万年筆 Penbbs 308/266 Autumn を手にした

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ペン字を始めて約2か月、ひどい子供文字からそれなりのモノになってきたなと感慨深く自身の成長を振り返るとそこに沸き起こるのは物欲である。

やっぱり、いい道具が…ほしくなってくるよね!

プログラムを志すならキーボードにこだわりたくなるし、

筋肉に己の夢を賭けるならプロテインだし、

ウォーキングが習慣になったらそれなりの靴が欲しくなったりするだろう。

あぁ、俺もだ!

 

そういうわけで、万年筆を買ったのですよ。

 

初めての万年筆と言うわけではなく、これで6本目かな。(安いやつとかを除けば)

子供のころからずっと万年筆が欲しくて、親に「大学入学が決まったら、万年筆を買ってくれるものじゃないか…?」と謎の要求をして以来、人生の半分を万年筆とともに過ごしている。

 

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俺が今持っている万年筆はこの6本。今回届いたやつも含めて!

右から、

CROSS ATX F(細字)

Lamy Safari EF(極細字)とM(中字)

Pilot μ90 F(細字)

Pilot CustomHeritage912 FA(フォルカンという特殊ペン先)

PENBBS 308 Autumn F(細字)

 

で、今回見事手にしたのが最後の、PENBBSの万年筆ですよ!

軸が美しくてね…!

それまでの万年筆を見るとわかる通り、そんなに派手なペンは持ってなかったんだけど、

「やっぱり軸が美しい万年筆も欲しいよね…」

と日夜ネットをめぐりつつ、イタリーの「レオナルド」というブランドの万年筆を見たりして「ホゥ…」ってなってたわけなのだけれども。

しかし!

やっぱ派手な万年筆は高いのよ!

2万、4万は平気でしてしまう。

正直なところ、ペンに1万以上出すのはちょっとどうかと思う。

…いや、俺も2万円のペン持ってるけれども!その書き味に心底惚れているけれどもさ!

でも一般的に言って…ペンに1万以上は…ちょっとアレだろう!?

5千円ならいけるが!

…この俺の感覚もだいぶ侵されている気がするけれども。

 

で、やっぱり2万とかは出せないよね。

いかに美しくて、それが熱烈に欲しいと思っていても。

というところで発見したのが、このPEBBSと言うブランド。

ここは中国・上海を拠点にしているメーカーで、2005年に始まった非常に若いメーカーだ。

この辺の話は疎いんだけど…もともとは、PENBBSという名前の通り、中華圏の万年筆愛好家が集うネット掲示板があって(http://penbbs.com/forum.php)、そこが万年筆を作り始めた…みたいな経緯なのだろうか。正直わからないけれども!

でも、いろいろと調べる限り、軸が美しいし、値段の割にしっかりした作りらしいし(だいたい5千円で買える)、海外SNSなどを見てもなかなか評判がいいということで、これは買ってしまおう!となったわけだよ。

 

日本で手に入れるなら、たぶんEtsyの公式ショップを利用するのが手っ取り早いと思う。amazonで出してる業者は1万超えの値段に設定していたりするので。

Etsyのショップはここ。

www.etsy.com

見てるだけでテンションが上がってくるだろう…?

中華圏や韓国ではメジャーな存在になりつつあるらしく、インスタとか見てみるといっぱい写真が上がっているね!

instagram.comPennPENBBSの万年筆で「風の谷のナウシカ」の中国語のセリフを書いている人もいるぞ…!

かっこいいな!

そして上手すぎるな…。

 

 

というわけで、今回俺が手にしたPENBBSの万年筆、308Autumnをレビューしてみようと思う!

万年筆のレビューとか初めてだし、俺は金ペンはフォルカンしか持ってないので、他と比較してどうなのか、とかはあてにならないので注意してくれ!

 

箱、パッケージ

 

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箱。

蓋がマグネットで留められている。

赤と黒が素敵だ。

中にはペン袋に入った万年筆が入っている。

あ、俺はこれ中古で手に入れたから、新品はこうじゃないかもしれない。

 

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ペン袋の留め紐の先端には、螺鈿的な光沢をもつチャームがついている。

多分これプラスチックじゃないと思うんだよね。重みがプラスチックのそれじゃない。

もしかすると貝だったりするのだろうか?

その辺は詳しくはないけれど、安っぽい感じじゃない。

布の内側もベルベットのような素材が使われていて、ペンに優しそう。

 

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で、これ!

マーブル模様のアクリルで作られた万年筆!

素晴らしいね…!Autumnの名の通り秋の色をしている。

黄色、オレンジ、茶色、緑のグラデーションがとても美しい。

それに持った感じもとっても軽い。インクをフルに入れても21g。

中国の万年筆は重いイメージあったけど、これは逆に軽くてびっくり。

 

ペン先、ペン軸

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ペン先はスチール。今回は細字。

キャップについているクリップは剣のような形でかっこいい。

中華圏の万年筆は露骨に他のメーカーのコピー仕様なものがあって敬遠していたけど、これは独自のデザイン…だと思う!自信はないが!少なくとも、万年筆のメジャーメーカーの物とは違う。はず。

この辺も結構、信頼感生まれてくるよね。

もともと万年筆愛好家のBBSだったからなのか、露骨なパクリはないのかもしれないね。

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特徴的なのがペンポイントかな。

ちょっと上向きについている。

美工筆とかパイロットのウェーバリーとまでは行かないけど、ちょっとだけそれっぽい感じに。

ただ、ペンの傾きで線の太さが変わるわけではない。なのでウェーバリー寄り。

あ、ペン先のフィンが曲がってるのは俺がニブを引き抜いたときにやっちゃったものなので、不良品ではないので…!

 

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コンバーターは付属してる。なんの変哲もないコンバーターだけど、軸にOリングがはまっていて、これのおかげで軸を元に戻すときにしっかり締まる感がある。万一コンバーターからインクが漏れても大丈夫なように、かな。これがあるメーカーはほとんどないと思うので、これは新しいメーカーならではかもしれない。

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Autumn(秋)ということで、インクはパイロット色彩雫シリーズの「秋桜」を!

まさにこのための万年筆と言っても過言ではないはず…!

