ノールビンドンング - 驕りと慢心 ダラーナステッチを習得できていなかったこと -

ベレー帽をダラーナステッチで作っていて、どうも、ずっとしっくりこない何かを感じていた。

何か、違う気がする。

これで本当にいいのか?

自分はできているのか?

確かに、サムループとワーキングループは正しい。針の動きも正しい。

しかし、いつものお姉さんのサイトのダラーナステッチの例を見ると、何かが決定的に違う。

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http://www.en.neulakintaat.fi/75

こちらがお姉さんのダラーナステッチ。

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対する俺のはこれ。

…違うだろう!?

何かが!

ずっと「多分俺が未熟だからだろう」とか「俺の指が太いからこうなるのでは?」と自分を納得させてきたのだが、ついに違和感が頂点に達した!

これ、多分、違う!間違ってる!

ノールビンドニングは「多少違ってても全然OKだよ。そのままやっちゃいなよ」というヴァイキング的な懐の深さをもつ技術なだけに、俺はすっかり、間違った覚え方をしていたらしい。

しかし、何が違うのだろう?

針の動きは間違ってないし、サムループもワーキングループもそうそう間違うものではない。

でも、お姉さんのはカチっとしてかっこいい。俺が憧れたダラーナステッチそのものだ。

俺のはなんだか眠たい感じがする。

しばらく悩んでいると、お姉さんのステッチ画像の右下に、「F1」と書いてあるのが見えた。

ずっとスルーしてたけど、もしかして、これに何かしらの意味があるのでは?

お姉さんのところのステッチ一覧のページでも、F1とかF2、M2とかB2というものが見える。

これはどういう意味なんだろう?

俺はお姉さんの(大変ありがたい)サイトを、自分に都合の良い部分だけしか読んでなかったことを恥じて、じっくり読むことにした。

…読めない部分もあるけど!来たれ英語力!

そうすると…さすがはお姉さん、もはや女神!ちゃんと、丁寧に、画像付きで、教えてくれていたのでした。

Second Row | Neulakintaat

「二段目を編む」というページに、ちゃんと…

  • F1は表からコードループをひとつ拾う。
  • F2は表から二つ拾う。一度使ったコードループと、新しいの。
  • Bは裏側からコードループを。1と2はF1,2と同じ意味。
  • Mはコードループとコードステッチの間のループ、つまり真ん中の。

…本当に申し訳ない…!

俺はずっと、ブロディエンステッチと同じ、「F2」でコードループを拾っていた。

オースレーステッチのときもそう。だから縫い目がなんだか微妙な感じになっていたのだ。

というかそもそも、Dalarna Stitchはダラーナステッチで読みは合っているのか!?もうすべてが疑わしくなってきたぞ!

何か、俺自身への信頼が崩れてきている感がある!

これますいと、あわてて正しいステッチのやり方で縫ってみると…。

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まるで別物!

や、ちょっと雑なのはアレだけども!

以前の眠たいステッチじゃなく、はっきりと、糸が二本ずつ寄り添うような編み目ができている。これこそは俺の求めていたダラーナステッチ!(で読みはあっているのか!?)

満足感と脱力感にへなへなになりながらテキストを見返すと、こちらにもきちんとそのことが書いてあった。さすがだぜ!というか読み飛ばすなよ俺。

マメン・コルゲンステッチのところに、「コードループを2目拾うとマメン、1目だとコルゲンになります」って、先生方がちゃんと書いてくれている。

俺は…「もうわかったからへーきへーき」と、基本をおざなりにしていたわけだな…!

なんという慢心。

今まで「縫い目がぱっとしないのは、俺が未熟だからかなー」とか思ってたんだけど、どうやら未熟の方向性が違った!割と根本的なところが未熟だった!技術とかそういうものでなく!

…やー、これは、ショックだよ…。

結構慣れてきて、新しいこともさくさく覚えられるし、と、これは調子に乗っていたということだな…!?

考えてみれば、たかが1か月の男が調子に乗れるわけもなかった!

本当に、反省をしているよ!

初心に還るというか、今まさに初心であることを忘れて驕っていたな!

これは相当な、学びとなりましたよ…!

これは毛糸ちぎり機と同じだ。

最初のうちは、「もっとこうすればいいはずだ」だとか、「もっと便利な方法がないか?」とか「俺が新たなやり方を発見してやるぜ…!」みたいなことを思ったりする。で、実際にやってみるんだけど、それは結局先人たちがすでに試して、採用していなかったもので。まぁ毛糸ちぎり機は試したかはわからないけど、現状がこうなっている理由をまず知らないと、逸脱も改善もできないのだ。守破離だな!

今回の俺はそこに慢心が加わったので、なかなか性質が悪いといえる。

これはやられたね。俺自身に!

これはまた改めて、テキストや先生やお姉さんのところに学びに行かねばならないな!

脱力しつつも、ちょっとテンションが上がってきている。

お姉さんのサイトを全部最初から読んでいかないと…!

 

ちょっと衝撃的な出来事だった!

ノールビンドニングの作り目のための練習

ノールビンドニングで一番難しいのは、編み始め縫い始めの「作り目」。

この最初のステップがとにかくわかりにくいのが大きなハードルになっている。

俺もそうだったし、先生たちもそうだったらしいし、今まさに躓いている人がいるし、きっとこれは全世界的にそうなのだと思う。

でも、この作り目さえ乗り越えればもう脱初心者。

とにかくこのハードルを何とかして越えていこう。

そこで、作り目を作る方法を解説する…その前に!

