が自由に動かせる範囲が広くなればなるほど、正しい発音が出来るようになる可能性が上がるんです。PCで言えばメモリです。メモリの少ないPCはいかに高性能なCPUを擁していても性能は発揮できないということです。料理で言えば、1人分の煮物を作るよりも6人分を作った方がおいしく、失敗せず出来ますよね。口を開けないで上手く発音するのは、1人分の煮物を何とかしておいしく作ろうと奮闘するような物です。縛りプレイも結構ですが、効率はきわめて悪く、おいしくありません。

腹話術を考えてみるとわかりやすいでしょう。腹話術は高等技術です。なぜ高等技術なのかというと、口の形を制限するからです。口をほぼ使わず、舌と口腔で音を出す。これは相当な縛りプレイです。口を大きく開けないと言うことは、腹話術のように難易度を自ら上げる行為です。初心者がいきなり高等技術に挑んでも、挫折が待ち受けているだけです。

個人的には、口を開けることに抵抗があるのはマンガなんかの影響もあったかなーと思っています。マンガのキャラクターって、あまり口を開けませんよね。開けていたとしても、「そういうキャラ」か、「そういう場面」に限られます。そういうふうに、「あまり口を開けない方がかっこいいのではないか」と静かに刷り込まれ、「口を開けること=顔が崩れること」とどこかで思い込んでしまったのではないかな、と思い返したりします。

そういう呪縛が心のどこかにあるのは、おそらく俺だけではないはずです。口を開けるのが恥ずかしい、歯を見せるのが嫌だ、顔が崩れる気がする…。鏡の前での自分のベストの顔は、口は開けていませんしね。

しかし実際のところ、口を開けるのは魅力的でありこそすれ、不格好ではないです。人の前で口を開けっ放しにしておくわけでなし、喋っているときに口を大きく開けてもなんら問題はありません。「口を開けるのはみっともない」と思ってしまう場面って、「不必要な場面で口を開けている」ときだけですからね。

現代における最高のイケメン、いや伊達男の一人である、マイケル・ファスベンダーを見てみましょう。「誰それ?」という人は「X-men ファーストジェネレーション」でも見てきて下さい。マグニートー役の人です。…アメコミが苦手な人は「SHAME」を。…この人、すばらしいイケメンなのに、キャリアがなかなか刺激的で…素直に万人にお勧めできる作品が少ないのですよね。「SHAME」はセックス依存症の役ですし。いや、名作ですが。あとはアンドロイドとか筋肉ムッキムキのスパルタン野郎とかスティーブ・ジョブズとか。とかく紹介に困る人です。すばらしい役者さんなのですが!X-Menの映画はあまり好みではないですが、この人がかっこいいと言うだけで見る価値を見いだせますからね。

で、このマイケル・ファスベンダーの最高にセクシーな表情が、「歯を見せて笑う」表情な訳ですよ。だいぶ脱線してきていますが、何とか「口を開ける」に関連させて参りたく。彼は「あはは」と笑うのでなく、クッとはにかむというか、犬歯をみせる笑い方をするんですよ。「サメの笑顔」と言われます。彼がサメの笑顔を見せたとき、俺は必ず一時停止してぐっとガッツポーズをするわけですよ。全く、最高だぜ。

……

口を開けるのが恥ずかしいと一瞬でも思ってしまったら、これからはこのファスベンダーの笑顔を思い出すといいでしょう。口を開けても大丈夫だ!かっこいい!ファスベンダーには到底及ばずとも!方向性は間違ってない!と信じる!のが大事!じゃないかなと思う。

 

発音、滑舌の前に、口を大きく開けることを意識して。

口を開けるのに抵抗があるならファスベンダーを。

大げさに口を開けても、周りはそれと気づかない物ですよ。

声も大きくなるし、表情筋を鍛えられてたるみやしわの予防になりますし、脳にも良い影響がありますよ。

気がついたときにでも、実践してみてはいかがでしょうか。