秋の色のインクにぴったりだね。

一応注意点として、インクを吸うと首軸にうっすらインクが透けるので、青系のインクだと雰囲気がちょっと変わるかも。

気になる人は、軸の色に合わせたインクを使うといいと思う。

とりあえず、俺はこの万年筆で青や黒系は使わないと決めた!

 

 

総合すると、非常に俺の好みのドストライクと言うか、単純にすげー!美しい!ヒャホー!な万年筆なので、もはや何も言うことはないのだけれども…。

キャップを軸の後ろにはめるとき、かなりしっかり押し込まないと筆記中にずれるので、そこが気になるかな。気合い入れて押し込むか、キャップを外したまま筆記するかしないと、なかなかのストレスかもしれない。

まぁ、俺は筆記中にペンを強く握りすぎる癖があるから、それをやめれば快適になるんだろうけどね。

癖を矯正するいい機会ということにしよう!

フォルカン使うようになって筆圧が劇的に改善したしね。これを使ってさらにソフトに万年筆を持つようにしよう。

あと、これは微妙なところだけど、キャップを締めるときのねじの回転音がちょっと大きい。

ええと、回すときの「さしさし…」という音が。

…伝わるかわからないが!回転式キャップの万年筆使ったことある人なら伝わると思う。

パイロットのカスタムシリーズは回転音がほぼないけど、これはする。

ただ、そのうちこなれてきて音はしなくなるような気もしなくもない。それに、そんなところは気にならないので俺は問題ない。でも気になる人はいるかもね。

 

でもまぁ、それら気になる点を圧倒する軸の美しさがすべてを持っていくので、何も心配はないな…!

 

書いてみた

 

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書いてみた!

普通のコクヨのノートに。

字がひどいな…。

俺は本数を持っていないので、そんなに比べることはできないのだが…。

手持ちのパイロットのFニブの万年筆よりも気持ち太いかな?

とはいえ、これは俺がインクフロー改善のために隙間ゲージでちょっと広げた結果なので、あんまりあてにならないと思う。すまない。

でもさすが漢字圏の万年筆だけあって、細いよね。

欧米のブランドの万年筆はアルファベット仕様だからかなり太いし。

これぞ漢字の国の万年筆だな!

 

で、書き味なんだけど…

これがびっくりするくらい良いんだよ…!

サリサリ感、なし!

引っ掛かり、インク途切れ、なし!

筆記音、ほとんどなし!

 

いやー、すごい。

同じ鉄ペンのCROSSのATXパイロットのμ90と比較すると、圧倒的に上と言えてしまうね。

10年間使い続けて育ったはずのμ90よりもすごかったのは驚いたよ!

鉄ペンだからガッチガチなので、ふわっとした感覚がないけど、なんのストレスもなく字が書けるので必要十分!

あ、でも鉄ペンだから、ノート表面の凹凸はそのままダイレクトに指に伝わる感じはするね。そこは鉄ペンだから仕方ないね!

 

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インクの濃淡もはっきり出るし、フォルカンのように紙を選ぶ感じじゃないし、これは俺の中で相当なヒットだぜ!

 

出先でのメモ書き用のμ90

気合い入れてペン字や手紙、熱い言葉を書くためのフォルカン

日記などの長文を書く時の308

  

と分担できるようになってテンションが極めて上がったよね!

本当に綺麗だし!

 

とりあえず、ファーストインプレッションはこんな感じかな。

長く使ってみてどうなるか、楽しみになってきたよ!

久しぶりに買った万年筆、大切に使いたいね!

 

 

ラスボスとしての般若心経

例えば、普段の生活や本、雑誌、ネットの記事などで「すべからく」という単語が登場したとき。

んんっ…と身構える人は結構いるはずだ。

「だ、大丈夫だよな?ちゃんと…やってくれるな…?」と、ドキドキしながら文末を待つときのあの感覚。

 もちろん、揚げ足をとろうというわけじゃない。むしろ身構える俺自身が嫌だ。でもやっぱり、どうしても、んんっ…と身構える俺が脳の中に存在している。

そういったものはほかにいくつかある。

的を得るとか、性悪説とか。(的を得る、は俺は正しいと思うけど)

般若心経もその一つだ。

やや強引な導入だけれども、般若心経について語ってみたいと思う。

とても長い話になるが、気が向いたら俺の話を聞いていってほしい。

 

  •  そもそも、「お経」ってなんだ?
    • ナンマイダーとしてのお経
    • 書物という意味でのお経
    • 悪霊をねじ伏せるホーリーパワーとしてのお経
    • 猿と河童と豚と馬を引き連れて西域を練り歩く偉大な男のお経
    • 翻訳物としてのお経
  • それで、般若心経ってなんだ?
    • 最も短いお経・般若心経
    • オイラーの等式としての般若心経 ~ 短い ≠ わかりやすい ~
    • 大乗仏教の経典としての般若心経
    • 達人のための般若心経
    • 危険な般若心経
    • 破から離に至る般若心経
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そして象形文字に行きつく

易経ルーン文字、そして先日ついに梵字悉曇文字)にまで手を出してしまい、趣味に忙しくて仕事をしている時間がない男になりつつある。

あ、こないだのモノヴィレッジは楽しかったね!

いろいろと勉強にもなったし、これからどんどん出していこうと思っているよ…!

ああいう場では、むしろノールビンドニングの針を無償配布してひたすら布教に努めたほうがいいのかもしれないな…!あとワークショップのスペースもあったから、知名度が大きくなったらワークショップとかもやってみたいなーとか。そういうね。希望をさ…!

 

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さて、今日は、友人の娘さんに「接続詞について教えてほしい…!」と頼られたので…小中高の現国を無勉強で制圧してきた理系の男である俺の沽券にかけて間違った回答はできないと、図書館へ赴いて巨大な辞書でもって接続詞について調べてきた…!

「つまり」は辞書では副詞だけど、授業だとだいたい接続詞として扱われるよね。

すなわち(これは接続詞)、「つまり」の品詞は公的な試験では問われないということだな…!

まぁまぁ、それはそれとして、せっかく巨大な辞書のある図書館に来たのだからと、かねてより調べておきたかった「易経六十四卦」のそれぞれの漢字について、厚い厚い辞書でその語源と詳細な意味を明らかにしようと思い立った!