「ノールビンドニングの理屈」を説明してみようと思う。

きっと、この理屈がわかれば作り目も、縫い方も、よくわかってくると思うから。

もし作り目で苦労していたり、ノールビンドニングは何がどうなっているのかよくわからないという人が居たら、針と糸を用意して一緒にやってみて欲しい。

これをやっておくと作り目がスムーズに理解できると思うので、ちょっとした遊びと思ってやってみてね。

ノールビンドニング用の針がない人は、大きめのとじ針で代用可能。100均の手芸コーナーにも売っているよ。

1.針に糸を通し、親指を通すループを作る

ノールビンドニング作り目

すべてはここから。

まず、毛糸を大体腕の長さくらいに切って(今回は理屈の説明だから無理にちぎらなくても大丈夫)、針に糸を通してみよう。

次に、針と逆の方の毛糸の端を、写真のように緩く結ぶ。

結ぶ時、どっちの糸を上にするかは気にしなくて大丈夫。とにかく、くるっと結んでみる。

 写真に妙なフィルターがかかっているのは、俺の指が非常に見苦しいから。

鹿の角を加工するときにドリルで怪我をしてしまってね…!

なのでそのあたりはご容赦を。手袋すればよかった。

2.結んだ毛糸を、親指にはめる

ノールビンドニング作り目

(見苦しい指で失礼…)

さっき作った輪の中に、左手の親指を入れる。

結び目は親指の腹に、糸の先端を向こう側に、針に続く糸を手前側に。

ノールビンドニングの基本形がこれで出来たと言っても過言じゃない。

  • 右手に針を持つ
  • 左親指にループをはめる
  • 左親指から針にかけて手前側に糸が通っている
  • 左親指の腹に結び目が出来ている

ノールビンドニングは、常にこの状態を維持して縫っていく。

何か、できそうな気がしてこないかな?

3.何も考えずに、針を輪の中に入れる

ノールビンドニング作り目

右手に針を持って、左手の親指の腹にある結び目の下に糸を通す。

とりあえず今回は、何もせずにただ糸を通すだけ。

人差し指(見苦しい人差し指で失礼…)で結び目を抑えて、ゆっくりと糸を引き抜こう。

左親指の付け根の方向に糸を抜いていくといいよ。ゆっくりと、糸が絡まないように。

 

4.親指に二本のループを巻き付ける

ノールビンドニング作り目

 そのまま糸を引き抜いていくと、親指に

  • 最初から巻き付いていたループ
  • 糸を通したことで新たにできたループ

の二つのループが生まれたはず。

ここがノールビンドニングで重要なんだけど、針を通し糸を引き抜くと、親指に新しいループができる。

これがとっても大事。

ノールビンドニングというのは、このように常に親指にループを作り続けて行く縫い物(編み物)。

そして大雑把に言えば、「たとえ何がどうなろうと、親指にあたらしいループが生まれていれば、それで成功している」ということ。縫い目がぐちゃぐちゃになったって、別にいい(極論すると)。

だから、今後もしも「なんだかよくわからなくなっちゃった」という事態に陥ったとしても、親指にループが生まれている限り、大丈夫。そのうちちゃんと元に戻る。その部分の縫い目がちょっとおかしくなるだけ。おかしな部分は裏にするとか、見えない部分にしちゃうとか、上に何かアクセントつけてごまかすとか、いくらでもやりようがある。だから失敗じゃない。

親指のループが大事。

5.このままだと親指にまきついていくだけなので

ノールビンドニング作り目

そのまま親指のループ(サムループ)を作り続けて行くと、左親指が肥大してゆくばかりで縫い物にはならない。

だから、今二本まきついている左親指のループのうち、古いほう(一番最初に結んだやつ)を、すっと外してあげる。

外す作業は右手を使って。

左手は結び目を抑えたまま。

上の写真のようになるはず。

ノールビンドニングは、「親指にできて行くループを、一回ごとに外して、新しいループを作っていく」作業。これはすごく重要。

どっちが古いループかわからなかったら、針についてる毛糸をちょっと引っ張るといい。きつく締まる感じがする方が、新しいループ

どれが外すべきループなのか、残すべきループなのか迷ったら、とりあえず親指にはめて毛糸を引っ張ってみる。これは多分、今後ずっとやるしぐさになるはず。

ちなみにこの状態が、「サムループとワーキングループがそろった状態」ということになる。今あなたは、ノールビンドニングをやっている!

 

6.出来上がったループはとりあえず無視して

ノールビンドニング作り目

親指の腹にできた新しいループはとりあえずそのままにしておいて、もう一度、何も小細工なしに針を結び目の下をくぐらせてみよう。やることはさっきと全く一緒。

親指の腹と、結び目の間に、針を通す。

親指の付け根の方向に糸を引いて、親指に新しいループを作る。

親指にループが二つできるから、もともとあった方のループを、外す。

 

7.ループが二つになることを確認する

ノールビンドニング作り目

きちんと古いほうのループを親指から外せたら、この写真のような状態になるはず。

(なってなくても大丈夫。最初は誰でもそう。一度毛糸を切って、またやり直せばいいよ)

この親指にまきついてるループを「サムループ」、サムループを外してできる、親指の腹にできてるループを「ワーキングループ」っていう。

ノールビンドニングは、サムループを外してワーキングループにしていく縫い物。

次ももう一度、同じことをやろう。

 

8.親指の腹にループが3つできた

ノールビンドニング作り目

3回針を通して、3回親指からループを外したので、親指の腹にできるループは3つ。

ノールビンドニングが全く初めての人は、まずこの一連の流れで遊んでみるといいと思う。

親指の腹にループが3つたまったら、毛糸を切ってもう一度。

一連の流れを手早くこなせるようになったら、もう作り目なんかこわくない。

これが苦もなくできるようになったら、改めてテキストの44ページ、「伝統的な作り目」に挑んでみてほしい。ここでやったこととの違いは、針を通すときに針をねじって入れる、ただそれだけ!