易経(えききょう)というのは、古代中国で書かれた、人類最古の書の一角をなす経典。細い棒をじゃらじゃらやる「易占」も、この経典を基に占っている。儒教四書五経の中で最上位に位置づけられている重要なもので、俺たちの孔丘先生(孔子)も「これはすごいぜ…」と言ってたし、ライプニッツも「こいつぁすごいぜ…」と言っていたし、現在もハーバードあたりの東洋哲学の授業で「こりゃあすごいぜ…」と言われていると聞く。

まぁとりあえず、「古代中国のすごい意味深な書物」と考えてくれればいいと思う。

こないだの元号改定の時にも少し話題になったよね。明治と大正は易経からってことで。

易経は最古に近い書物だから、易経を出展にしてしまえば今回の令和のように「いや、それには元ネタがるぞ!」とは言われないし、権威もあるので安パイなのである。「易経からとりました」と言えば「おう、なるほど」と無条件で納得してもらえる感じ。

易経というと馴染みがないけど、「八卦」と言えば何となく聞いたことがあるかもしれないね。八卦易経の概念で、その八卦をさらに組み合わせた六十四卦で事物を象る。八卦の「天」と「火」を組み合わせて「天火同人」としてその意味を考える、とかね。

そう、同人誌の「同人」は易経が元なのである。

六十四卦にはそれぞれ漢字が設定されていて、卦と漢字の意味を考えて占いをしたり、人生に役立てたりするというのが易経なんである。

なかなか面白いものだよ。

 

六十四卦の漢字とその順番を覚えやすくした詩がはこちら。作者は朱子学朱熹先生。

乾坤屯蒙需訟師 比小畜兮履泰否
同人大有謙豫隨 蠱臨觀兮噬嗑賁
剝復無妄大畜頤 大過坎離三十備
咸恆遯兮及大壯 晉與明夷家人睽
蹇解損益夬姤萃 升困井革鼎震繼
艮漸歸妹豐旅巽 兌渙節兮中孚至
小過既濟兼未濟 是為下經三十四

な、なんだかよくわからないとはおもうが!

こういう漢字がありますよ、ということで…。

 

六十四個はさすがに時間的に無理だったけど、六十四卦を構成する八卦の漢字をまず調べることにした。

特に、八卦の中で一番よくわからない漢字が「離」だったからね!上の詩だと3行目後半にあるよ。

この「離」は、「火」を表す漢字なんだけど…

普通に考えると「はなれる」という意味なんだけど、易経ではこれを「はなれる」と「くっつく」の両方の意味で解釈している。

「火は何かにくっつくことで存在できるからだ」と説明されているけれど、何か、こう、しっくりこない。

そういうわけで、漢字の語源を解説してくれている圧倒的厚さを誇る漢字辞典「字通」で調べてみると…。

 

な、なるほど!

ページを開いた瞬間、俺の脳の中で「Eureka!」という声がスパークし全裸のアルキメデス先生が疾走。

俺の脳内で躍動するアルキメデス先生がエンドルフィンとドーパミンの波を乗りこなしてイイ笑顔を見せる中、俺は理解した。

なるほどねー!

「離」という漢字は、「トリモチを使って鳥を捕獲する」が語源なんだって!

「离」は鳥のことで(猛禽類の禽もこれが元だ)、それをトリモチでハンティングする様子を表したので…

トリモチで、鳥を「くっつける」

そしてそのあと、収穫のために

トリモチを、鳥から「外す、はなす」

という二つの動作が一体になった漢字なんだよ!

これは凄いでしょう!?

相反する意味だけど、「トリモチで鳥をとる」という語源から考えると、何もおかしくはなかった!

だからこの易経の「離」は、「付」ではないので「くっついたり、はなれたり自在に起こる」という意味があるのだな!ずっとくっついているわけではないし、離れているわけでもない。そして、くっつくのも離れるのもお前の意思と技量次第なんだぜということも暗に示しているということだな…!?

 

いやー、これは感動したよ!

久しぶりに脳内アルキメデス先生が!

この瞬間こそが人生の神秘だよな…!

 

そして、今回本当の意味で「象形文字はすごい」と思い知ったよ。

象形文字って、要するにあれは非常口のマークだとか、トイレの男女のマークだとか、そういうデザイン記号だったんだよな。

いや、知識としてはもちろん知っていたけど、実感として深いところで理解できた気がする。

 

古代のある時代のある場所で、とあるハンターが、

「ここにトリモチの棒置いておくからね!槍とかに使ったらべたべたになるから注意してね!」

と注意喚起するために、棒の置いてある場所に「トリモチを使って鳥をとるイラスト」を描いておいたのかもしれないな…!

そしてそれを見たほかの人たちが、「何となくトリモチっぽく見えるな…これは鳥捕獲用の棒だろう…」みたいに理解してくれたり、したのかもしれないぜ…!

そう考えると…何やら熱い気持ちが生まれてくるじゃないか…!?

彼らの日常が、そして工夫が、現代の俺たちに欠かすべからざるモノとなって生きているわけだよ…!

これこそロマンじゃないか…?

 

太古の昔にも存在した、優れたデザイナーたちに深い敬意を表しながら、今日もあらゆる文字という文字を便利に使っていこうぜ!

縫うように編む北欧のプリミティブな編み物・ノールビンドニング

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ノールビンドニング、聞きなれない発音の言葉ですが、これは「Nål=針」「bindning=結びつける」という北欧の言葉です。

棒針編みや鉤針編みや織りが発達する以前に世界中の地域で行われていた、プリミティブな編み物で、古いものではなんと紀元前6500年の遺跡や、エジプトやペルーの遺跡からも見つかっています。

棒針編みなどの普及で、針を使う編み物は衰退し製法が失われてきましたが、フィンランドスウェーデンでは伝統的な編み物として伝えられてきました。そして1960年代に、北欧の各地・各家庭に伝わるノールビンドニングの技法が研究者によってまとめられ、世に知られるようになりました。

 

ノールビンドニングは古くて新しい編み物といえるかもしれませんね。

ここでは、初心者の方に向けてノールビンドニングとは何か、どう始めるかを書いていこうと思います。

 

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それでも除雪機は走る

あけましておめでとう!

いやぁ、去年は…いろいろ…あったよね!

婚約したり、婚約解消したり…とかね!

人生というのは面白いよね…!

そう思わないとやっていけない部分はあるけど!

 

この激動の人生を…楽しんでいきたいよな…!

 

とりあえず、去年後半全然やれてなかったクラフト活動を再開していこうと思うよ!やるべきことがたくさんある。素晴らしいことだな!エポキシレジンとか買いこんだのに封をあけてないからね。

 

で、さっそくそれらに手を出そうと思ったとたんに体調を崩して寝込んでしまったので、「それならば仕方ない。映画を見よう」とした俺の目に飛び込んできたのが…

 

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車

 

そう、

 

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車

 

もう一度言おう!

 

ファイティング・ダディ 怒りの除雪車

 

 

怒りの除雪車

 

いわゆる…

「ブチ切れたオッサンがマフィアをボコボコにする」系の映画である。

この時点で「…詳しい話を聞こう」となる人もいると思うけれども、そういう人はいますぐにAmazon Primeへ行って視聴を始めてほしい。後悔はさせない。今度熱く語り合おうぜ。

本編開始直後に除雪車が走り出し、確かな信頼を感じることができるはずだ。

なにせこの映画はノルウェー産。雪に関してはガチ中のガチだ。

北海道民も知らない強力な除雪車が登場するから楽しみにしておくといいぞ!

 

 

近年、この手の「マフィアをボッコボコにする」系の映画は割と侮れない俳優陣なことが多いのだが(デンゼル・ワシントンとかキアヌ・リーブスとかジャッキー・チェンとかね)、このノルウェーの映画ではいったい誰がブチ切れるのか。誰がマフィアを始末するのか。誰が除雪車に乗るのか。そこが気になって夜も眠れないと思う。

 

それは、ステラン・スカルスガルドである。

このお方が登場した瞬間、脳の中にエンヤの「オリノコ・フロウ」が流れ出した人は多いはずだ。

「え?聞こえないけど」という人には、ぜひとも「ドラゴンタトゥーの女」を見てほしい。忘れえぬ体験を保証する!リスベットかわいいし。俺たちのダニエル・クレイグが主演だしな…!オリノコ・フロウが一気に恐ろしい音楽に変貌するぞ!

 


Enya - Orinoco Flow

 

ほかに、「ヒトラー最後の十二日間」でヒトラーを見事に演じたブルーノ・ガンツと、

北欧映画で俺が一番におすすめするシリーズ「特捜部Q」の3作目「特捜部Q Pからのメッセージ」でこれまた強烈な演技で(俺が勝手に)注目しているポール・スヴェーレ・ハーゲンが出演している。

要するに…

素晴らしい役者がそろっているわけだな!

特にポール・スヴェーレ・ハーゲン。

添加物に厳しい麻薬王を大変コミカルに演じていて、終始俺たちを温かい気持ちにさせてくれる。部下にふるまう飲み物は当然100%オーガニックのニンジンジュースだ。ボス自らジューサーにかけてくれるぞ!

しかも後半、このボスの表向きの仕事がさらっと明かされるのだが…その衝撃は大変なものである。

この人、なんで麻薬密売なんてやってるんだろう…。

この人がそんなことをしなければ終始温かい映画で終わったというのに…!(始まりもしないが)

 

この手の映画のフォーマットのように、物語は

 ・事件が起こり、主人公の身内が殺される

 ・主人公が復讐を決意する

 ・マフィアの構成員を一人ずつ始末していく

 ・マフィアが焦り始める

 ・最終決戦

というように進んでいくのだけれど…

この映画の素晴らしさは、この一連の流れの底にある、謎のリズム感にあると思う。

そして特筆すべき演出は…作中に死者が出たとき、その死者の名前と、あだ名と、信仰している宗教のシンボルが画面にでる!

…い、意味が分からないかもしれないが!

そのテロップ挿入のタイミングが、謎のリズム感を生み出しており、何かちょっと楽しくなってくるのである。

ちなみに、会話の中で「あいつは死んだ」という話題が出たらその時にテロップが出る。

このテロップ自体はふざけている感じではないのだけど、出るタイミングや演出の積み重ねが秀逸で

「いまさらかよ!」

「えっ…死んじゃったの!?」

ユダヤ教徒だったのかよ!」

ムスリム一人もいないじゃないか!」

「た、タケシーーーーーーーーーー!」

とか、都度都度盛り上がれること請け合いだ。

これはぜひ実況しながらみんなと見てみたい。凄い。楽しい。この楽しさを共有したい。

こういった演出は、「みんなに話したい」という欲求を抱かせるSNS時代特有の演出かもしれないね。

 

そしてこの映画は

 スカルスガルドが除雪する

 マフィア構成員を始末する

 テロップがでる

 遺体処理

 荘厳なコーラス

前半はこの流れが繰り返される。

そう。

荘厳なコーラスは欠かせない。

アーーーーーアーーーアーーーアアアーーーーー

というコーラスに乗せて、マフィアの遺体が川に打ち捨てられていくのである。

これが何とも言えない味わいを醸し出している。

無常を感じる。

 

そして、あまりにも濃すぎる登場人物たち。

格の違い(?)を見せつけるロス帰りの警官、冬のノルウェーを思いっきり楽しむセルビアンマフィア、許されぬ愛に準じる者、車内で気持ちよく歌うマフィア、隙あらば中央党に勧誘する近所の男…

すべての登場人物が魅力的に描かれており、「あぁ、もうずっとこいつらを見ていたい!」と思えるほどだ。お気に入りはセルビアンマフィア。かわいい。

また、すべてを描くのでなく、におわせる演出が駆使されているのも個人的に好きだ。いろんなことを人に話したくなる。本当に好きな映画だ。

 

しかし…そんなキャラクターたちの中でも、主人公であるスカルスガルドだけは別だ。

彼だけは、そのような楽しげな雰囲気とは無縁の存在だ。

そう、この作品はどうあがいても復讐譚なのである。

彼は除雪をし、ターゲットを探し出し、復讐を果たしていく。

最終的な結末は、結局のところ人の死でなければ終わらないのである。

しかしそれでも、彼は除雪をする。

息子が殺されても、除雪をする。

彼が除雪をしなければ車は走れないからだ。

 

作中で、彼が除雪について何かをいうことはない。ただ淡々と除雪をしていく。除雪とは何かを語るのは、意外にもマフィアの構成員たちである。

そして、俺たちが期待するような、除雪車を使った派手な復讐というのは実はあんまりない。いや見てみたかったけどな!