作り目ができれば初心者は終わり!あとは出来上がったものを輪につなぐ方法を覚えたら中級者。リストバンドが作れたら一人前、だと思う!

ここから先は上達はすっごく早くなるから、楽しみにしているといいよ!

9.作り目がぐちゃぐちゃになってしまっても

大丈夫!

サムループと、ワーキングループさえ作れていれば、作り目なんて気にしない!

そのままどんどん縫おう!

拾うワーキングループを間違えても、気にしない!

どんどん縫おう!

縫っていくうちに、「これは違う」「こっちが正解のワーキングループ」とわかるようになってくるから。

そして、作品が完成するとき、どうしても作り目がぐちゃぐちゃになっているのが気になったなら…

「作り目が気にいらないなら、切ってしまえばいいじゃない」

脳内のマリーのささやきに耳を傾け、潔く切っても大丈夫!ノールビンドニングはほつれないので、作り目なんてバッサリ切り捨てて、綺麗な縫い目から残せば大丈夫。あとは適当に切った部分の毛糸を処理すれば、見た目に美しい。

とにかく、ノールビンドニングのコツは、縫っていくこと。

途中で「あれ、これ間違ってるんじゃ…」と思っても、大丈夫!間違ってない!ちょっと見た目が悪くなるだけで!そこを気にするより、縫い続けて体にリズムとステッチを覚えさせる方が上達は早いと思うよ。

まぁ、始めて60時間くらいのお前がいうなという話ではあるけれど。

とにかく、最初は大変だったり迷ったり不安になったりするけど、どんどん続けて行けばそれが解決方法だったりするよ。

頑張ろう!

 

 

 

 

はじめてのノールビンドニング 縫うように編む、北欧伝統の手仕事

はじめてのノールビンドニング 縫うように編む、北欧伝統の手仕事

  • 作者: 北村系子,マツバラヒロコ
  • 出版社/メーカー: グラフィック社
  • 発売日: 2017/09/08
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X.実はもう、作り目はほとんどできている

この記事かいてて発見したんだけど、これ、実はもうほぼ作り目ができてるんだよね。

ノールビンドニング作り目

さっきのこの状態。

何もせずに3回針を通しただけの状態から、実はあと一歩でブロディエンステッチの作り目ができる。

ノールビンドニング作り目

こうやって、3つのループに針を入れて。

ノールビンドニング作り目

針のお尻を向こう側に動かして、きゅっとねじる。3本のループが外れないように。

テキスト44ページの04と05を参照。

ノールビンドニング作り目

そして、結び目の下に針を通す。今までと同じに。

人差し指で結び目を抑えて、ゆっくり引き抜いて、もともとあった親指のループを外す。

新しいループを親指に作るときに、毛糸が外れてしまわないように注意して。

ノールビンドニング作り目

じゃん。

ブロディエンステッチの作り目、完成!

おめでとう!

上に連なってる3つのループが、今糸を通した3つのループ。

その下の横になってる大きなループが、親指から外したループ。

そして新しく親指にループが巻き付いた。

ブロディエンステッチは、この構成がひたすら続く。

もっと言えば、これができたということは、マメンステッチも、オスロステッチも、習得したのと同じ!

でもブロディエンステッチはとても美しいステッチなので、下手にほかのステッチに手を出さなくてもいいと思う。ブロディエンステッチに十分慣れたら、ほかのステッチもすぐに理解できるようになるよ!

ノールビンドニング作り目

作り目を裏からみた写真。

ノールビンドニング作り目

次は、この3本のループを拾う。

親指の腹に4本あるループのうち、新しいほうから3本選び、針を通す。

そうして1目ずつ進んでいくのがノールビンドニング。

そうして、同じく、ねじって通して、ねじって通して…と繰り返すのはテキストにある通り。

拾うワーキングループを間違っても大丈夫。とにかく、どんどん縫っていくといいよ。

ノールビンドニング作り目

そしてこんな感じのものができていく。ブロディエンステッチはもうキミのものだ!

 

ちなみに今回、この記事でできた作り目は、テキストにある作り目と違ってちょっと脆い。

毛糸の端を引っ張ると縫い目が崩壊するので、あまり見た目はよくならない。

だからこの作り目のやり方に慣れたら、改めてテキストの「伝統的な作り目」に挑戦してみてほしい。きっとすぐにできると思う。違いは最初からねじるかどうかだから。

作り目ができたら、あとは作品を作るだけ!

(もっとも、「脆くたっていいじゃない。切ればいいのだから」というマリー様的ノールビンドニングをやるというなら、この記事の作り目でも問題はないんだけど!)

 

あ、テキストにある「ハートのモチーフ」は実は結構難しいから、最初はリストバンドから作るといいと思う!

これからの時期実用的だし。

何よりも、実際に作品を仕上げることができた悦びほど、上達を促進するものはないからね!