 

この映画において、除雪というのは「それでも生活は続く」ことを示していると思っている。

人が死んでも、銃撃戦が起きても、何がおきたって、除雪車は走る。

強力な除雪車が雪をかき分けて走るように、俺たちも日々の戦いをしなければならないのかもしれない。途中でどんな辛いイベントがあっても。

 

それでも、除雪車は走り、俺たちの生活は続いていくのだろう。毎日を生きるために。

 

 

 

 

 

…と、生意気にもキレイにまとめたところで…!

ここからが大事なところですよ!

やはり、ノルウェー、北欧の映画だからな…!

映画の中のインテリアとかがもう超絶に美しいわけだよ!

目を見張るほどに!

そして、除雪機…!

さらに、ラストで登場する…とある重機!

もう、たまらないな!

一時停止の雨あられだぜ!

そして!

これ!

 

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マフィアのボスの奥さんが持っている、手袋!

素敵だ…!

ほんの一瞬映るだけなんだけどね。

で、この素敵なミトンはいったいどのような編み物なのか…

気になったわけだよ!

これ系のミトンは、何かどこかで見たことがある!

しかし今の俺では、「見たことがある」というレベルでしかわからない。

というわけで、Twitterで呟いてみたところ…

 

 

 

フォロワーさんが知ってた!

すごいな!ありがとう!

セルブーミトンですって!

ノルウェー伝統のミトン!

これはあれか、オトコノコたちが一瞬映った銃器の名前をすぐに言い当てる見たいな能力なのだろうか。

俺も修行をせねばならないな…!

 

この画像のシーンは、Twitter出も書いた通り、マフィアのボスが元奥さんに対して

「流行りの手袋を付けていても無駄だ…!」

といわれたときに一瞬映ったもの。

つまり、「俺と結婚していた時は好き放題金を使えたのに、今はみじめな暮らしをしているな。流行りの手袋を付けて見せて取り繕っても無駄」みたいなことを言っているシーンなんだと思う。

そして、その時に「デンマーク人のくせに」とボスは元奥さんを罵倒する。

これは、「デンマーク人が嫌われている」という定番(なのかなぁ)のネタだけではなく、デンマーク人のお前がノルウェーの手袋をしても、ノルウェー人にはなれない」みたいなことを言っているのかもしれない。

もちろん差別的な表現だけど、ミトン一つで二人の関係をあらわしたのは凄いことなんじゃないだろうか。

実際、映画の冒頭で「あんたはいい意味での移民だよ」というな会話があって、人種差別、移民差別は明確に存在すると示されているしね。

こういう隠された意図、演出に気づく瞬間が、作品を鑑賞する醍醐味なのかもしれないな。

編み物は…確実に俺の人生を豊かにしているぜ…!

 

 

あ、ちなみに面白かった小ネタとして…

ノルウェーでも、太巻きは「フトマキ」と発音するみたいですよ!

太巻き恵方巻見たいなアレ!

なんでこの映画で太巻きなんていう単語が出たのかって?

見てみてのお楽しみだ!

 

タケシ…安らかに眠ってくれ…!

 

クリスマスは、パンとワインと

クリスマス。

そう、季節はまさにメリークリスマス!

大人にとっては楽しくも忙しい時期であり、

子供にとっては「サンタは果たして実在するかどうか」「目で確認できないものは存在しないといいきれるのかどうか」という形而上学に初めて触れる、人生で最も大事な時期でもある…!

そう、安易に「サンタはいない」などといえるものではない…!

「サンタはいるのか否か」という問いを通じて、子供たちは大自然の、そして人生の神秘を目の当たりにし、今後の人生が唯物論に傾くのか、それとも神秘を神秘として受け止めることができるのかが決まる大いなる時期なのだ。

世のお父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃんは…世界の成り立ちを子供に伝える神秘の代行者としてのミッションを果たすことができたのか!?

ぜひとも頑張ってほしいところだぜ…!

 

さてそれで、俺。

俺はこのクリスマスという神秘にどう立ち向かうのか!

急に小さい話になったが…!

あちこちで書いたかもしれないけど、俺はこのクリスマスイブは毎年一人でパン一個とワインだけ飲んで過ごすことにしている。もう10年、そのような過ごし方をしている。

しかし今年は…違った!

今年は、クリスマスを共に過ごせる存在が…

俺の食卓に来てくれたわけだよ!

パン、ワイン、そしてドリル

パン

ワイン

そしてドリル

何もおかしいところはない。

133Nのパワーを誇るインパクトドライバーの超威力でコルクに栓抜きを垂直に打ち込み…

そして最後に手で抜栓するッ

な、なにッ!?

結局最後は手で抜くのか!?

俺はてっきり、ドリルのパワーでそのまま抜くのかと…ッ!

いやま、しかし、抜きやすいのは事実。

そして絵面が大変笑えるのも事実。

ドリルで抜栓

「コルクにねじ込むのが苦手な人ってそんなに多くないよな…?問題なのは抜くときだよな…?」

という根本的な問題に目をつむれば、極めて優秀なツールである。

これで一人のクリスマスも楽しく過ごせるよ!やったね!

 

…ネタに走るのに2000円はちょっと痛かったかなぁという問題にも俺は目を瞑るが!

あぁ、俺は瞑るね!

人間は…いつだって盲目さ…俺も…恋という名の…

 

いや、まぁよ!

 

それで、クリスマスになぜパン一個とワインで過ごすことになったのか。

 

せっかくだし、少し俺の話を聞いていってほしい。

 

今からおよそ10年前、俺が27歳くらいのころ。

俺は当時東京に住んでいて(ときわ荘のすぐそば)、朝8時から夜11時くらいまで仕事をしていた。

俺はプライベートがしっかりしてないと仕事もダメなタイプだから、当然、凄い消耗していった。それに、そこまでやって何か得られるものがあったかというとそうではなかったし。往々にしてそうだけれどね。

俺は北海道の出身だから、東京に冬はなかった。

秋が長く続き、いつの間にか梅の花が咲いている。東京はそんな場所だった。梅の花が見られたのは嬉しかったけれど、何か欠落したものを感じていた。雪の降る匂いを感じられなかったのは寂しかった。あ、豆腐売りとか屋台に遭遇したのは最高だったけどね!素晴らしかった。

長い秋も半ばになったある日、珍しく定時で帰ることができた。定時は…何時だっただろうか。17時?18時?19時?とにかく、早かった。お店が開いている時間だ。ご飯を食べることもできるし、買い物だってできる。素晴らしい時間。

最終のバスに乗れないことが度々あったので、俺は自転車で通勤していた。電車の3駅分。雪がないのでいつでも自転車で走ることができる。東京は素晴らしい世界だ。

その日は早い時間に上がれたし、自転車で疾走するのはやめて、押して歩くことにした。

東京は広いが俺の世界はとても狭い。

今まで知らなかったお店、場所、オブジェ、道、建物がたくさんあった。

あぁ、もっと早く気づいていればなぁとぼんやりと思った。

少し道の横にそれるだけで、無限の世界が広がっていたというのに。

あぁ、俺は何も見ていなかったんだな。こんなになんでもあるのに。

それで、いつもは通らない道を通ろうと考えた。

道に迷ってもいいな、と思った。迷うのは楽しい。

路地を通り、いくつかの橋を渡り、墓場をやり過ごしてもうまいこと迷うことができなかったその時、

クリスマスだなぁと理解した。

クリスマスだよ。クリスマスイブ。12月24日だ。だから早く帰れたのかもしれないな。

もちろんわかってはいたけれど。

しかし、このときは実感も何もあったものじゃない。疲れ果てていたし。長いアドベントの最終日という感覚だった。春分秋分と同じように、なんとなく過ぎているもの。明後日にはお正月が始まる。そういうものだ。

でも唐突に理解した、あぁ、クリスマスが来る。クリスマスが終わる。

クリスマス、クリスマス、世間はクリスマスだが、俺は、今何のために歩いているのだ?

急に家に帰りたくなって全力疾走した。多分道はあっている。このままではまずい。クリスマスだぞ?

そしてしばらく走ると、教会の前に出た。カトリックの。 俺がイメージする教会とは全然違う、堅牢な建物だった。掲示板の前に止まり、様子をうかがってみる。どうやら、まさにクリスマスイブのミサの前だったらしい。

ここで俺は考えた。

道に迷うこともできずに狭い世界から出られない俺にも、門戸は開かれているのだろうか?

そもそも、部外者の俺が入ってもいいのか?

大丈夫なのか?

それとなく入り口に近づいてみる。誰でも入れる、参加できるという知識はあったけれど、実際に行動に移すのは別の話だ。逡巡しながらも、多分俺はここに入るだろうな、と確信していた。

 

『誰でもご自由にお入りください』

俺は入る。

受け付けなどは特になかった。入り口に誰もいない。

『ご自由にお座りください』

俺は座る。

相当早かったらしい。俺のほかに座っている人はいない。

『ご自由にお持ちください』

ミサの進行と、聖歌の歌詞が書いている。

時間まで俺は待つ。

徐々に人が増えてきて、すごく緊張する。

俺は…やっぱりここにいたらまずいんじゃないか…?

とりあえず最後尾の端に座ったけれども…

バレるんじゃないか…?

そんな気持ちがした。何もやましいことはないのだが。

時間になり、席はおおよそ埋まった。

ミサが始まる寸前に、俺の隣にスーツを着た、颯爽としたお姉さんが座った。

当然ながらこのお姉さんとは何もない。何かあっても困る。

進行と歌詞が書いた紙を渡しただけだ。でもなぜか妙に覚えている。

ミサは厳粛に進んだけれど、やはり俺の中で場違い感はぬぐいきれなかった。

それは異教徒感ということではなく、それもあったかもしれないけど、結局のところ、「あぁ、こんなにみんなが真剣に祈っている場所に、フワフワしてるだけの俺はふさわしくないんだろうなぁ」という人生についての場違い感である。

俺は、適合していない。社会にも、自分自身にも。

ミサをぼんやりと眺めていて、自分の人生、存在を肯定してくれる存在がある、というのはとても勇気を得られるものだよな、あぁ、そうだな、と思った。

そしてキリスト教は、「人間の一番重い罰をイエスが贖ってくれたから、あとはもう死ぬほどの罰などありはしない。ただ悔い改めるのみだ」という熱い宗教なんだな、と理解した。

俺は信徒ではないけれど、今でもイエス・キリストその人とそのロジックには尊敬しかない。

この後一般の人も参加できる簡単な立食パーティがあったんだけど、さすがにそこまで参加するわけにもいかないから、足早にその場を去った。ほかの人が聖堂から出ないうちに、ひっそりとその場を後にしようとした。

速足で聖堂を出て入り口を抜け、ドアに手をかけたとき、立食パーティの準備をしていた女性が駆けてきて、俺の手にパンを一個、握らせてくれた。

「メリークリスマス!」

俺は立ち止まることができず(立ち止まったらいろいろあふれるような気がした)、

歩きながらパンを持った手を挙げて

「ありがとうございます、メリークリスマス!」

そういってそのまま自転車に乗り、手に持ったパンを見て涙を流しながら家に向かった。

途中で安いワインを買い、人生で最高のパンを食べてクリスマスを過ごした。

パンをもらって家に帰って食べて寝るまでが一瞬のことのような気がして、今でもそのあたりは曖昧にしか思いだせない。最高のパンだったことは間違いないけれど、どんなパンだったのかはおぼろげなままだ。

しかし、パンは覚えている。

彼女の声も覚えている。

あの人に対して言うように、メリークリスマス、と誰に対しても言っていきたいと思う。

今も、またこれからも。

 

 

メリークリスマス!

 

 

ルーン文字のセミナーに行ってきた① - 何よりも重いもの -

ルーン文字

これほどオトコノコのココロをくすぐる言葉があるだろうか?

いや男の子ででなくとも、心にときめくものはあるはずだ。

魔術とか神話とか星座とか鉱石とか天使とか悪魔とか、そういう妖しげなモノに心を躍らせていたかつての少年少女になら、この感覚はわかっていただけると思う。

 

俺もかつての少年として…ルーン文字ははずせないな!

しかし、この現代の人生の舞台にルーン文字が登場することはあまりない。

というかほぼない。

絶無だぞ!

中学生のころ、ラテン語などに興味をもってそれらしい本を読み漁った(理解できる範囲でだけど)時にルーン文字に触れた後、現代社会の若者として生きていった俺の脳の中にルーン文字は存在しなかった。

いやまぁ、ゲームとか、ファンタジー小説とかにはあったけど!