ノールビンドニング - 最古のステッチと、毛糸ちぎり機デビューのこと -

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俺は一つの野心を胸に、今週という10月の第三週を迎えていた。

それは、「ベレー帽を作りたい!」という野望である。大したことない野望だが!

これからの北海道は日ごとに寒くなり、またそれに呼応するように、俺の…あれだ、その、頭髪が!はらりと儚く秋露に消えてゆくのを感じていたからだ。

…いやまぁ、もう仕方ないんだよ。その日がいつ来るかどうかだけの話で、あとは俺の勇気の問題となるだけさ。現実を、いつかは直視せねばならぬ、その時を座して待つのか、むしろこっちから迎え撃つのか。

そんなきたるべき「その日」に備えるべく、自分に似合う帽子を何かしら探さねばならぬ。そういうわけで、最近は帽子に殊の外興味を抱いているというわけで。

動機は後ろ向きだが!

俺にも…覚悟の刻が近づいているのはわかるからな…!

お風呂の排水溝とかで。物理的に。目に見える形で。

で、ベレー帽を作るにあたり、それはもう当然世界のナイスガイたちがどのようなベレー帽をかぶっているのかを検索したわけで、彼ら最高の男たちの画像を8割くらいダウングレードして自身に当てはめて考えると、わりといけるんじゃないかと仄かな希望を抱いたので、ベレー帽を作ることにした。

幸い、ノールビンドニングのテキストに見事ベレー帽の作り方が載っている。

はじめてのノールビンドニング 縫うように編む、北欧伝統の手仕事

素晴らしいね!

要するに、円形にちょうどいい大きさまで広げて行って、適当なところで減らし目をして、ひたすら減らしていって頭の大きさにする。という非常にヴァイキング的おおらかさを持った作り方なのだが、おそらく古来ベレー帽をかぶってきたバスク人たちも大体そんな感じで作ってきたのだろうから、俺でも十分に作る資格はあるはずだ。

ヴァイキングは俺に勇気を与えてくれる。

しかし、そのまんま作るというのも、何か芸がない気がした。

そういうわけで、ここ数日、いろんなステッチを開拓していたわけなんだけど。

そこにもう一つ、追加しようと思った。

「縦縄編みを組み合わせてみよう!」

縦縄編みはまだ俺はやったことがない。

ノールビンドニング特有のナイスな模様。

ワークショップに参加しそこね、実際にやってみる機会を失ったままだった。

ならば今ここでやってみるしかないんじゃないのか。

一本縦縄模様を入れることで、ベレー帽はなかなかいい感じになるんじゃないか。

しかしいきなり本番でやってみるには怖い。

なので、一度別のもので実験してみることにした。

それがトップの画像の筒状のモノ。易占用の筮竹入れである。

地味に俺は易占をやるのでね!あの、長い棒をジャラジャラするやつ。本当はジャラジャラする意味なんてないんだけど。でもあれを持つとジャラジャラしたくなる気持ちはわかる。パン屋さんでトングを無意味にカチカチやるようなもので。

で、ま、易占は置いておくとして(易は実は占いとはちょっと違ったりする。決して怪しげなものではないぞ!)、その筒の周りを、縦縄模様で覆ってみよう!と考えたわけさ!

ちょうどいいかんじの2色撚りの毛糸も1玉あるし。

そして、今回はノールビンドニング最古のステッチ、「オースレーステッチ」を使うことにした!

以前習得したダラーナステッチの亜種(どっちが亜種なのかわからないけど)なので、比較的簡単に習得できた。


Åsle Stitch, original - Neulakinnas, Nalbinding

はい、いつものお姉さん。

…もうお姉さんには感謝しかない!

お姉さんの作り目の作り方はテキストとは違うけど、要するに、「サムループが一本まきついた状態で糸をそのまま引き抜き、サムループを二本にする」という動きができればオースレーステッチの型になる。あとはワーキングループを適切に拾えばそれでOK。作り目は多少ぐちゃぐちゃになっても大丈夫だから、いろいろやってみるといつの間にかうまくいっているはずだ。

ノールビンドニングは、サムループをどうするか、そしてワーキングループをどう拾うかという話に集約されると思う。この二点きっちりやれば、どんなステッチも怖くない。と思う。今のところは。

わからなくなったらまずサムループ。次にワーキングループの拾い方を確認していくといい。

さて、これで準備OK。

あとは、作り目を作り、実践していくだけ…!

…なのだが…

毛糸が…

ちぎれない…

太くて強度があるので…

すごく手が痛い…

「あー、いてぇ…」

とか、つぶやく俺は…当然…笑っているわけでな!?

そう、ここでついに、奴の…彼の…毛糸ちぎり機の出番が!

yajul.hatenablog.com

ついにこの時が来たか!

毛糸ちぎり機!

頼む!

お前しかいない!

毛糸をきつく巻き付け、ドキドキしながら毛糸ちぎり機を握る!

 

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……もそっ。

 

毛糸は…ちぎれなかった…。

毛糸ちぎり機は…その力を発揮できなかった…。

もう少し、おおきく作れば、ちぎれたのかなぁ…。

一応半分くらいはちぎれたから、そのあと手でちぎったけど…。

言いようのない喪失感。

しかもそのあと、「手のひらに毛糸を巻き付けてちぎれば痛くないし、簡単にちぎれる」って発見してしまって…なんだか…こう…。

……。

しかし一応!きっちりときつーく毛糸ちぎり機に巻き付ければ、ちぎれるよ!