具体的にはDiabloIIとか。あれはハマったよな…!

 

そんな俺の人生にも、ついにルーン文字が再登場するときがやってきた。

つまるところノールビンドニングを始めたからだ。北欧の文化に触れるということは、すなわちルーン文字との再会に他ならない。

懐かしい友に出会う気持ちで…とか、あんまり書くとアレだけれども。

 

とにかく!

ノールビンドニングを始めるにつれ、「これはやはりルーン文字をきちんと知らなければならないぞ!」という思いが強くなっていた。先日作ったタールハルパにも何かしらルーン文字を刻みたくなってきたしな!

そんな矢先のこと。 

いつもニットカフェでお世話になっているpresseさんにルーン文字セミナーが開催されるという情報を教えていただいた…!

 

 

 

 

というわけで、若干光には及ばなかったものの、その場で電話をかけて予約をすることに成功した!

というか、電話口では講師の先生(スウェーデンの人だ!)に俺の正確な名前を伝えられず、改めてメールをしたのだけれども。

やぁ、実際、異なる文化圏の人の名前を聞いただけで正確に覚えるって無理だしな!そんなところからすでに「これは異文化だぜ…!」とワクワクし始めた。これだよ!文化を学ぶということは!

そうだろう!?

 

 

そして8月25日。

俺は車で当別町に向かう。

北海道の当別町と言えば、ロイズのチョコレート工場があるところで有名。すべてのロイズのチョコレートはここで生産されている。

そして地味だけれども、明治維新の後に、仙台藩が初めて入植した地でもある。生粋の札幌市民の多くは会津藩仙台藩の子孫なことが多いね。札幌の「白石区」の「白石」は、仙台藩片倉家の居城・白石城からとられているよ。

北海道に歴史無しとか言う人がいるけれど、そこに住む人にはきちんと歴史があるものなのだ。

 

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そんな歴史ある当別町だけれども…。

スウェーデンヒルズに入った瞬間からもうそこは日本ではなかった!

見てみろよこの景色を…!

台風が通った後なので、著しく天気が悪いけれども。

いやもう、本当に全部こんな感じでね!街路樹はすべてカエデ。建物も統一されているし。

本気でここに住みたくなるよ…!

もう空きはないけどさ!

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しかもほら!

交流センターには…木工房がある!

ガラス工芸館もあるよ…!実際にここで作業もできるみたいだよ…!

俺…ここに住みたいよ!?

なんなら、家をイチから自力で建てるところからでも…!

 

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織り機とか、

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超ナイスなベンチとか!

何かもう、俺の好むすべてがここにありそうな気がしてくるな!

あとは木工房やガラス工芸館で作られたと思しき作品もあったし。

全く素晴らしいね!

 

そんな魅惑の交流センターに後ろ髪をひかれつつも、今回の目的であるルーン文字セミナーの会場へ向かう。

参加費はまさかの500円!

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たった500円でこの陣容だぜ…?

講師を務めてくれるのは、職員のペールさん。

スウェーデンの人が直々に北欧神話ルーン文字について教えてくれるなんて、インドで日本神話の講座があるようなものだな!こんな機会はほかにあるまい…!

 

講座のプログラムは

北欧神話の話

ルーン文字

ヴァイキングボードゲーム、「フネヴァタヴル」への挑戦

の3つからなっている。

セミナー開講直後の「世界にはニフルヘイムとムスペルヘイムがあり、その間にはギンヌンガガプが…」と聞いた時点で北欧神話野郎のテンションは青天井になるわけだけれども、ここでその講座のすべてを書き記すと大変なことになるので、「いたく感動した部分」に焦点を絞って書いてみようと思う。

じゃないと書き終わらないしな!

 

北欧神話は「毒」がある

北欧神話での世界の構成、成り立ち、事件のあらましを聞いていくと、いろんなところで「毒」の話が挿入されているのに気づいた。

北欧神話で「毒」といえば?

マニアな人たちはすでに回答をいくつか持っているかもしれないが。

まず、北欧神話は世界の成り立ちからして毒が関わっている。

霧の国ニフルヘイムと炎の国ムスペルヘイムの衝突で「エイトル」という恐るべき毒が誕生する。そしてその雫から、原初の巨人であるエミールが生まれる。

ちなみにペールさんはエミールのことを「イミル」に近い発音をされておりました。

生の発音が聞けるのが最高でね!

この、毒から生まれた巨人をオーディンらが倒して、俺たちの世界が生まれるという神話だ。日本神話で言うオオゲツヒメの話みたいなもので。ハイヌウェレ型神話かもね。

で、俺たち人間界は、この巨人のまつげから生まれた。

ま、まつげ!?

なぜまつげ…と思ったんだけど、これはつまり「囲い」ということらしい。

まつげが柵となり、柱となって人間界とそれ以外を分けたのだそうだ。

そう考えてみると、まつげは目の門番ともいえるかもしれない。まつげが開くことによって、目が生み出されるという考えもできようか。

…もうすでにだいぶ長くなってきたが、まだ序の口である。すまん。

 

それで、エイトルという毒はこの一回きりに出てくるものではなく、神話の何か所かに「神をも殺す必殺の毒」という設定で出てくる。

例えば、ロキが受ける罰も、「頭に絶え間なくエイトルを注ぎ続けられる」ものだし、

俺たちの雷神トールがラグナロクで大地の蛇ヨルムンガンドを倒したのち、このエイトルを受けて9歩後ろに下がった末に絶命している。

北欧神話ラグナロクという、神々の死で終わる神話なのは(あるいはだからこそ)、このエイトルという毒が根幹にあるからなのかもしれない。

 

アース神族ヴァン神族

北欧神話のといえば、この二つの神の系統。

アスガルズに住むアース神族と、ヴァナヘイムに住むヴァン神族の二つの系統の神が存在する。

アース神族で有名なのは、主神オーディン、雷神トール。

ヴァン神族で有名なのは、フレイとフレイヤの兄妹。フレイヤは金曜日の「Friday」の元ネタだ。金曜日はフレイヤの日である。

っていうか、曜日は土日月以外は北欧神話の神が元だ。

Tuesday : 軍神テュールの日

Wednesday : 戦士の神オーディンの日

Thursday : 雷神トールの日

Friday : 魔術の女神フレイヤの日

「なんで曜日のスペルってこんなに覚えにくいんだよ」と中学時代に思った人も多いと思う。俺もだ!