でも、その手間と、手のひらでちぎる手間だと、どう考えても、後者なんだよ!

すまん…本当に、すまない…!

 

胸の中を通り抜けて行く風に耐えながら、ぐるぐると縦縄編みをする。

割と行ける。これは表裏をひっくり返しながら縫っていく手法なので、もしかするとオースレーステッチのような表裏の模様が違うステッチは相性が悪いかもしれない。でもそこそこ、うまくいっている。

いっている。

途中でコーヒーをこぼしながら。

で、4時間くらいで編めた!

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どうだろう!?

…いや、わかる!

いいたいことはわかる!

なんだろう!?この、絶妙なコレジャナイ感!

しかも途中で縦縄模様をあきらめている!

そしてあきらめた先も、何か、あんまり、しっくりこない感じがする!

…多分、2色撚りの毛糸って、似合うステッチとそうじゃないステッチがあると思うんだよね。で、オースレーにはあわなかった。

そして、2色撚りの毛糸の圧倒的な自己主張に加えて、さらに縦縄模様という自己主張が追加され、そこにオースレーステッチというダメ押しの追加要素が来るという、全部のせ、足し算の暴力のマイケル・ベイ状態になっている!

圧倒的ベイ感!

ベイ感が分からない人は実写トランスフォーマーあたりを見よう!

画面はすごいんだけどすごすぎていったい何が起こっているのかわからないぞ!

結果、心に残るのは「マイケル・ベイを見た」という胸やけ気味のカロリー高めの感想だけだ!

そんなベイ状態が!今!俺の目の前に!

すごい。

ノールビンドニング+易+ベイ

北欧、中華、そしてベイ国のエッセンスが全部合わさった結果、ベイ感だけが生き残ってる。

俺はいったい何をやっているんだ…。

ベレー帽…これ大丈夫か!?

すごく不安になってきたよ…!

ノールビンドニング- まだ見ぬステッチを求めて、ステッチ情報サイトを探す -

先日、ダラーナステッチを曲がりなりにも習得することができたんだけど(ダラーナステッチって名前であってるのかな?)、それでもまだ俺の使えるステッチは5種類なわけで。

今のところ1000種類以上見つかっているといわれるノールビンドニングのステッチの、たった0.5%ということになる。…せめて1%には到達したいところ!小数点以下というのはちょっと心もとないからな…!やはり、武器は幅広く持っておくに限る。スペシャリストになれない俺には、ジェネラリストの道しかないのだ…!

というか単純に、新しいステッチを身に付けるのが楽しくなってきたしね。

しかしPinterestなどで画像から新しいステッチを探すのは非常にツラい。そこで、今のところ知っている5種類のステッチの英名で検索して、ノールビンドニングのステッチをまとめたサイトがないか探してみることにした。

ネットは広大だからな!

必ずどこかに情報をまとめていてくれる人がいるはず。

それにノールビンドニングは古く新しい技術。エジプトで1000年前に作られたミトンが見つかるも、その製法がまとめられたのは1957年、マスターピースたる本が出版されたのが1960年ということなので(この辺はまだ調べ切れてないので、あいまいだけどね)、このロマンあふれる編み物を広めたいと情熱を燃やしている人は必ずいるはずだ。

…そんな大仰な前置きしなくても、割とあっさり見つかったんだけどね…!

http://www.en.neulakintaat.fi/

それがここだ!

webサイトのタイトルが、ないけれど!

英語版も用意してくれているので、サーミやスオミの言葉が分からなくても読むことができる。ありがたいね!

ここの左のメニューにある「Stitch Samples」を見ると、画像でステッチが見られるので、どんなステッチをやってみたいか探すのも簡単だ。やってみたいステッチが見つかったら、同じく左メニューから「Finnish Stich Family」などをクリックすると該当ステッチのリンクへ飛べる。

本当にいい時代だね!

しかも、簡単な説明とともに、動画へのリンクも示してくれている!

素晴らしいな!

この時代に感謝だぜ!

UUOO/UUOOOとかのハンセン表記はまだ全然わからないしね。

そこで、今回は今までまったく触れていなかった、ワーキングループをねじってから拾う「ターニングステッチ」を一つやってみようと思い、動画を見てみることにした。


Nalbinding, Turning Stitch Var. 2b, 2+tr+2, Joutseno

…貴女でしたか!

やはりというか、前回ダラーナステッチのときも関連動画でこのお姉さんが無双していたのでうっすらと予想していたけれど、まさかあのサイトを、このお姉さんが!

このお姉さんのブログとかを見ると、多分この人は相当な権威なんじゃないかという気がしてくる。俺のような男が気軽に「お姉さん」とか言えない感じのアトモスフィアが漂う。論文へのリンクとかあるし、フィールドワークしてるっぽいし、ノールビンドニングを知っているお年寄りに取材に出かけたりしているし。

…お名前はまだ存じ上げないのだが!

おそらく今後、このお姉さんには幾度となくお世話になるだろう。

ちょっと手慣れすぎてて動きが早いけど、何回も一時停止して確認すれば間違いなくできるようになるはず。実際俺もなったし。今回もな!

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こんな感じで!

「フィニッシュステッチ2+tr+2」という、何かオトコノコの心にグッとくる名前がつけられている。いやあるいは「Joutseno」なのかもしれない。…ヨーツェノ?わからん!読めない!

このステッチはサムループを3本かけて、そのうちの1本を外してねじって拾ってワーキングループの3本に通してねじって引き抜くという、慣れればリズムよく行けるけど初見にはやっぱり大変なステッチ。ただ、新しいサムループが親指の根本側にできるから、サムループがすっぽ抜けるということはないし、思い切りきつく縫っていけば縫い目も乱れないから、とても安定したステッチといえるかもしれない。

それにこれ、かなり分厚く出来上がる。並太の毛糸で8mmの厚さ。すごい。

襟や袖口など、強度がほしい部分にこのステッチを使うといいのかもしれない。

 

とりあえず一周編んでみたところで…やはりむくむくと…新たな針を作りたい欲求が生まれてきた!

これは親指の向こう側から拾って、反時計回りにねじるというステッチなので、まっすぐに長い針だとめちゃめちゃつらい!

…要するに、俺のお気に入りの針が使えない!

そういうわけで、今まで作った中で最も短い針を出して、それをさらに短く持って縫うと…やりやすかった!

やはり、道具は適した物を使わないといけないね。

こういうターニングステッチの時に、曲がった針が輝くんだと思う。

ノールビンドニングの針の画像を検索すると、絶妙に曲がった針を多くみるのは、こう言うことだったんだな。曲がった針なら、複雑にねじって拾っても針から毛糸が逃げて行かない。またひとつ勉強になったよ。

…ちょうど曲がった鹿の角があるし、また作ってみようか!

 

 

 

はじめてのノールビンドニング 縫うように編む、北欧伝統の手仕事

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ノールビンドニング - 1か月、50時間の成果 -

ノールビンドニングのスヌード、ネックウォーマー

突如、ノールビンドニングを始めることを決意して約1か月。

手元の手帳によると、50時間くらいはやり続けているらしい。学習だとかそういうことではなく、純粋にハマってしまっている!

ノールビンドニングの効用として、作業中は完全に手がふさがるのでお菓子を食べている暇はないということがある。お茶すらも飲む時間があんまりない。いや、あるんだけど、縫った!毛糸なくなった!毛糸つないだ!はい次!のリズムが止まらなくて、お茶をいれても「飲むためにリズムを止める努力をしなければならない」という巨大なハードルが立ちふさがる。そんなことにかまけている暇はない。俺は縫うぜ…!みたいな感じになっちゃってるので、「編み物はむしろ太るんじゃないのか…?」という当初漠然と感じた危惧は完全に杞憂と化した。

で、時には普通に夕食食べないでやっていたので、体重は3kg落ちているね!…元がアレではあるが!

 

今までこのブログで書いてきたけど、今回のノールビンドニングは本当にいろいろと噛み合った、見事なシナジーを俺の中に見出したものだった。ちょうど初めて20時間の時にワークショップに参加できて北村先生のお話しを聞き、「適当でOK!」という言葉に多いなる勇気をもらって「それならとにかくやってみればいいわけだな!?」と学習の迷いや停滞が吹き飛んだことがとても大きいと思う。ワークショップに行ってよかった。

世の中の、個人レベルの問題は大体は勇気の問題なので、勇気を出してワークショップにs南下して本当に良かった。。タロットカードの最初のカードも「旅人(愚者」だしな!とりあえず最初は、愚直に一歩踏み出すほかはないのだろうと思う。一歩間違えれば意識高い系になる可能性は秘めているけれども…!

初めて一か月目にしてトップの画像にあるスヌードを完成させられたというのは本当にうれしいね!いやー、これ、いいよね。なんかもう、我ながら、こう、いいよね!縫い目もすごく安定しているし。ははは、いやぁ、本当に嬉しくてね!

そんなわけで、一か月目だし、誕生日だし、じゃあ次は何を作ろうかなと、もはや日課となったPinterestなどで「nalbinding」を検索していたところで…Dalarna Stitchというものに出会った。

vakerrysta.blogspot.jp

これ!

縫い目がすごく綺麗で、これはぜひとも体得したい!

しかし、やり方が分からない!

そういう時はyoutubeに限る。何気にノールビンドニングのステッチの動画はたくさんあるのだ。たくさんというか、相当信頼できる感じのお姉さま方が動画を投稿してくれている。いい時代だな!

早速検索してみると、あったよ!動画が!


Dalarna Stitch, Taalainmaa - Neulakinnas, Nalbinding

でかした!

というかこの動画は、多分さっきのブログの人の動画だよね。いや本当にありがたい。

ノールビンドニングを始めた当初の俺には、どのステッチの動画を見てもさっぱりわからなかったのだが…今の俺にはわかる…気がしてくる!

実際この動画を一通り見ると、どんなことをやっているのかは経験者はすぐわかると思う。あー、ここがサムループになるのね、とかワーキングループはそこなのね、とか。

で、このステッチ、は複雑そうに見えるけど、割とワーキングループがわかりやすいという点で、ブロディエンステッチよりもむしろわかりやすいんじゃないか。

これはいけるぜ。

俺にもやれる時が来たというのか。

動画を見て理解し、実行に移せる程度の実力が…備わったと!

慢心ギリギリの自信をみなぎらせ、俺は針をとった。

お姉さんと同じ速度で縫ってくれるぜ…!

 

…という自信はやはり過信にすぎなかったわけだが!

慢心だった!普通に!ちょ、お姉さんが手慣れすぎてい手やっていることはわかるのに頭に入ってこねぇ!早くない!?