しかしそれは北欧神話が元なので、仕方ないところではある。

で、この二つの神の系統については興味ある人は調べてもらうとして…

 

やはり発音だよね!

ペールさんはアース神族のことを「アーサー」と呼び、ヴァン神族のことを「ワーン」のような発音で言っていた!

もうこれだけで満足だな!

なるほど現地の人はそう呼ぶのだな!

 

雷神トールの発音が凄かった

いやま、結局は発音だよ!

知識は本で補完できるが、発音、こればかりはライブで聞いてみなければわからない!

今回のセミナーで一番感動したのが、この「トール」の発音かも!

普通に「とーる」って発音するんじゃないんだよ!

「ト」をめっちゃ強く発音するの!

で、「ル」はちょっと巻き舌気味!

ちょっとやってみるといいよ!思いっきり「ト」を強く。気分が高揚するから!

これは完全に言霊だね。トールの名前聞いてるだけで勇ましい気分になってくるんだよ!

これは、現代でも人気ある神様なのは理解できる。言霊が半端では無いもの。

もうこのトールの発音聞けただけで俺は満足したね…!

ゲームの真・女神転生IIIの影響でトールが一番好きなんだけど、さらに好きな理由が増えたぜ…!

 

無機物にすら愛される至高のイケメン

バルドルとかいう世界神話史上最強の性格イケメン。

「この世のあらゆるものに愛された」とかさすがに無茶な設定じゃないか…?

とか書いている俺もきっとバルドルを愛することになるのだろうけれども!

あぁ、愛する自信はあるね!

なんせ、バルドルはそこらに落ちている石とか、水とか、多分空気にも愛された最強のイケメンだからな…。

勝てる気がしない。

いや勝つ気もないけど。

しかし、そんなイケメン設定を盛り込まれると、「どこかにバグはないか?」と探り始めるのがロキという男である。

「みんなに愛されているから誰もバルドルを傷つけない。だから彼は不死」

という設定に穴を見つけようと躍起になる男、それがロキである。

なんでそんなことするんだよ!やめろよ!

と思うかもしれないが、それをやるのがロキである。

どうしようもないやつだな!

しかしそれがロキである。

 

結果として、ロキは

まだ若かったので「バルドルを傷つけない」という約束をしなかった「ヤドリギ」でバルドルを殺すことに成功する。

世界最初のハッカーはロキかもしれない。

 

ここまでは、北欧神話を少し調べればわかることなのだが、

そのあとにペールさんがちょっと言った一言が、俺に衝撃を与えたわけだよ。

 

ヴァイキングにとっての約束の重さ

ヴァイキングは約束を大切にするので、若い人には『あんまり約束をしないほうがいい』と教えるんです」

つまり、ヤドリギが「若すぎたから約束をしなかった」というのは、そういうことだったらしいのである!

神話が先か、ヴァイキングの信条が先かはわからないけれど、

ヴァイキングにとって、約束をするというのは極めて重い契約であったから、至らなさから約束を破りがちな若者には『約束(契約)をするにはまだ早い』と教育していた。

ということになるわけだよ!

これは凄い気づきだと思うんだよ!

ヴァイキングたちは約束を果たすために文字通り命をかけていて、

嘘をつく、だます、忘れる、空約束をするというのを何よりも嫌ったということだ。

これは、契約や約束を軽く考えがちな現代の俺たちと相当に異なる価値観じゃなかろうか。

この価値観がひいてはの契約文化に引き継がれているような気がする。

「約束を守れ」

という極めて重たいルールがありに

「だから、守れない約束はするな」

という教訓があり

「若者はみだりに約束なんてするんじゃない」

と教育する。

これってものすごいことじゃないだろうか。

 

ちょっと話が飛躍するかもしれないけど、

現代の北欧の国々の教育が優れているのは、根底に上記のようなマインドがあるからじゃないかな?

まず達成すべき目標があって、

その目標の意味するところを伝えて、

最初は達成は出来ないものだと理解している。

根性論や精神論だと「とにかく達成しろ!」で終わる話を、かみ砕いて最初の一歩の話から始める。

こういう違いが、やがて巨大な差異になっていくのかもしれない。

…さすがに話を大きくしすぎたような気もするけど、俺の中で何か、大きな納得がいった瞬間だった。

 

ペールさんの何気ない一言で、何か俺の脳の中が開けた気がする。

本当に素晴らしい気づきだった。

 

そしてあまりにも長くなりすぎたので、ルーン文字についてやフネヴァタヴルについては次の日記で書こうと思う!

 

 

 

 

あ、契約といえば、チャペルウェディングなんかで神父さんに

「病めるときも健やかなるときも愛することを誓いますか?」

って聞かれるアレ。

アレは、神父さんに誓っているわけじゃないからね!

もちろん、新婦さんでもないよ!

あれは…天上におわす神様に誓っているのだよ…!

だからね。

ヴァイキング的な重さで考えると…

恐ろしく重い契約を交わしたことになるのだ…!

文字通りの、「死が二人を分かつまで」の契約なんである。

破ったら?

ヴァイキング的には…

死を持って償わねばならんな!!はっはは!

キリスト教の神様もめっちゃくちゃ怖い神様だからね!

嘘は許されないよ!

だから、カトリック教会では「離婚」は存在しない。

だって、「神に誓った」のだから。

「やっぱなし!」はない。

だから、カトリックでは離婚ではなく「契約は無効だった」「そもそも契約が成立していなかった」てことになる。

チャペルウェディングで「神に誓った」人は…

生涯をかけてその約定を果たすよう、よき夫婦になるよう、努力をしてほしい!

ヤハウェの神との契約だ…!

 

 

あと、イスラム教圏で「姦通をした人」が石打で処刑される話が時々あるけど…

姦通というのは「神に対して嘘をついた」「神を騙した」ことだと考えれば、「なぜそこまでするのか?」が理解できると思う。

もちろん、あんな残酷なことはやめてほしいけど、「神への誓約」というのはそこまで重いものだ、と理解する手掛かりにはなると思う。

いや本当に、やめてほしいけどね。

でも、約束というのは、契約というのは、そういう恐ろしく重いものだったんだよね。