Youtubeにコマ送りモードの実装を心から望みつつ、スマホでなくPCでシフトキー連打で動きを確認する。

50時kなんお経験はやはりバカにならないもので、10分ほどシフトキー連打してようやく理解することができた。相変わらず1段目はよれよれで何がどうなっているのかわからないけど、2段目になるとダラーナステッチの美しさが徐々に顔を出してくる。…何か俺の指が太いのか、お姉さんのようにはいかないのだが…それでもなんとか、小袋を編むことができた!

ダラーナステッチの小袋

多分、このダラーナステッチは裏地のほうが綺麗だと思う。

(10/15追記:裏表間違ってて、上記の画像が裏で、下の画像が表でした!どおりで縫いにくいと思った…。)

…もちろん、俺が圧倒的に未熟故というのはあるのだが!

ダーラナステッチ

裏はそれっぽいでしょ?(追記:こっちが表です!)

でもなんか、微妙に違う気もする(裏表が間違ってる!)。しかし縫えてはいる。そして小袋とはいえ、完成するとめっちゃうれしい。この小袋には3時間くらいかかった。

慣れないステッチだと本当に苦戦するね!

でも、また新たに新しいことを始められてワクワクしている。

やはり学習は楽しい。

ノールビンドニング - 鹿角クラフト -

鹿角(ろっかく)と聞いてテンションが上がる人はどのくらいいるだろう。

かつてハドソンから出ていた「桃太郎伝説」の主人公・桃太郎の必殺技が「ろっかく」である。

・・・電鉄じゃなくて伝説な!電鉄のほうがスピンオフ作品だぞ!

「だだぢぢ」のほうが強くない?という向きもあろうけれども、SFCの「新桃太郎伝説」では「だだぢぢ」がなくなったので(再序盤は使える)、やはり鹿角といえば桃太郎の必殺技なんである。

いやしかし本当に、「新桃太郎伝説」は名作RPGだと思うんだよ。

ストーリーもシステムも音楽もキャラクターもグラフィックも最高で、そして日本の妖怪たちの圧倒的迫力。夜叉姫がかわいい。…当時の俺はあしゅらを最後まで女性だと思っていてパーティに入れていました。夜叉姫と体重が同じなんだから勘違いするのも仕方ないだろう!あのビジュアルだし!天女の羽衣をまとったセクシー美女と勘違いしても致し方ないところだと思うんだが!

まったく恐ろしい話だぜ。

風神雷神戦の難易度よりも恐るべき事実だった。

ちなみに俺は閻魔、ましら、あしゅらという謎のパーティで進めていました。つらかった。

続編、出ないかなぁ。リメイクでもいいんだけどな…。頼むぜハドソン(もうない)。

 

それで、鹿角、鹿の角。

端的に言えば、鹿の角でノールビンドニングの針を作ったよということなんだけど。

 

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昨日の8日、マシンガンがイケる友人宅でバーベキューをした際にクラフト談義となり、「角欲しいんだよねー」と言っていたら友人の一人が「鹿の角なら余ってるからあげるよ」といってくれたので、意外なところから鹿の角をゲット。

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意外と重い!

鹿はこんな重いものを二本頭につけて生活しているのか…!

鹿のパワーに感心をしつつ、針づくりに取り掛かったわけだけれども。

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美しい鹿の角も、実は中身は海綿状の中空状態になっている。

この海綿状の部分は使えないので、太い部分を4分割して(上の写真をさらに割る)、綺麗な角質を長くとる。針にするにはやはり10cm以上はほしい。

…だが!

ここで一つ大きな問題が持ちあがる。

動物の角は、骨ではない。角質なのである。というか、角を形成する物質だから「角質」と呼ばれている。要するに皮膚の組織がめっちゃ固くなったもの。人間で言えば爪と同じ。

だから…

つまり…

電動のこぎりとか、ディスクグラインダーとかで強く摩擦すると…

表面が焦げるわけで…

髪の毛や爪を燃やしたときの、あの、ヤな臭いが終始そこら中に漂う!

これは…キツい!

俺も木工の徒として…ニレの木なんかで「うへー」とか言ってるけれども、ニレの比ではない。

角質組織を構成するケラチンというタンパク質が燃焼し、硫黄を発生させるためである。

硫黄の強烈な匂いが俺を襲う!

ツラい!

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ニオイに耐えて削っていく。

動物の角を加工してる職人さんはすごいなぁと思いつつ。

ただ、木材と違って鹿の角はけば立ったりしないから、とっても作りやすい。強度も重さも十分にあるから手に持った感触がすごくいいし、ギリギリまで穴を広げても折れる気配はない。本当に、ニオイ以外はカンペキなのだが!

今回は初めての角クラフトということで、あまり小奇麗にせずに多少粗を残して仕上げることにした。

そのほうが角っぽいしね。

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そしておおよその形をとったところで…

やはり、ここでルーン文字を!

刻みたい!

北欧ヴァイキングの縫い物として!

ルーンはおさえておきたい!

それに実用的な意味として、針の表裏を区別したかったんだよね。二つ穴がある針の場合、糸を通す方向をうまくやらないと糸がこんがらがっちゃうから、「この方向に通す」という区別がほしかった。だから、ルーンのある方を表と決めれば迷うことなく糸を通すことができる。

それで、どのルーンを彫るか。

これはかつての男の子として、非常に重要である。

俺とこの針に、最もふさわしいルーンは何なのか…!?

30分ほど悩んだ末に、俺は「ラド・ルーン」を選択した!

アルファベットのRに似たルーン文字。意味は「旅、移動、成長」である。運送業者さんなんかはこのルーンが一番いいんじゃないかな。

もっとこう、「野生のパワー」とか「勇気」とか「破壊からの再生」とか、男の子っぽいルーンはあったんだけど、もともとこのノールビンドニングを始めるきっかけが「何かを学ぼう、成長しよう」だったことと、ノールビンドニングをやるうえで、今まで全く縁のなかったところに行く機会を得たこと、これからもいろんなところに行くであろうことをかんがえて、この「ラド」のルーンを選択した。それに旅というのは、一歩一歩地道に進んでいくものだから、ひと目ずつゆっくり進んでいくノールビンドニングにはぴったりな気がした。

で、アルファベットのRに見えないように、うまく角度と間隔を調整してミニルーターで彫り、ラド・ルーン入りノールビンドニング針が完成した!

 

やー、この適度な重さ、ひんやりした感覚は素晴らしいし、お気に入りの針の形を元にして作ったので手に持った感じも最高。

残った部分はボタンにしたり、あと3本くらい針も作れるし、色を塗ったらどうなるのかなどいろいろとやってみたい。

クラフトって楽しいね!

 

忘れかけていた赤い箸

ノールビンドニングとその針づくりにすっかり夢中になっていて、針と毛糸が増えて行く毎日なんだけど。

今週は、「やはり、針にはルーン文字を入れたいな!?」ということで、白い木の針を作ってた。白いといっても、あくまでも木だから木相応の色になるんだけども。

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こんな感じの!

それで今回わかったんだけど、針の厚みは4mmはほしいね!

3mmだとちょっと頼りなさげな感じがする。

2mmになると多分、あんまりしっくりこないと思う。強度も低下するしね。

そんなこんなでまた作ったので、その一部をメルカリにに出してみた。…何か申し訳ないが!これ、売れるかなぁ。やっぱり1000円は高いのか。しかし材料と手間考えるとなぁ。うーむ。

例えば、工芸作家さんが作る椅子や机って大体10万~20万円するんだけど、割とそのくらいは普通だったりするんだよ。材料代がざっくり机なら3万、椅子なら1万として、職人さんが1日働いて3万円のお金が発生すると、机なら3日、椅子なら4日とかかかるわけで(この辺はもちろん人によるけどね)。「椅子一脚に20万かよ!?」っていう驚きはまことご尤もなんだけども、なんというか、職人さんたちも生きてゆかねばならぬし。きっちりした製品なら本当に一生使えてしまうものなので、そこは、まぁ、なぁ。難しいよね。機能的には安いものでも十分なわけだし。かといって、こう、うーむ。

 

それはそれとして、針づくりの合間に、ずっと放置してあった赤い花梨の箸を仕上げてみた。

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見事な赤さ!

しかも削っている最中の匂いがとてもいい。

ヒノキやヒバの匂いは有名だけど、広葉樹にもちゃんと匂いはある。

例えば、桜は本当に桜餅の匂いがする。桜餅というか、桜の葉の。対して桜とはほんの少し違うチェリーやシウリサクラは桜餅の匂いはしない。あとはオークはウィスキーの匂いがするし、ニレは…まぁ、あんまりいい匂いではない。多分みんなニレは嫌う。だからあんまり人気が…。まぁ、それはいいが!

なんでこの箸を放置してたかというと…俺は「同じ形のものを作る」のが大変苦手だから!特に箸のような、大きさがそろっていなければすぐにわかるのが一番苦手だ!

なので、今まで箸はこれを含めて3膳しか作ってない。

一応、箸づくりのアドバイスをすると。

基本的に、綿を意識してひたすらサンドペーパーで削っていく地味な作業を続けて行くことになるんだけど、その時に、なるべく黒いサンドペーパーは使わないほうがいいかも。上の画像の左のやつ。要するにどこでも売ってるやつ。特に100番以下の目が粗いものは、黒いのは避けたほうがよさそう。

なぜなら、サンドペーパーの細かい黒い粒が木目に入り込んで見た目が悪くなるし、最悪、黒い粒を歯でかんでしまう恐れがあるから…。ジャリっていう感覚は、味わいたくないだろう!?

もちろん、箸以外なら全然大丈夫なんだけどね。

なので、箸やカッティングボードに使うなら、ちょっと高めの(それでも100円とかだけど)、右のような白いサンドペーパーがおすすめ。なおかつ、100番以下は使わないで、大変かもしれないけど180番くらいで削ると粒は入らないと思う。

白いサンドペーパーはプロユースのお店でよく売っている。amazonには見当たらないなー。

 

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そういうわけで、赤い箸が完成した!

…全然目立たないけど!

でも適度な重さと硬さ、置いたときの音なんかが何ともいえない良さがあるね。

もっと早くに仕上げておけばよかった。

 

 

 

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と、そんな箸をせっせと作っているときに、木工の師匠が「yajul君にぴったりのヘラを作ってきたぞ!」と持ってきてくれたのがこれ。

曲がりすぎている!どの辺が俺にぴったりなのか!?

しかし直線は通ってるから力を入れても使いやすい…!

これは使ってみないとまったくわからないな、と思っていると、「これでチャーハンを作って感想を聞かせてくれ」というわけのわからない要望を受けた。

なぜチャーハンなのか。

いや、俺はチャーハン好きだけど。

チャーハンは麻薬。

そういうわけで、薬物の誘惑に負けてしまったので、花梨の箸のデビューは明日以降になってしまった。